2022年7月中旬、カナダ東部モントリオールで野菜と果物を販売している Pardess Farms が珍しい果物「マモン(Mamon)」を入荷したことを知った野菜ソムリエHiro。
前からずっと食べてみたかったものの、カナダでは普通には手に入らないような果物だったので半ば諦めていたのですが、Pardess Farms のおかげでついに手に入れることができました!
そんなこんなで、最速の配達便を利用して注文から2日後にバンクーバーへ実際に届いたのがこちら↓
珍しい果物を手に入れたので、久しぶりにクイズです。名前は何でしょう? pic.twitter.com/ghlz2s0fxC
— 野菜ソムリエHiro🇨🇦🌈 (@hiro_vegetable) July 21, 2022
「な・・・なんだこれは・・・?!」と思う方も多いかと思います。(おっさんの顔ではなく果物の方)
実際SNSで「何という果物でしょう?」とクイズにしてみたのですが、知っている方はごく一部という感じでした。それくらい日本人(なんならカナダ人も)になじみの無い果物かと思います。
そこで今回は、このマモンの産地や旬、食べ方、実際に食べた感想などを5つの項目に分けてまとめてみました。
この記事の目次
1.小さいライムみたいな見た目だけど柑橘ではなくてムクロジ科の果物
早速ですが、マモンを見て「小さいライムみたいに見える」という方も多いかと思います。SNSでクイズにしたときは、「サルナシ(ベビーキウイ)ではないか?」という声も多かったです。
たしかにマモンはまるで小さいライムや少し大きなサルナシのように見える面もあるかと思うのですが、実は柑橘系ではなくムクロジ科の植物です。(※ライムはミカン科)
ムクロジ科の果物といえば、「ライチ」や「リュウガン(ロンガンともいう)」「ランブータン」などが該当します。枝の感じを見ると、たしかにそれらの果物と似た面があり、ムクロジ科っぽさがあるんですね~!
マモンは2.5 ~5cm くらいの楕円形というかライムっぽいカタチの実をつける果樹で、原産地は南アメリカ北部といわれています。現在は中南米、カリブ海の熱帯地域、特にコロンビアやベネズエラなどで自生あるいは栽培されています。
主に熱帯地域で成長する果物なんですね。
また、マモンの木は最大高さ25mに達することもあるそうで、はしごなどを使っての収穫が必要な果物です。
旬は夏で、hort.purdue.eduによると、アメリカのフロリダでも栽培されていて、マモンの果実は6月~9月頃に熟すとのことです。さらに、中南米のバハマでは、少し時期がずれて7月~10月頃まで旬が続くそうです。
2. マモン以外にも名前がありすぎて覚えられない件
「マモン」と聞いても「???」となる人もいます。その理由は単に知らないということもありますが、マモンは自生・栽培されている場所によって呼び名がけっこう異なるのも原因の一つです。
hort.purdue.edu のマモンのページを見ると、以下の名前が記されていました。
呼び名 | 国 |
---|---|
genip、ginep、ginepe、guenepa、guinep | バルバドス、ジャマイカ、バハマ、プエルトリコ、トリニダードトバゴ |
grosella de miel | メキシコ |
guayo | メキシコ |
honeyberry | ガイアナ |
Jamaica bullace plum, kanappy | プエルトリコ |
kenet | フランス領ギアナ |
knepa | スリナム |
knepe | フランス領西インド諸島 |
knippa | スリナム |
limoncillo | ドミニカ共和国 |
macao | コロンビア、ベネズエラ |
maco | ベネズエラ |
mamon | コロンビア、ベネズエラ、エルサルバドル、ニカラグア、コスタリカ、パナマ、アルゼンチン |
mamon de Cartagena | コスタリカ |
marmalade box | ガイアナ |
mauco | ベネズエラ |
muco | コロンビア、ベネズエラ |
quenepa | ドミニカ共和国、プエルトリコ、コロンビア |
quenepe | ハイチ |
quenett | フランス領ギアナ |
sensiboom | スリナム |
Spanish lime | フロリダ |
tapaljocote | エルサルバドル |
ちなみに今回マモンを購入した Pardess Farms では「guinep」「Mamoncillo」「Spanish Lime」と3種類の名前が記載されていて、産地を尋ねるとドミニカ共和国から仕入れたとのことでした。
上の表を参照すると、ドミニカ共和国では「リモンチロ(limoncillo)」と呼ばれているようです。こうやって名前を辿るのも面白い果物だな、と思いました。(超ポジティブ)
また、スパニッシュライム(Spanish Lime)という呼び名が英語なので、多くの日本人にとってはなんとなくこれが一番スッと覚えられるような気もします。
ちなみにSpanish Limeという名前は、小さくて未熟なライムに似ていることから付けられたそうですよ。
3. マモンの食べ方は?どんな味?実際に食べた感想
革のような見た目の緑色の果皮を持つマモンですが、皮は薄めで爪を少し入れると破けます。
革のような果皮のためか保存が効く果物とのことで、冷蔵庫で数週間は日持ちするといわれています。実際野菜ソムリエHiroも購入したものを冷蔵庫の野菜室で保存してみたのですが、約2週間ほど大した鮮度劣化もなく保存できました。(※入手時の鮮度にもよる)
果皮を剥くと、オレンジシャーベット色のような果肉が出てきました。このゼラチン状のようなふわりとした果肉(仮種皮)を食べます。
調べてみると品種によって果肉はオレンジ色、サーモンピンク、黄色っぽいものもあったりするそうです。いや~、他のマモンの品種にも出会ってみたいものです。
また、少し果実が大きいものは、中が2つに分かれていたりもしました。上の写真がまさにそれで、果肉が2つに分かれています。
続いては、気になる味です!
このオレンジシャーベット色の果肉を口に含んでみると、酸っぱ甘い果汁が楽しめました。甘い、というよりは酸っぱさが少し強めで甘い、という感じでした。
マモンはよく「ライチ×ライム」的な表現がされるのですが、ライチみたいなぷりぷりとした果肉ではありません。でも、なんとなくそれっぽさもあります。
個人的に一番近い味わいだと思ったのは、以前食べたアチャチャです。(カタチと果肉の感じもよく似ている)
アチャチャはボリビア原産でマンゴスチンにも似た果物なのですが、味わいがまるで食べるレモネードのような感覚で、今回のマモンに近いものを感じました。なにはともあれ、心地よい酸味です。
ただアチャチャと違うのは、マモンは中にある種が一つで、それがかなり大きいという点です。
そのため、実際のところ可食部はそこまで多く無い感じ。種は果肉から非常に剥がれづらいので、種の周りをすするようにして果汁を吸って種を吐き出す感じで食べる必要がありました。
あえて5段階で数値化するのであれば、以下のような感じです!
酸味 4 ★★★★☆
食べやすさ 2 ★★☆☆☆
4. 生で食べる以外の食べ方は?
マモンについて色々と調べてみると、マモンの種は茹でたり、焙煎して栗のように食べられることが分かりました(驚)
焙煎するとカシューナッツに似たような味わいになるそうで、細かく砕くことで、パンを焼く際などのトッピングとして使用できるようです。
また、specialtyproduce.comによると、マモンは飲み物やゼリー、砂糖と水を等量に加えてシロップなどを作ることができます。
(そもそも種が大部分で可食部が少ないので、十分な量を集めるためにけっこう時間がかかりそうですが・・・)
エクアドルではマモンは塩と唐辛子と一緒に食べられるそうで、コロンビアではマモンのジュース缶が商業的に生産されているようです。そして、ベネズエラでは焙煎した種を粉砕して蜂蜜と混ぜて下痢止めにしたりするとの情報もありました。
もう一方で、マモンの葉を入れた水を沸騰させ、お茶として飲むこともできるそうです。上の動画では、マモンのお茶はあらゆるタイプの胃の問題に効果があるとされ、ダイエットや便秘にも良いと記されていました。
さらに1日2回2週間続けて飲むと、血圧と血糖値が下がる可能性もある模様。(※100%確証は無いので、あくまで参考程度に)
今回購入した際はほとんど葉っぱは付いてこなかったのですが、一度は試してみたいですね。
5. 子どもがマモンを食べる時は注意
種が大きいという話が先ほど出ましたが、hort.purdue.eduによると、ジャマイカの科学農業省の政府化学者は「子どもたちがマモンを食べる際、口の中で滑りやすいので、大きな種を誤って飲み込んで窒息する危険性がある」と警告しています。
そのため、子どもに与える際は種部分を取り除いて渡す or 特に幼い年齢の子どもには与えないことが推奨されています。
野菜ソムリエHiroは実際マモンを食べてみたので分かるのですが、種が本当に大きいので、これを誤って飲み込んでしまったらたしかに窒息するレベルだと思います。しかも果肉が種から剥がれづらい果物ので、長く種の周りを口の中で舐めたくなるんですよね。
なので、誤って飲み込むということも考えられない話ではありません。もしこの記事を見てくださっている方の中でマモンを手に入れる機会があれば、ぜひ小さい子どもの手の届かないところで食べてみてください。
最後に:プエルトリコではマモンのお祭り「Fiesta Nacional de la Quenepa」も
マモンについてなんとなくでも味が想像できたでしょうか?
最後になりますが、マモンはプエルトリコで「ケネパ(Quenepa)」と呼ばれているそうです。
そして、特に南部に位置する都市ポンセではマモンの生産量が多い(Wikipedia によると、ポンセでは4品種のマモンが栽培されているそうです)ことから、「Fiesta Nacional de la Quenepa」(英語:National Genip Fruit Festival))という祝祭が2008年から例年行われていた(or いる)ようです。
お祭りではマモンを使った食品に加えて、マモンを使った料理のコンペティションのようなものもあったり、種を使った工芸品も販売されていたそう。
少し調べてみると2019年のお祭りのポスターはあったのですが、コロナ禍以降開催されているのかは不明です。
ウェブはもちろんTwitterやInstagramでも探してみたのですが、情報が見つけることができませんでした。もし「Fiesta Nacional de la Quenepa」について何か情報をお持ちの方は、ぜひ教えてください。
ということで、いかがでしたか?
最後になりますが、実はマモンをPardess Farms でオーダーした後、1度運送中に腐ってしまったものが届きました。(カナダはクール便が無いのが大きな理由)
そのため、Pardess Farms に状況を報告すると「送料は返金できないけど、また同じものは無料で送るよ」と言ってもらえて、2回目の注文で新鮮なものを手に入れることができました。本当に Pardess Farms に感謝です。
カナダにお住まいの方は、Pardess Farms でマモンをオンラインで購入することができるので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
そして日本にお住まいの方は、熱帯エリアに旅行した際などにはぜひマモンを探してみてください。見た目はライムに似ていますが、味わいは全く異なる面白い果物ですよ♪