品名
オクラ
英名:okra
別名アメリカネリ、オカレンコン、ナットウなどと呼ばれる
アメリカではすらりと伸びた緑色の美しさから「レディースフィンガー」と呼ばれる
植物学上の分類
アオイ科トロロアオイ属
歴史
東北アフリカ原産
オクラの名前はアフリカの現地語から
エジプトでは古くから食用として栽培されていた。日本には幕末に渡来し、西洋野菜の中では比較的はやく定着した。生産が伸びたのは70年代に入ってから。
ヘルシー志向や食生活の多様化から見直され、近年生産量は増加。
品種
日本では5角形が一般的だが、8角形や丸形のもの(沖縄の丸オクラなど)もある。
色は緑が普通だが、赤色種(生食できるが、加熱すると深い緑色になる)、黄色種もある。
長さは6-8cmが普通だが、2cmほどのミニオクラ(普通のオクラを早採りしたもので料亭などで使用される)や、
15cmほどの大果系もある。
産地
鹿児島、高知、沖縄、タイ
時期
6-9月が旬。
冬から春にかけてはタイ、フィリピンなどの輸入ものが多い。
開花後5-6日の若い莢果実がもっともおいしいので、栽培している際は1週間以内に収穫を。
見分け方
あまりに大きいものは中の種が堅いことがある。中ぐらいのものがよい。
緑が濃く、黒ずみがないもの。ヘタのすぐ下、肩の部分が張っているもの。
五角の稜線がはっきりしているもの。角と角のあいだがへこむと筋っぽくなる。
表面にうぶ毛が密生し、ヘタが若々しいもの、やわらかいものが良い。
タネが詰まっていると実がかたくなる。
だんだんと細くなっているものを選ぶ。極端に細くなっているものは避ける。
手で触れたとき、表面の毛がかたく指にあたるものが良い。毛がやわらかいものは避ける。
栄養
糖質が多い。カルシウム、鉄などのミネラル、カロテン、ビタミンCなどまんべんなく含まれる。
夏ばて防止に効果があるといわれるビタミンB1,B2が多い。
粘りの成分の元は、主としてペクチンとムチン。
・ペクチンは水溶性食物繊維(オクラの食物繊維は100g中5.0gでその1/3はペクチンである。
他にガラクタン、アラバンなど)でコレステロールの上昇を防ぎ、生活習慣病予防に。
(その他オクラには不溶性の食物繊維も多く含まれる。便秘改善、大腸がん予防。)
・ムチン(胃や口内などの粘膜を覆っている粘液の成分にも含まれる)は炭水化物と糖たんぱく質の複合体。胃の粘膜を保護、整腸作用があるので、飲酒の際摂りたい。また、たんぱく質の消化吸収を助ける効果がある。
生で食べても加熱しても栄養素量がほぼ変わらない特徴があるが、茹でるとぬめり成分が減る。
料理
旬のオクラは柔らかいので生で食べられる。
口あたりをよくし緑色を鮮やかにするためには、水洗いしたらたっぷりの塩をまぶしつけてひとつずつ指の腹でこすり、
表面のうぶ毛を取り除く。
そのまま料理する際は、もう一度水洗いして塩を洗い流し、茹でる場合はそのまま熱湯へさっと通し冷水へ。
(小さな切り目を入れれば破裂を防げる)これなら茹で湯に塩を入れる必要はない。
生のまま刻んで肉や魚にのせる。
ヘタは苦いので切り落とす。
オクラには臭みを消す効果もあるので、魚を煮る際加えるとよい。
ガクのかたい部分の周囲を薄くむくと、口当たりがよくなる。
加熱すればうぶ毛は気にならなくなるので、炒め物や揚げ物にする場合はガクの周囲をむくだけでよい。
納豆のようにしたり、おろしてとろろ風にすることで独特の食感が手軽に味わえる。
茹でたお蔵を小口切にして2倍酢で和えたり、のりを散らして磯辺和え、マヨネーズで和えてサラダに。
網焼きやてんぷらも、さっと塩茹でしておひたしやサラダ。
トマト煮やシチュー、バターソテー、カレーにも。
細かく刻んで混ぜると、粘りが強くなる。
粘りが苦手なら長く煮込んでスープにするとよい。
輪切りにすると星型になりその切り口を生かす料理もあるが、
形より味わいを重視する場合は、苦味のある種をとるといい。
カルシウムを摂取したいなら、オクラをスライスしたものにちりめんじゃこ、かつお節、ごまなどを加えるとよい。
レタスと一緒に摂ると便秘に、ヨモギと一緒に煎じると下痢止めによいとされる。
保存
基本的に長持ちしないので、早く食べること。
ビニール袋に入れて冷蔵庫。2-3日以内に。新聞紙に包んで常温で保存してもよいとも思われる。
適温は10-12℃、適湿度は90%。
固めに塩茹でして、ラップで包み冷凍してもよい。小口切にして冷凍してもよい。
ポイント
・独特の粘り気と風味が人気
・納豆に混ぜてダブルネバネバ
・2日酔いやバテで胃腸が弱りがちな夏にたんぱく質の消化を助けるスタミナ満点野菜
その他情報
・食用とされるのは若いオクラで、完熟した実はコーヒー豆の代用としても使われる。
・アオイに似た黄色の美しい花も見所。
・小物野菜のなかでは成長品目のひとつ。
Hiroのメモ書き
いろいろとビタミンや鉄など栄養があるが、粘りの成分であるムチンとペクチンが特に目を引きました。
特にムチンは夏ばてで弱った胃を助けてくれる日本の夏に重要な栄養素だと理解できました。
あと驚いたのは、加熱しても生の場合でもほぼ栄養素が変わりないということ。
おそらくカリフラワーがブロッコリーより組織が硬くて茹でてもビタミンCの流出がブロッコリーより少ないのと一緒のことで、オクラの組織も硬いのでしょうか。
とはいえ、生で食べるのが一番かとも思います。
個人的には母がつくる2倍酢で和えたものが好きですが、今度は納豆にも混ぜてみたいと思います。