品名
さつまいも / 薩摩芋 / 甘藷
Sweet Potato
植物学上の分類
ヒルガオ科サツマイモ属
歴史
薩摩芋の名は、薩摩の特産だったことに由来。
別名の甘藷は野菜の中で最も「甘みのある芋」ということから。
17世紀、中国、琉球から薩摩藩(現在の鹿児島)を経て日本各地に広まる。
(記録上は1615年に持ち込まれたとあるが、それより数年前に入ったとも言われる)
原産地はメキシコ中央部からグアテマラにかけてとする説が有力。
紀元前3000年以前にはメキシコ地域で栽培化されたらしく、同2000年頃南アメリカに伝わる。
その後ペルーに渡った。15世紀末にコロンブスが新大陸発見、スペインの女王に献上したのがヨーロッパに広がるもととなった。
第二次世界大戦中には食糧不足からサツマイモ栽培が大いに奨励された。主食の代わりにされたこともあった。
産地
加工用を含めると鹿児島が生産量日本一。次いで千葉など。西日本一帯から関東までになる。
時期
9月から11月。
しかし、貯蔵されてある程度水分が蒸発した1-3月ごろのものが、最もおいしいと言われる。
見分け方
形に丸みがあり表面の黒ずみがないもの。
皮の色が鮮やかなものを両端が細く、すらりとしたもの。
切り口に蜜が出ていたら甘さのしるし。
ひげ根の跡が小さなものが良品。
あまりに細いものは味が悪い。
栄養
他のイモ類に比べ、食物繊維が豊富。(ジャガイモの2倍。特に皮の近くに多く含まれる。)
また、アマイドという物質や、ヤラピンという一種の樹皮配糖体を含む物質が働き、便通が良くなる効果が期待できる。
ビタミンC,E、B1、カリウム、銅も豊富。
主成分は炭水化物で、糖分も含まれる。デンプンやショ糖、ぶどう糖、果糖など糖質を多量に含む。
エネルギー効率が米、麦の約3分の1.皮にカルシウムがたくさん含まれている。
料理
料理によって品種を使い分けるのが賢い。(例:きんとんには「紅赤」、天ぷらやスイートポテトには「べにあずま」など)
・焼き芋、てんぷら、煮物、蒸し物、大学芋、汁の実、いもご飯など。
・煮る場合、皮付きのまま少し大きめに切っておくと、煮崩れしない。
・薄い皮の下にアクが多い。皮を厚めにむくと良い。
切ってすぐ水につけると変色しにくい。
ビタミンCが水溶性なので、目安として3分以内。
・加熱後もビタミンCの損失が少ない。
・サツマイモを加熱すると甘くなるのは、サツマイモに含まれるデンプンがベータアミラーゼという酵素によって分解され、麦芽糖に変わるから。
・リンゴと甘煮にすれば、カリウムたっぷりの煮物ができる。砂糖は少量でOK.
・塩と一緒に食べれば味が引き立つ。
・皮つきのサツマイモに塩をつけて食べると胸やけしないそう。
・風邪をひいたときや熱があるときなどは、サツマイモを黒焼きにして、黒砂糖と一緒にお湯で食べるとよいといわれる。
・ゆっくり加熱すると、でんぷんが糖に変わりやすく甘みが増す。(焼き芋が甘いのも、遠赤外線で徐々に加熱するため)
・レモン汁やミョウバンを加えると色よく仕上がる。
保存
低温に弱い。室内で風を避けて保存。1-2ヶ月は持つ。
洗ったものなら新聞紙にくるむ。適温は10-15度。
泥つきはそのままでもよい。
ポイント
・満腹感のあるわりに太りにくい。ダイエットに。
・さつまいものビタミンCは加熱しても壊れにくいから、レモンより摂取しやすい。
・紫芋には、アントシアニンが含まれる。
その他情報
・食べるとガスが出るというが、これは食物繊維が多いことと、糖分が発酵するため。このガスが腸への刺激となって快適な便通をもたらす。
・鹿児島での芋の収穫は超早掘が5月中旬からはじまり、7月に早掘、そして普通掘が9月から12月まで。超早掘と普通掘は貯蔵性がないのですぐに出荷される。ほくほくした中にフレッシュな香りがあり、てんぷらが美味。
・高系14号はそれぞれの産地で独自の名称をつけて出荷される。青果用に用いられる品種。
(なると金時、土佐紅など。この品種はほどよい甘みがある。)
・近年、種子島特産の安納芋など糖度の高い品種が支持されるようになった。
生の状態では糖度は16度程度だが、調理によっては40度にもなるそう。
・国産生産のうち食用は45%で、残りはでんぷんやアルコール類などの原料や飼料用になる。
Hiroのメモ書き
忘れていたのが、年明け後のサツマイモが美味しい、ということです。貯蔵によって甘みが十分になるため、秋もいいですが、冬もおすすめ。
最近では、安納芋という中がオレンジ色をした芋をテレビやお店でよく見かけるようになりました。岡山で人気のなると金時はホクホク系なのですが、
安納芋はネットリ系で、焼き芋にぴったりだそうです。
本には調理によって糖度が40にもなると書いてあったのが、驚きでした。どんな調理なんでしょうね。
調理の鉄則は、じっくり、みたいですね。