野菜ソムリエ Hiro のベジフルポケット

西瓜(スイカ)の知識まとめ(歴史、見分け方、栄養、調理法、保存方法 etc. )

      2016/09/03

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歴史

原産はアフリカ中南部のサバンナ地帯。
エジプトには今から4000年前の壁画が残っているが、古代エジプトではスイカを種子を食用とする目的で栽培していたらしい。エジプトを起点として、ヨーロッパ、アジアへ伝播した。
今日のように果肉を食すことを目的とした品種が誕生したのはヨーロッパ(ギリシャ時代)。フランスやドイツ等、ヨーロッパ各地に伝播したのは16世紀頃。イギリスへは1597年頃であるという記録もある。
中国へは10世紀頃だといわれる。

「西瓜」という名称は「西域から渡来した瓜」に由来する。

日本の西瓜の起源の一般的な見解は、16-17世紀頃に長崎あるいは薩摩に中国から伝わったとされる。(当時は果皮が黒く、果肉が紅色だったらしい。)
(鳥羽僧正(1053-1140)の「鳥獣戯画」には西瓜らしき果実がみえることから、これが西瓜だとすると、日本への渡来は中国に伝播してから間もない頃ということにもなる。)
1980年代までは大玉品種が主流だった。その後、中・小玉品種が増加。全体の2割を占める。
西瓜が日本で換金作物として栽培されるようになったのは江戸中期以降。元禄時代に小民の食べ物として浸透していたもよう。大正時代以降の奈良県と千葉県の品種改良がきっかけとなり、その栽培が全国に普及。

産地

収穫量ベスト5(日本)
1位 千葉 2位 熊本 3位 山形 4位 茨城 5位 鳥取

収穫量ベスト5(世界)
1位 中国 2位 トルコ 3位 イラン 4位 アメリカ 5位 ブラジル

時期

旬は5-8月。小玉スイカは4-7月に出回る。(群馬、茨城が主。)
促成栽培のものは1-4月に収穫される。沖縄、熊本、高知などのハウス内栽培。
半促成栽培のものは、4-6月。熊本、愛知、千葉が主産地。6月出荷は鳥取、福井、石川等。
露地栽培のものは、8月。北陸以東の日本海側や北海道のもの。
抑制栽培のものは11-12月。果実が小さい。最も高価な時期。

4月 熊本
5月 熊本
6月 千葉、茨城、鳥取
7月 千葉、茨城、鳥取、山形、秋田
8月 山形、秋田
冬  高知、沖縄

見分け方

ずっしりと重みがある。軽く叩いてポンと音のするもの。澄んだ音のするもの。
くぐもった音(鈍く低い音)熟しすぎ。
はっきりとした黒い縞模様がある。(等間隔だと尚良い。)
適度に養分を吸収して組織がしっかりしてくると、黒と緑の境界線がはっきりしてくるらしい。
果皮にツヤがある。形が整っている。
ツルの切り口が新鮮。種が真っ黒なもの。
種が全体にばらけているものの方が、甘いらしい。

栄養

可食部の90%は水分。残りの10%近くは糖分。
有機酸、ミネラル、ビタミン類を多少含む。
カリウムが100g中120mgで、一度に食べる量が多いことと、尿成分を作るのにかかわるシトルリン(皮に多い。新陳代謝アップ、疲労回復、冷え性緩和など)を含むので、利尿作用がある。体の老廃物を排出するのを促してくれる格好の果物。
赤色はリコピンとカロテン。種子には脂肪とたんぱく質がそれぞれ約20%と50%含まれる。種にはビタミンEやリノール酸、たんぱく質が含まれている。
中国明朝時代に著された本には、果実に利尿、解毒、腰痛、むくみの改善など、種子には解熱、利尿にそれぞれ効用があると記されている。

料理

冷やして食べるのが一般的。
中国では炒り種は一般的なお茶菓子。日本の品種は種が小さいため向いていないが調理できる。(洗って乾かし、フライパンで軽く炒り上げる。皮を剥いて食べる。)
明治以降には奈良漬に使用されている。
果肉を鍋に入れて熟し、固形がなくなったらこして、さらに水あめ状になるまで煮詰めるとスイカ糖ができる。冷蔵庫で1年は保存できる。喉の痛みやセキを鎮めるのに有効。
皮を干し、塩やぬかで軽く漬けると、さわやかな風味の浅漬けが簡単にできる。

保存

8-10℃。これ以下は低温障害を起こす。
玉のままなら風通しのよい場所で室内保存できる。
冷蔵庫で保存。小さく切り分けたものを冷凍することもできる。

ポイント

・カットスイカはインストア加工のため、必ず加工日、賞味期限を表示することが必要。Day0で運用する。
・玉売りはLクラスが1000円を割るとよく売れ始める。

・塩を振ると、なぜか甘みが増したように思うが、これは味の対比作用によるもの。弱い方の味(塩)を加えると、強いほうの甘みが際立つそう。

その他情報

・種無しスイカもあったが、普及しなかった。(栽培上の問題、空洞化、変形、着色不良のため)
・果皮が黒や黄色、果肉が白や黄色のものもある。
・スイカは体を冷ますので、こってりとしたてんぷらと一緒にとると、消化を妨げ胃腸を壊し、下痢の原因になるといわれる。
・種子の近くから成熟する。
・果肉で一番甘いのは、真ん中、つるのそば、種の周り。
・食べる最適の温度は15度程度なので、冷蔵庫で冷やしすぎると甘みを感じられなくなる。

 

Hiroのメモ書き

岡山では鳥取のスイカ(倉吉)が一番美味しい、とよく聞きます。

実際、熊本のものと味や舌触りが違い、自分自身鳥取のものが出ると買ってしまいます。
種が食べられること、皮を漬物にできること、やってみたいと思いました。

よくスイカの玉売りの糖度はどのくらいかと聞かれますが、スイカの果汁から糖度を計っているので、外側からでは判断できません。
これが悔しいですね。

ただ外側から美味しいものの見分け方はあるので、それを基に判断できます。実はこれが経験者でもかなり難しいのですが。
自分も練習しないといけないと何度も思っています。

ニュージーランドでは、形が日本のものより小さいものを取り扱っていました。
また、日本のように夏になると大々的に売り出してもいなかったです。
自分が働いていたお店だけかもしれませんが。国や文化にもよりますよね。

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