野菜ソムリエ Hiro のベジフルポケット

レモン(知識まとめ)

      2016/05/09

lemon0729

品名

レモン
lemon

植物学上の分類

ミカン科カンキツ属

歴史

原産国はインド北東部のヒマラヤといわれる。そこから地中海沿岸に伝わり、盛んに栽培されるようになった。

10世紀ごろに中国にも伝わったとされるが、東アジアではあまり発展しなかった。
アラビア人によってスペインに伝えられ、11-12世紀にはヨーロッパなどに伝播したとされる。
15世紀頃から栽培が広がった。1493年にコロンブスによりハイチに伝えられ、その後アメリカに入った。
日本へは明治時代にアメリカから広島に入り、一時は満州へ輸出もされていた。

品種

2大品種はリスボンとユーレカ。

「リスボン」
寒さや風に強いため国内でも栽培されている。ポルトガル原産。11-12月収穫果実が多い。

「ユーレカ」
ジューシーで香りも酸味も優れている。果実はやや小さいが豊産性で、地中海気候で栽培すると品質はきわめて優れる。

「ビラ・フランカ」
シチリア原産。1921年に広島県に導入。形はリスボンに似ている。”道谷(みちたに)レモン”はこの品種の優良選抜系統。

産地

主産国は、アメリカ(アリゾナ州、カリフォルニア州)、イタリアが2大産地。スペインなど。
日本では広島、愛媛、熊本、和歌山など。近年では果汁輸入の増加、国産レモンの流通も影響し、輸入量は減少傾向にある。
平成16年度の日本の国別輸入構成比はアメリカが69%、その他南アフリカ、チリ、アルゼンチンなど。

時期

輸入品は秋から冬にかけて収穫されるため、10-11月が旬といわれる。
四季咲き性で、5,7,10月ごろに開花するが、5月開花の果実が品質がよいらしい。
果実は開花後約6ヶ月で成熟する。(つまり旬はやはり10月ー11月ごろといえる)

輸入品は冷蔵によって周年流通するが、鮮度は劣化する。
出始めはまだ皮が青く、寒さが厳しくなると黄色いレモンが出回る。

米国のカリフォルニア産が主力であるが、端境期の9-10月にはアリゾナ産が輸入される。
6-8月の需要期には、南アフリカ、チリ産も輸入される。

国産品が出回るのは9-1月ごろといわれる。国産品は11月ー1月が旬ともいわれる。

見分け方

ヘタの枯れがなく、皮に張りがあるもの。皮がなめらかで色のムラがないもの。
形は両端をつまんだように左右対称。
輸入レモンはほとんどワックス処理されているので、果実はしおれにくいが、
長期貯蔵されると、ヘタ枯れ、褐変などの障害が発生しやすい。
鮮度低下により、ツヤがなくなり、黄色味が薄くなる。

栄養

酸味の主成分はクエン酸とビタミンC。(代謝をスムーズにし、疲労回復、風邪の予防、二日酔いに効果がある)
ビタミンCはかんきつ類の中ではトップクラス。
ビタミンC(果汁100g中100mg。つまり果肉の0.1%がビタミンC)が豊富。

果汁より果肉ごと食べたほうが多く摂取できる。(ビタミンCの半分は皮に含まれている。)

さわやかな酸味の主体は、クエン酸。(腐敗菌の繁殖を抑え、疲労したときに溜まる乳酸の分解作用がある。
※クエン酸の摂取しすぎは注意。胃の中でクエン酸の酸味が強くなると、胃が荒れる恐れがあるため。)

ビオフラボン類のもっとも豊富な補給源といわれる。(ルチン、ヘスペリジン、エリオチトリンの三者を意味し、ビタミンP効果がある。ビタミンPの働きはビタミンC欠乏によって起きる血管脆弱性および毛細血管透過性の防止。
高血圧、動脈硬化、出血、紫斑病、凍傷などに有効。
※ビタミンPは三者の物質が持っている統合作用。レモンには特にエリオチトリンが含まれる。)
最近ではヘスペリジンに抗ガン効果があることが明らかになっている。

食物繊維も多く含むが、多くの場合果汁だけを利用するので、あまり期待できない。

料理

油っこいものや、炭水化物にも合う。チャーハンの仕上げに使用してもよい。
果汁は焼き魚やフライに絞りかけたり、ポン酢に使われ、果皮は漬物や菓子の香り付けに使うなど、さまざまな料理の調味料や薬味にされる。
サラダのドレッシング、野菜炒めやしょうが焼きといった炒め物に一絞りするのもよい。
果汁を使うホットレモネードは冬に人気。
運動のときに摂取するレモンのはちみつ漬けはビタミンCとクエン酸の豊富さから最適といわれる。

皮に付いている残留農薬が心配な場合は、手に塩をつけて、レモンをこすり洗えば、簡単にワックスが取れる。

香り成分は皮の部分に圧倒的に多い。

保存

丸のまま保存する場合は、風通しの良い冷暗所に置く。カットしたものは冷蔵庫へ。
果汁だけを保存したい場合、絞った果汁を冷凍すればよい。
保存の最適条件は温度3-5℃、湿度90%。

ポイント

・販売にあたって、レモンは日常の必需品なので、前方の目立つところに陳列する。特に冷蔵ケースに入れる必要性はあまりない。
・揚げ物の油っこさを抑える。調味料の代わりになって減塩効果。

・国産のものは低農薬、ノーワックスといった健康志向で、皮まで利用できる点が魅力である。

その他情報

・1個100g程度
中東ではレモンを丸ごと干した「干しレモン」があり、煮込み料理の風味付けに使われる。
・紅茶にレモンを入れると色が薄くなるのは、紅茶のタンニンが酸に反応するため。
 紅茶の国イギリスではストレートティーとミルクティーはあるが、レモンティーは存在しない。
レモンを部屋に置いておくと、その香りが集中力を高め、もの忘れを防いでくれる働きが期待できるらしい。
 受験勉強、仕事に集中したいときにも効果的であるらしい。

CMなどで見かける「レモン○個分のビタミン配合」という表現には基準が定められており、その量は
 「レモン1個のビタミンC=20mg」というもの。しかし実際のレモンは1個当たり約100mgのビタミンCが含まれている。

・輸入レモンはきちんと農薬検査が行われているので、基本的に安全である。

 

Hiroのメモ書き

ビタミンCの代名詞的なレモン。たしかに可食部100g中100mgと多い。そして覚えやすい(笑)。
個人的に主産地がアメリカのほかにイタリアがあることに驚きました。岡山のスーパーでぼくはイタリア産のレモンは見たことがなかったので。

また、一般的な旬がよく分からなかったので、勉強になりました。

輸入品は秋から冬にかけて収穫され、それを周年出荷できるように冷蔵保存しているようなので、
たとえば今、7月のスーパーで手にするレモンは基本的には長い間保存されていたレモン
なんでしょうね。

「その他情報」のところにレモンを部屋におくことで集中力が上がるような内容があるが、これは「そんな気がする」的なものではないだろうかと思います。ただ、たしかにレモンの香りは非常に良く、その愛らしい見た目からもリラックスにつながるっちゃつながりますが・・・。どうなんでしょうね。

香りの成分は皮に豊富だということは忘れたくないものです。

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