野菜ソムリエ Hiro のベジフルポケット

トマトの知識まとめ(歴史、見分け方、栄養、調理法、保存方法 etc. )

歴史

ペルーのアンデス高地原産。中央アメリカで作物化されたらしい。英名のトマトは、「ふくらんだ果実」を意味するメキシコ土語に由来するそう。
16世紀ヨーロッパに伝わった当初は毒性があると思われていたため観賞用だった。(ジャガイモ同様)18世紀に入り、食用となる。
日本への渡来は17世紀の初めごろ、オランダ人によってもたらされたといわれる。
当初は日本でも観賞用だった。
明治初年に欧米から品種が導入され、赤なすと呼ばれた。(当時はトマト独特のきつい匂いの小形品種。)それに日本人はなじめず、19世紀末ごろまで野菜として普及しなかった。
20世紀に入り、アメリカから桃色大果品種が導入され、各地に普及していき、第2次大戦後、いっきに拡大した。
日本・韓国で人気の生食用トマトは、リコピンが少ない桃色系品種。(くせがなく酸味の弱い品種。市場の8割を桃太郎トマトが占める)
桃太郎トマト(昭和58年に発表された品種。日本でつくられ、急速に普及。完熟型。)

産地

夏秋トマト(6-10月)→北海道、茨城、福島
冬春トマト(11-5月)→熊本、茨城、栃木

時期

旬は夏。(6-9月)
旬の時期はハウスものよりも露地もの(ハウスものより栄養価が高い)が多く出回る。でも夏より秋口にトマトのうまみは凝縮する。果実こそ小ぶりになるがよく締まり、味も濃くなる。夏のトマトは青臭さのある若々しさが魅力だが、秋口のトマトはゆっくり熟した大人の味。

見分け方

きれいな球形をしたものはゼリー質がぎっしり詰まっていて糖度も高い。

ピーマンのように角ばっているもの、形がいびつなものは空洞が多く、味も劣る。

へたが黒いものは出荷後、人工的に完熟させているそう。へたがピンと張っていて、緑色のものが良品。へたの近くがひび割れているものは味が悪い。
果皮に細かな白い斑点があるものは、水分過多の状態。避ける。

ヘタのない方、その真ん中から白い筋が光のように出ている。これが長く走り、筋の間の果肉がやや透けて見えるようなものが甘い。この筋がないものは酸味が強い。(=それは料理用に向いている。)

栄養

・トマトの酸味はクエン酸。(さわやかな風味)食欲を増進させる働き。
・トマトの赤色はカロテンではなく、リコピン(カロテンと同じカロチノイド色素だが、これはビタミンAには変換
しない。加熱に強い栄養素。)だが、カロテンも豊富に含んでいる。
大玉1つで1日分の推奨量をクリアできる。(カロテンは体内でビタミンAに変わる)
・カロテンもリコピンも油といっしょに調理すると吸収力が高まる。
 (オリーブオイルと加熱したトマトを同時に取ると、生で食べるときに比べ約4倍のリコピンを補給できる。)
 ホールトマト・トマトピューレ・ケチャップ・トマトジュースなどに加工される調理用トマトにはリコピンが
特に豊富。加熱しても損失が少なく、むしろ吸収率が上がる。

・葉物ほどではないが、ビタミンCも豊富。(ビタミンAとCは相互に影響しあって協力な抗酸化作用を発揮)
・ルチン(ビタミンP。高血圧の予防、動脈硬化の進行を遅らせる)とビオチン(ビタミンH。コラーゲンの生成を高める。肌を健康に保つ)も含まれる。
・カリウムを多く含む。(高血圧予防)
・種の周りのゼリーにはうまみ成分のグルタミン酸が含まれる。(肉、魚料理でうまみが増す。)

料理

・熱湯を使って皮を剥く作業を「湯むき」という。トマトのへたのあたりに浅く切り込みを入れ、丸ごとを数秒熱湯に入れ、冷水に取るときれいにむける。
・サラダ・ジュース、スープやシチューなどの煮込み料理、オムレツ、炒め物、サンドイッチの具、ピザのトッピングなど。
・長時間加熱する際、アルミ製のなべを使うと、酸のアルミ腐食作用により金属味を帯びることがある。

保存

鮮度のよいものは室温で1週間程度日持ちする。熟したものは冷蔵庫に入れて2-3日。
赤く熟したものはポリ袋に入れて冷蔵庫(2℃)で保存すると追熟しない。
完熟したトマトを冷凍すると、水で洗うだけで皮がむけるのでソースや煮込み用に便利である。

ポイント

・栄養的価値の大きい特徴が「一度にたくさん食べられること」。一回の食事で100g程度食べることができる。
・健康野菜!栄養たっぷりです。
・魚や肉の臭みを消しつつうまみを増してくれる魔法使い!
・冷凍すれば皮は簡単にむけます。蜂蜜をかけて簡単デザートはいかが?
・トマトが赤くなると医者が青くなるといわれるのは、その多様な栄養素のため。
・カロリーが低く、脂肪を燃焼させるクエン酸を含むので、ダイエットに最適。
・夏の救世主。疲れをとるクエン酸、リンゴ酸、コハク酸などを含む。

その他情報

・トマトは赤色系(加工向き。酸味と甘みが強い)と桃色系(生食向き。酸味・トマト臭が少ない)に分けられる。
・皮には薬効が多いので、なるべくむかないのがベター
・ドライトマトは簡単に家で作れる。切ったトマトに少量の塩をかけ、ざるに乗せて天日干しにする。表裏干して、水気が抜けたら完成。より濃厚な味になる。
・アメリカではトマトが果物か野菜かで裁判になったことがあるそう。
・ヨーロッパでは「愛のりんご」と呼ばれるそう

・水につけて沈むトマトは糖度が高い。浮かぶトマトは糖度が低い。
・子室が多いほど味がよい。(筋目の数だけ子室がある。)
・冷やしすぎると糖度が落ちる。

 

Hiroのメモ書き

栄養成分がすばらしいですね。
ビタミンAとCの抗酸化作用の相乗効果。酸の疲労回復、二日酔いの解消、豊富なカリウムの高血圧予防。
医者が青くなる、っていうのはまんざらでもないように思います。

とってもメジャーなアイテムだが、一般の人が結構知らないことが多いように思います。