歴史
正式には桜桃という。
キリスト教の伝説によれば、ヨーロッパでは古くから「聖母マリアの木」と呼ばれ、古代中国でも天子がその果実を王朝に捧げたとされる神聖な果実。
原産地はイラン北部からヨーロッパ西部にいたるまでの広範囲。これらの地域に存在していた野生種が極めて古い時代に栽培化されたらしい。
最古の文献はギリシャのテオフラストスが紀元前3世紀に記した「植物の歴史」にさくらんぼが記されている。
2-3世紀にかけて、ヨーロッパではドイツ、フランス、イタリアなどを中心に栽培が普及したと考えられるが、本格的な栽培がはじまったのは16世紀に入ってから。
日本における栽培は、明治元年(1868)に函館に住んでいたドイツ人が試植したのが最初といわれる。その後、全国各地で試作され、梅雨が比較的短く、寒冷な気候の山形に定着したと思われる。明治21年には山形から仙台に初出荷、その後生産量が伸びる。
昭和になるころには缶詰加工を中心に特産品として生産が拡大。
品種
日本産は佐藤錦を筆頭に、ナポレオン、ビング、日の出、黄玉、高砂などがある。
おそらく30種類ほどの品種がある。オウトウは世界各国それぞれの品種を保有している。
栽培に手間がかかるため高価。
1912年(大正元年)に山形県の佐藤栄助によってつくられた。
ヨーロッパ原産とされるナポレオンにアメリカ原産の黄玉を交配。
果皮の色が黄色地の鮮紅色。
糖分が多く、果汁も多い。核が小さい。
国内でもっとも生産量が多い。(80%)
「赤いルビー」とも呼ばれる。成熟期6月中旬から出回る。
山形では6月20日ごろから収穫されるらしい。
酸味と甘味のバランスがよい。人気。6月中旬から出回る。
果皮は赤みを帯びた黄色。果肉の色は黄色味を帯びた白色。
核が大きい。ハウス栽培すると早く出荷できるそう。
山梨で多く栽培されている。
ロイヤル・アンとも呼ばれる。加工用オウトウの代表品種。
果皮が赤黄色。果肉がやや硬い。6月下旬から7月上旬が成熟期。
佐藤錦より酸味が強い。果実がハート形。
山形では7月上旬ごろから収穫されるらしい。
「大将錦」
大粒。甘味が強い。酸味がほとんどない。7月上旬から出回る。
晩生品種。
佐藤錦×セネカ。果皮が赤紫色で果肉が真赤。ほどよい甘味と酸味。
産地
1位は山形(全体の約70%の収穫量)、2位は北海道、3位は青森。山梨も産地。
時期
国産さくらんぼは3月から7月にかけて出回る。6月から7月が旬といえる。
ジャボレー(早生種、高砂、佐藤錦、ナポレオン、北海道産の水門の順に出荷される。
見分け方
皮につやと張りがあるもの。色の鮮やかなもの。
軸がしっかりと張っているもの。緑色。
栄養
甘味はほぼブドウ糖。果糖。ショ糖は含まない。
ビタミンC、鉄分、葉酸を多く含む。
アントシアニンやフラボノイドなどのポリフェノールを豊富に含む。
古くから優れた利尿作用があるとされ、果梗(柄)を煎じて飲む民間療法がある。
料理
ジャム、シロップ漬け、コンポート、フルーツソースなど。
保存
保存には向いていない。すぐに風味が落ちる。家庭ではポリ袋などに入れて冷蔵するとよい。食べる1-2時間前に冷やすのがよい。
冷蔵庫に入れても1-2日を限度とするとよい。
ポイント
・初夏の訪れを告げる数少ない果物!
・赤い宝石、佐藤錦。
・プリップリの食感に甘さたっぷりの果実です。
その他情報
・一日の寒暖差が少ないと甘くならない。雨にあたると割れてしまう。
・さくらんぼのことを桜桃(おうとう)というが、これは実をさくらんぼ、木の事を
桜桃と一般的に分けられているそう。
・生産量一位はトルコ、2位はイラン、アメリカ、イタリア、ドイツと続く。日本は18位。日本はほぼ生食用だが、ドイツでは30%は加工用。
・日本では黄色い果皮に赤く着色する品種が好まれている。
Hiroのメモ書き
品種の違い、というのは非常におもしろいと思います。
ナポレオンなんて今まで「聞いたことがある」程度だったのですが、さくらんぼの缶詰や加工品のものの多くはナポレオンを使用していたのですね。
あと、世界各国には独自の品種がそれぞれあるそうで、とても興味を惹かれます。
日本では高級品、というイメージがあります。
佐藤錦は全国的に有名だと思うので、佐藤錦が出回る時期に安く拡販できればよいかと思いました。
(これを書いている現在は、北海道産が売り場に陳列されているので、品種は水門だと思われます。
もっと早く調べていればよかった・・・。来年に期待。)