カナダの果物といえば何?カナダで最も生産量の多いフルーツを調べてみた
2024/09/04
9,984,670平方キロメートルで世界第2位の国土面積を誇るカナダ。10の州と3つの準州に分かれます。日本の外務省によると、日本とカナダの国の面積を比較したら、カナダは26.4倍にもなります。
そんなカナダでは、豊富な国土を使って様々な果物が栽培されています。
例えば、野菜ソムリエHiroの暮らすカナダ・ブリティッシュコロンビア州のメトロバンクーバーエリアでは、夏になると地場のブルーベリーやイチゴ、ブラックベリー、もっと郊外に行けばハスカップベリーやチェリー、桃も多く栽培されています。
また、リンゴも夏の後半から出始め、秋になるとたくさんの種類のリンゴがお店に並び、真っ赤なクランベリーも売り場に彩りを添えます。(クランベリー農園を訪れた際の記事はこちら)
スーパーに行けばカナダ産だけでなく様々な国の果物が手に入るカナダですが、現地に暮らしている方は、「そういえば、カナダってどんな果物がたくさん栽培されているんだろう?」と疑問に思ったことが一度はありませんか?
そこで今回はカナダ統計局の2023年のデータをもとに、カナダで生産量の多い果物を紹介したいと思います。
2023年版カナダで生産量の多い果物ランキング
カナダで栽培されている果物は多様で、その生産量は年々変動していますが、以下が2023年度の主要な品目の生産量とそのシェアになります。
果物の生産量(2023年)
果物 | 生産量 (t) | 2023年 シェア (%) |
---|---|---|
リンゴ | 368,476 | 41.5% |
クランベリー | 151,316 | 17.1% |
ローブッシュ・ブルーベリー | 107,233 | 12.1% |
ブドウ | 104,016 | 11.7% |
ハイブッシュ・ブルーベリー | 59,749 | 6.7% |
スイートチェリー | 22,350 | 2.5% |
イチゴ | 22,181 | 2.5% |
モモ | 20,590 | 2.3% |
ナシ | 9,296 | 1.0% |
ラズベリー | 6,720 | 0.8% |
ネクタリン | 4,139 | 0.5% |
プラム・プルーン | 3,869 | 0.4% |
サワーチェリー | 3,131 | 0.4% |
アンズ | 696 | 0.1% |
サスカトゥーンベリー | 695 | 0.1% |
ブラックベリー | 516 | 0.1% |
ハスカップ | 477 | 0.1% |
カラント | 157 | 0.0% |
キウイ | 54 | 0.0% |
その他の果物 | 1,529 | 0.2% |
総計 | 887,191 | 100.0% |
注: ブドウは生食用とワイン用ぶどうを含みます。
出典: Statistics Canada. Table 32-10-0364-01 Estimates, production and farm gate value of fresh and processed fruits
ということで、2023年のデータを見ると、カナダではりんごが最も多く生産されており、全体の約40%を占めているのが分かりました。
リンゴといえば、野菜ソムリエHiroが暮らすバンクーバーでいうとアメリカ産も多く出回っていますが、夏の後半からローカルのリンゴも多く見かけるようになり、秋には様々な品種のものが出回ります。
また、クランベリーも全体で見るとカナダ第2位となる生産量!17.1%のシェアとなっています。
毎年秋になると、クランベリーファームは真っ赤な海のようになるのは、カナダらしい風景ともいえるかもしれません。ウォーターハーベストといって、畑に水を入れて、果実を浮かせて収穫しています。
カナダではサンクスギビングデー(感謝祭)にターキーといっしょにクランベリーソースを食べる文化もあるので、生産量が多いのも納得です。
リンゴとクランベリーに続く生産量を誇るのは、ローブッシュのブルーベリー、ブドウ(生食用とワイン用含む)、ハイブッシュのブルーベリーでした。
このブルーベリーの「ローブッシュ」と「ハイブッシュ」の違いをご存知ない方もいるかと思うので、以下確認してみてください。(特にカナダ西部に住んでいるとローブッシュの生のブルーベリーは普段見かけることが無いと思います)
英語での名前の通り、樹丈が低い(ローブッシュ)ため、収穫がハイブッシュのブルーベリーにくらべて困難な品種です。地面に這ったようなカタチで育ちます。
ワイルドブルーベリーは変わっている果物で、栽培者がワイルドブルーベリーの樹を植えません。生えているものが上手く育つように管理するのが農家さんの仕事で、大変な手間がかかります。栽培種と違っていろんな色合いのワイルドブルーベリーが一度に育つのが普通ですが、色が違っても味は一緒といわれています。
(カナダのベリー農園にて。ローブッシュと比べてブルーベリーの樹が高いことが分かるでしょうか?)
ハイブッシュ
20世紀前半に野生種から開発されたブルーベリーの栽培品種。寒冷地向き。樹がローブッシュに比べて高く育つので、収穫しやすいメリットがあります。ローブッシュベリーより早く収穫できて、大きくて腐りにくいので、小売市場への出荷に非常に適しているのもポイント。生で販売されることが多いです。
カナダではハイブッシュの約95%が野菜ソムリエHiroが暮らすブリティッシュコロンビア州で栽培されているといわれています。その他にもオンタリオ州、ケベック州、ノヴァスコシア州でも栽培されています。日本には1951年にハイブッシュが導入。
また、生産量15位のサスカトゥーンベリー(Saskatoon Berry)は日本人にとってはあまりなじみが無いものかもしれませんが、バンクーバーでは夏になると少量出回っています。
野菜ソムリエHiroは個人的にブラックベリーの生産がもっと多いのではないかと思っていたのですが、表を見るとどうやらそうでもないみたいで意外でした。(商業的な栽培ではなく、道のわきに勝手に生えていることも多いからでしょうか・・・?)
ということで、カナダで一番生産されているトップ5の果物はりんご、その次はクランベリー、そしてローブッシュブルーベリー、ブドウ、ハイブッシュブルーベリーでした。過去2019年からさかのぼって、この5品目がトップ5を維持していることを見ても、カナダを代表する果物と言っても良いかもしれません。
カナダの「州別」果物生産量は?
カナダの各州における果物の生産量について気になっている方もいるのではないでしょうか?ここで州別の果物生産量とシェアを見てみましょう。(※準州は除く)
果物生産量(2023年)
地域 | 生産量 (t) | シェア (%) |
---|---|---|
ニューファンドランド・ラブラドール | 1,024 | 0.1% |
プリンスエドワード島 | 12,546 | 1.4% |
ノバスコシア | 63,617 | 7.2% |
ニューブランズウィック | 40,052 | 4.5% |
ケベック | 253,771 | 28.6% |
オンタリオ | 285,641 | 32.2% |
マニトバ | 269 | 0.0% |
サスカチュワン | 488 | 0.1% |
アルバータ | 637 | 0.1% |
ブリティッシュコロンビア | 229,145 | 25.8% |
カナダ合計 | 887,191 | 100.0% |
出典: Statistics Canada. Table 32-10-0364-01 Estimates, production and farm gate value of fresh and processed fruits
2023年は大都市トロントや首都のオタワがあるカナダ東部のオンタリオ州が32.2%のシェアと一番多かったです。
それに続くのが、ケベック州(28.6%)、西海岸にあるブリティッシュコロンビア州(25.8%)となりました。
カナダ統計局によると、カナダ東部のオンタリオ州南部と西部にあるブリティッシュコロンビア州南西部は、それぞれ年間約180日の無霜期間があり、国内で栽培される果物の多くを生産しているとのこと。また、東部のケベック州と沿岸地方も年間約120日の無霜期間があり、果物の栽培が盛んであることが記されていました。
ちなみに、2022年度はケベック州が1位、2021年はブリティッシュコロンビア州が1位でした。カナダは非常に広大な国で、地域ごとに気候が大きく異なります。州の面積や人口はもちろんですが、各地域のその年の天候状況が、このランキングに大いに影響しているかと思います。
カナダ「州別」の果樹園の数
先ほどの州別の果物生産量の表で個人的に意外だったのが、ブリティッシュコロンビア州の隣にあるアルバータ州やカナダ中西部のサスカチュワン州などのシェアが 0.1% だったことです。マニトバ州に至っては0.0%でした。
そこで農園の数を調べてみると、そもそもアルバータ州やサスカチュワン州、マニトバ州などは果樹園の数が少ないことが分かりました。
2021年のデータにはなりますが、州別の果樹園の数を示したデータをご覧ください↓
州別の果樹園の数 (2021年)
州 | 数 | シェア(%) |
---|---|---|
ニューファンドランド・ラブラドール | 30 | 0.4% |
プリンスエドワードアイランド | 148 | 2.1% |
ノバスコシア | 619 | 8.7% |
ニューブランズウィック | 319 | 4.5% |
ケベック | 1,470 | 20.7% |
オンタリオ | 1,211 | 17.1% |
マニトバ | 66 | 0.9% |
サスカチュワン | 79 | 1.1% |
アルバータ | 123 | 1.7% |
ブリティッシュコロンビア | 3,036 | 42.8% |
カナダ全体 | 7,101 | 100.0% |
アルバータ州など冬は厳しい寒さになるので、その土地の気候条件や土壌の質、日照量などが果物の生産に大きく影響しているのかもしれません。
逆にブリティッシュコロンビア州には3,000を超える果樹園(カナダ全体でみても40%を超える)があることも個人的には驚きでした。
まとめ
ということで、カナダで最も生産量の多い果物ならびに州別の果物生産量、果樹園の数を調べてみました。
2023年にはケベック州で果物生産が前年比で21%、BC州で9.7%減少したため、オンタリオ州は果物生産量のトップを取り戻しました。オンタリオ州は国内の果物作物の32.2%を占め、ケベック州(28.6%)、ブリティッシュコロンビア州(25.8%)を上回っているということで、これら3つの州で2023年のカナダの果物生産量全体の86.6%を占める結果となっています。
野菜ソムリエHiroが暮らすブリティッシュコロンビア州でいうと、果物生産量は2018年で308,601トンのピークに達しましたが、その後、長引く熱波や洪水など異常気象の影響で5年連続で減少している状況です。
個人的にはカナダ中西部地域で果物の生産が非常に少ないことが今回一番の発見となりましたが、皆さんは何か新しい気付きがあったでしょうか?カナダ統計局は毎年「Statistical Overview of the Canadian Fruit Industry」を発表しているので、興味がある方はぜひチェックしてみてください。