野菜ソムリエ Hiro のベジフルポケット

アボカドの知識まとめ(歴史、見分け方、栄養、調理法、保存方法 etc. )

      2016/08/27

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品名

アボカド / Avocado

植物学上の分類

クスノキ科 ワニナシ属

歴史

・名称はスペイン語のAhucatlに由来。
原産地の中央アメリカでは、約5000年前から栽培されていたらしい。
・メキシコでは13~14世紀にネイティブアメリカン(アステカ族)が栽培していた。
・ペルーではインカ帝国(1438年 – 1533年)の王族の墓でアボカドの種が発見されるが、ペルーへ伝わったのはそれほど古くない。
コロンブスがアメリカ大陸を発見した際(1492年)には、既にアメリカ一帯で栽培されていたらしく、新大陸発見後西インド諸島へ伝わり、その後、熱帯亜熱帯地域の各国に伝わった。
・商業的栽培は20世紀に入ってから。
・日本には大正時代末期から昭和初期、戦後にかけて導入されたが、人気が出たのは最近のこと。
・日本ではカリフォルニアロールで火がついたらしい

種類

園芸学的にみて4つの種類がある。それぞれ多数の品種がある。

①メキシコ系(メキシコと中央アメリカの山岳地帯に原生)
  葉や果実にアニス(セリ科)の香りがある。-6℃まで耐える。
②グアテマラ系(中央アメリカの高原に原生)
  アニスの香りがない。-4.5℃まで耐える。
③西インド諸島系(南アメリカ北部の低湿地に原生)
  アニスの香りがない。-2.2℃で大被害が起こるらしい。
④雑種系
これらの系統からの選抜や交雑により約2000種の品種がつくられているが、経済品種は20品種。

種類

①フェルテ
  メキシコ系とグアテマラ系の交雑種。洋ナシ型。耐寒性に優れる。
  可食部が多い。味が濃厚、脂肪分が約25~30%。品質もよい。
  日本に輸入される。ハス種よりも脂肪分を多く含むが、日持ちは劣る。
②ズタノ
  果皮が滑らかで薄い。果肉はクリーム色。品質は中程度。
③ベーコン
  果皮は滑らかで緑色を呈し、風味もよい。
④ジャルナ
  果皮が緑色で薄い。品質は中程度。種子が大きく、可食部が少ない。
⑤メキシコラ
  果皮は黒紫色で薄い。種子が大きく、可食部は少ない。
⑥ハス
  フェルテ種よりも早熟性の品種。グアテマラ系。日本にほとんど輸入されるものがこれ。果皮がざらざらで、果実が大きいのが特徴。

産地

生産量1位はメキシコ(総生産量約220万t中約80万t)

2位アメリカ(約20万t)
3位がブラジル(約10万t)
日本では現在、西南暖地の一部の温暖な地域において栽培されている。

時期

カリフォルニア産が4月から8月に、メキシコ産は9月から3月に日本で出回る。
新ものは、9~10月頃に出回る。
アボカドの油分をオイルコンテンツと言い、標準で30%程。
新ものアボカドはオイルコンテンツが15~20%と1年の中で最も低く、熟しにくく、青みが強く、若々しい味わいがする。
10~6月頃は、オイルコンテンツが標準に戻り、安定した味になる。
7~8月のアボカドは油のりがよく、特にねっとりとした味わいがある。
見分け方
熟すにつれて緑から黒へと色が変わり、果肉も柔らかくなる。
ヘタの周りから熟すのでここが変形しているもの、柔らかすぎるものは避ける。
皮が実から浮いているものは熟しすぎ(脂肪分が少なくなっている)である。
黒紫色になったもの、持ってみて少し弾力(耳たぶくらいの柔らかさと表現される)が出たときが食べ時。
重みがあり、きれいな卵型のもの、全体の色が均一なもの、大きいものほど味わいがよいといわれる。
ヘタの周りがしっかりしているもの。
鮮度が悪くなったものは、外観からは分からないが内部が黒くなる。
栄養
脂肪分を多く含むため「森のバター」と呼ばれるが、むしろバターよりも栄養価値の高い「森のチーズ」と呼ぶにふさわしい。
果肉100g中に牛乳の4倍の脂質と2倍ものエネルギーがある。
植物とは思えないほど脂肪(植物性なのでコレステロールはゼロ)が多い。
脂肪の比率は約19%で牛のひれ肉よりも高いが、脂肪酸はオリーブ油に多いオレイン酸が主体なので、動物の脂のように血液中のコレステロールを増やしたり心臓疾患のリスクを高めたりはしない。脂肪の80%以上が不飽和脂肪酸(ビタミンCやリコピンの吸収を助ける効果もある)のためであって、動脈硬化の予防にもつながるが、ダイエット中の食べすぎには注意が必要。
平均的に高い栄養素は、疲労時や成長期の子どもには最適な果物といえる。
体内の脂質の酸化を抑制して細胞のガン化を予防するビタミンE、糖質や脂質がエネルギーに変わる際に働くビタミンB群、胎児の成長に欠かせない葉酸、ストレスに強い体を作るパントテン酸などのビタミン類を豊富に含む。カリウム(他の果物と比べても最も多い。可食部100g中720mg)、鉄、銅などのミネラル類もたっぷり含まれる。食物繊維も多く、便秘解消に良い。
コレステロール値の低下、生活習慣病の予防、運動能力の向上、美肌、老化防止、夏ばて等に効果があるといわれている。
消化吸収率も80~90%と高いので、ベビーフードとしても良い。
(=栄養補給に大変良い)
料理
果肉は黄緑色で脂肪分が多くねっとりしているが、甘み、酸味はほとんどない。
種子が大きいので中央に切れ込みを入れ、両の手で逆の方向にひねってふたつに
割り、スプーンですくって食べる。裏ごししてスープにしたり、ジュース、サンドウィッチ、ディップの材料、サラダに使われる。
アボカドに岩塩をふるだけのシンプルな食べ方は、素材の美味しさを堪能できる。
果肉をしぼってバター状にして、パンに塗り、レモンをしぼって食べてもよい。
食欲のないときは、刺身風にして食べて体力増強に。
塩とレモンといっしょにして食べると栄養効果が上がる。塩とレモンの酸味はアボカドと合う。
柔らかくなりすぎたものは完熟したバナナとミキサーにかけ、牛乳を加えるとおいしいシェイクに。
堅いアボカドは5mm程度にスライスして天ぷらにするとよい。また堅い実は加熱すれば甘みとよい味わいが得られる。
ブラジルではアボカドを潰してシャーベットに加えたり、アイスクリームやミルクセーキにも使用する。
ハワイに住む東洋人は砂糖でアボカドを甘くして食べる。
ジャワ人は新鮮なアボカドをブラックコーヒーに混ぜる。
日本では醤油や山葵と一緒に食べるのが人気。(醤油と一緒に食べるとマグロのトロの味に似ている)
保存
追熟させたいときは常温で保存。黒く熟したものなら新聞紙に包んで冷蔵庫で保存。
20℃で収穫後2週間で果実は軟化を始める。
貯蔵温度は7.2℃が最適とされているらしい。
カットしたものを保存するときは、切り口が黒くなるのを防ぐためレモン汁をたらして冷蔵庫へ入れる。ピューレにしてレモン汁をかけて密封冷凍もできる。
販売のポイント
・健康を考えるならぴったりの果物です。
・果物の中で世界一高い栄養価はギネス認定!
・幅広い調理用途!野菜感覚で、スープ、サラダ、ジュースに。
その他情報
1個約200g(個々で差はある)。
その皮は赤痢や寄生虫の排出に使用される。
葉は歯槽膿漏に効くとされ、噛む薬として使用できる。
葉の湿布は傷に効く、また下痢、喉の痛み、出血、胃の痛みのための薬になる。
粉末にした種はフケに効果があると信じられている。
有毒成分が葉の中に見られる。
牛、馬、うさぎやヤギがアボカドの葉を食べると毒が回るがその後回復するらしい。
アボカドの葉がため池に落ちると、魚を殺すことができる。
そのオイルはシャンプーや洗顔料、ハンドローションに使用される。
世界一栄養価の高い果物としてギネスブックに認定されている。
特別参考資料
・ALL ABOUT様  アボカドの熟度・種類・旬
 http://allabout.co.jp/gm/gc/7056/
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調べれば調べるほど面白い果物。
”世界一高い栄養価を持っている果物”としてギネスブックに認定されていることは、
お客様にもすごくいいアピールポイントになると思う。
実際、アボカドを毎日食べられるようにレシピなどを充実させ売り込んでみたらすごく面白そうである。
というか、もっと日本人は健康意識を上げるために、アボカドを売り込むべきなのかもしれないと思った。
それぐらい価値のある果物だと今回調べてみて分かった。

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