野菜ソムリエ Hiro のベジフルポケット

温州みかんの知識まとめ(歴史、旬の時期、見分け方、栄養、保存方法etc)

      2016/11/23

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歴史

日本で一般的にみかんと呼ばれるのは温州みかんのこと。
原産地はインド、タイ、ミャンマーあたりとされる。

紀元前22世紀の中国では栽培が行われていた。
温州みかんは約500年ほど前(江戸時代)、鹿児島県で中国沿岸の柑橘産地から渡来してきた品種を親として偶発実生したとされる。

名前の由来は柑橘類の特産地である中国の温州府のミカンに匹敵する品質とのことから。
明治初期までは北九州の地方種に過ぎなかった。

「嫁して3年子無きは去る」の封建時代には、その無核性が忌避されたこともあり世に広まらず、明治中期から全国的に栽培がはじまる。
(それまでは紀州みかんが主流だった)

青みかん、夏みかん、いよかん、八朔、甘夏などはすべてみかんの仲間。
江戸時代に栽培が始まった。元々は中国原産だったものが、世界各地に広まり、独自の種を持つようになった。

産地

愛媛、静岡、佐賀、和歌山、熊本、長崎

時期

ハウスのものは主に5月ー9月にかけて。
極早生品種は9月から収穫開始。12月に収穫される晩生のものは貯蔵され3月頃まで。
露地栽培のものは12月から2月といえる。

見分け方

大玉より小玉のほうが甘みが強い。
皮が浮いていないもの(浮皮という。果皮の吸水によって果皮水分が高くなり、果肉
がしぼみ、果皮と果肉の間に隙間が多くなる現象)。皮にツヤがあり、色が濃いものほど風味がある。
ヘタの切り口があまり大きくないもの。皮の粒粒(油胞→ゆほう)が細かくて均一なもの。
皮が薄いもの。全体的にやや平べったいほうが、形がきれいなものよりも甘酸適和という。皮に適度な水分があるものが食べごろ。
上から見て円形でヘタが中心にあるもの。
美味しくないみかんは熟しても肩のところがスカスカ

栄養

・3-4個で1日に必要なビタミンC100mgが摂れるといわれる。
 疲労回復効果のあるクエン酸を含み、ビタミンCの吸収を助けるビタミンPを一緒に合 
 わせ持つのも特徴。
・カロテンがトマトの約2倍(緑黄色野菜といえるほどに豊富なことがわかる)
 、カリウム、葉酸、ビタミンEも含む。
・色素の一種、βークリプトキサンチン(カロテンの仲間でカロテンの数倍という
 発ガン防止作用があるそう)を含む。
・白いスジには、食物繊維(ペクチン)が果実部分に比べて約4倍もある。
 (便秘予防、コレステロール値を下げる働きがある)
 袋に含まれる毛細血管を丈夫にしたり、血圧の上昇を抑えるヘスペリジン、免疫機能を強くするビタミンPも多い。
・最近ではシネフリンという成分が脂肪燃焼効果を高めることから注目されているそう

料理

・ノドの炎症に煎じた皮が効く。
・加工ジュースはゼリーの材料、缶詰はゼリー、ヨーグルト、ケーキに。
・シンプルなサラダ、ポテトサラダに入れてもアクセントになる。ソテーのソースなどの料理に使われることもある。

保存

ヘタを下にして保存すると傷みにくい。風通しのよい冷暗所で。
温度3-7℃、湿度は85%が適当。

ポイント

・栄養のことを考えるなら生が一番!
・小さくて、甘くて、簡単に皮がむける手軽さ。
・たくさんみかんがあるときは、冷凍みかんに!
 表面を洗って、水分をふき取らないまま冷凍庫に入れるだけ。
・12月がピーク。売り込めば果物部門の売り上げに大きく貢献。
 売り場スペースは果物売り場の約20%はとること。

その他情報

・芳香性精油があるので、アペタイザー(食欲増進剤)的性能がある。
・ひびやしもやけに果汁をつけてマッサージすると治りを早める。
・風邪や流感には果実を火で焼き、熱い果汁をしぼって飲むと大変効果があるそう。
 果汁に生姜のしぼり汁を少し加えると効果倍増。
・みかんの皮を日干しにしてカラカラにしたものは陳皮(ちんぴ)の名があり、
 健胃作用、咳止めなどに使われる。ちんぴ小さじ1にハチミツを少量加えて熱湯を
 注ぎ、熱いうちに飲むのが方法。
 ・みかんを食べ過ぎると指先や爪が黄色に着色するのは、柑皮症(かんぴしょう)といい、βーカロテンと汗と混じって起こる現象。健康に害はない。
・追熟ではないが、収穫後しばらく貯蔵し、水分と酸味が適度に抜けて甘みが強くなってから出荷される。
・みかんの皮を天日で干してお風呂に入れると、血行促進や肩こり改善効果のある入浴剤になる。
・樹齢約30年を超えてくると味のよい商品ができにくいといわれている。なので、樹齢が若い産地がこのところ、有力な産地になっていることが多いそう。
・高糖系品種は糖度12度以上で、クエン酸が0.9%以下だそう

・枝の先のあたりに実ができることを「天成(→てんなり)」というそうで、天成は水を引っ張る力が強いので大きくなるそう。逆に枝の下のあたりのものは、水分や栄養があまりもらえないので、ゆっくりとしか大きくならないわけで、これが結果的に枝の下のものが美味しくなる原因だそう。

 

Hiroのメモ書き

調べてみると、おもしろいですね。
栄養成分についてほとんどの人がビタミンCが豊富!と挙げると思うんですが、そのほかにもカロテンや食物繊維が豊富と知っている人がどのくらいいるのでしょうか。

大玉より小玉が美味しいのは事実なのに、なんでLサイズを買う人がいるのかいつも不思議。味より大きいほうが好きな人もいるんだろうけど、なんとなく小玉をいつも勧めてしまう自分。

陳皮のことだったり、剥き方だったり、いろいろな面で訴求できそうです。

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