品名
シシトウ / 獅子唐
英名:small sweet green pepper
植物学上の分類
ナス科トウガラシ属
歴史
原産は熱帯アメリカ。日本で改良して作られた甘味種のとうがらしのひとつ。
ピーマンに比べて果肉が薄くて柔らかく小ぶりなのが特徴。
果実の先端部分がへこみ、形が獅子面に似ていることから獅子唐辛子と呼ばれるようになった。
品種
とうがらしには辛味種と甘味種があり、甘味種の代表品種がピーマン、そして小果型がししとうである。
ししとうの仲間に、伏見甘や万願寺とうがらしもある。
これらはしし唐と同じ味わいだが、肉厚で、やや辛味が少ない。
産地
最大の産地は高知。次いで千葉、和歌山、岐阜、秋田、宮崎など
時期
6-8月が旬といえる。温室栽培で一年中出回る。
見分け方
濃い緑のもの。
つや・張りがあるもの。ヘタが黒いもの、ふかふかしたものは古い。
片方の枝は太く、もう一方の枝は細い。
前者は勢いよく成長し先がとがって立派なものができるが、辛い。
後者はゆっくり成長して、先の丸いものができる。こちらはえぐみがあるらしい。
好みで使い分けたいところ。
栄養
辛味の成分はカプサイシン(毛細血管の血液の流れを促進するはたらきがある。からだをぽかぽかに温めてくれる。
また脳の中枢神経を刺激するため、エネルギー代謝が高まり体脂肪が分解されやすくなる。
食欲増進効果、疲労回復に効く。もちろん通常の唐辛子に比べると含有量は少ない)。
含有量が多い部分は、種子を支えている胎座(たいざ)と呼ばれる部分と、果実と胎座をつなぐ隔壁と呼ばれる部分。
この含有量は栽培される環境条件によって変動し、高温や乾燥した状態が続くとカプサイシンの含有量が増加して
辛味の強いものができるといわれる。
カプサイシンと細胞壁に沈着しているリグニンという成分は、同じ物質を材料として合成される。
そのため、乾燥によって細胞壁の生長が抑えられ、リグニンの合成が減ると、カプサイシンの合成が盛んになって
辛味が強くなると考えられる。見た目では含有量の差は判断できない。
ししとうは組織が硬く、加熱してもビタミンCが壊れにくい
カロテン100g中530μg。
ビタミンC 100g中57mg、食物繊維は100g中3.6gとどちらもピーマンより豊富である。
料理
揚げ物、煮物、焼き物と日本人の食生活に合った食材である。
丸ごと網焼き、みそ焼き、油炒め、串揚げ、てんぷらなどの油料理や肉料理がよく合う。
強めの火加減で加熱は短めにするとビタミン類の損失も防げる。
加熱するときは、皮に切れ目をいれないと中の空気が膨張して破裂する恐れがある。
(包丁で小さな切れ目を入れるか、竹串で数箇所刺すなどすること)
種は細かいので出さなくてよいが、切った際は取り除く。
ししとうとちりめんじゃこを甘辛く煮た当座煮は人気。
保存
糖味噌につけたり、さっと湯がいておけば保存できる。
パックで売られていることが多く、そのまま冷蔵庫で4-5日保存できる。
ポイント
・辛味が少ないためそのまま加熱して食べられる
・そのまま焼くだけで酒の肴になる
・唐辛子は少量しか食べないが、シシトウは種ごと食べられるので栄養的に優れている
・カロテンを多く含むので油をつかって調理すれば効率的に摂れる
・とうがらしの名前が付いているが、むしろ甘さを持っている夏野菜
その他情報
・基本的に辛くないものの、たまに驚くほど辛いものが混じる。
栽培環境や時期、辛味種との自然交配が原因だと考えられる。
夏場には激辛のものにあたることが増えるらしい。
・熟すと赤く成長し観賞用として扱われるが、これは赤唐辛子とはまったくの別物
Hiroのメモ書き
今まで普通に売っていたが、普段調理しないひとがシシトウを買う際には、調理の仕方を伝えるべきだと思いました。
育ちの過程で枝が分かれて、それぞれ辛みやえぐみの含有量が違うということが面白かったです。
きちんと見分けてお客様にもアドバイスできたらと思います。
また、ビタミンC、カリウムがピーマンより豊富だということも驚きました。
ぼくが子どもの頃は、ししとうはたまに辛いものに当たってしまうことがあって、あんまり好きになれなかったんですよね。。調べていてものすごく辛くて、お茶をたくさん飲んでいた記憶がよみがえってきました。