皆さん、下の写真の植物をご存知ですか?
「あれ、どこかで見たことある・・・?」という方も多いのではないでしょうか?
その名も「スベリヒユ」といいます。
このスベリヒユ、正確に言うと野菜(食用の植物で栽培されたもの)ではなく雑草(人の望まないところに生える植物)として扱われているのですが、食用にすることができます。
先日、スベリヒユを実際にカナダで手に入れたので、今回はスベリヒユを大特集したいと思います。実際に3つの料理で食べてみた感想もお伝えします!
この記事の目次
はじめに:カナダでスベリヒユとの出会い&再会
野菜ソムリエHiroがスベリヒユに初めて出会ったのは、2016年の冬。カナダのバンクーバーにある日本人経営の農園ジャポニカファームにて。(2022年11月追記:現在はジャポニカファームは無くなっています)
ごぼうや長芋の収穫作業を観に伺ったのですが、そのときに「これ、知ってる?」と言われて教えてもらったのがスベリヒユでした。
何気ない花壇のようなところに植えられていて、食用だと言われないと気付かないレベルの植物だったのですが、農園の方にお話を聞いてみると雑草(笑)
しかし、よくよく調べてみるとスベリヒユは雑草の中でも最高の味わいを持つものであるとの記述をたくさんネットで見つけて大興奮しました。別に言い換えなくてもいいんですけど、 キング★オブ★雑草 がスベリヒユ♪
そのときはおひたしにしていただいたのですが、それ以来スベリヒユの姿を見なかったんですね。
「元々雑草扱いだし、スーパーなんかにはそりゃ売ってないわな~当たり前か~」ぐらいに思っていたのですが、それから約3年後の2019年夏。
たまたま行ったファーマーズマーケットで発見してしまったんですよ、スベリヒユを!!普通に売っているものとは想像していなかったので、かなり驚きました。
じゃん、見事なスベリヒユが束になって販売されていました。
1束4ドル(1カナダドルを80円だとすると、320円)で、英名は「Purslane(パースレーン)」でした。( Wild が付いているのは栽培したわけではなく、野生のものだからですね )
黒板のようなPOPには英語で以下のように書かれていました。
– オメガ3脂肪酸の含有量が高い
– ビタミンAを摂取するのに最適
– ビタミンCやビタミンB群の含有量も多い
– 生で食べたり、スムージーやスープに入れたり、炒めて食べてもOK
ということで、人生2回目、スベリヒユを購入しました。上の写真でスベリヒユ1束4ドルだったので、個人的には「いい買い物したな~♪」とウキウキ。
そして今回は食べる前にスベリヒユについてちゃんと調べてみたので、その内容をみなさんにもシェアします(`・ω・´)シャキーン
スベリヒユってどんな雑草なの?調理法や栄養も調べてみた
スベリヒユはスベリヒユ科スベリヒユ属の多年生植物で、茎は赤紫っぽい色合いを帯びた緑で地面を這ったような感じで生えます。
緑色のかわいい葉っぱは肉質で塩っ気と酸味(シュウ酸とリンゴ酸によるもの)があり、ツルムラサキやモロヘイヤのようなぬめりもある生命力の強い植物です。
好天が続き、畑の #スベリヒユ もスクスクと成長しています🌱✨
といっても、栽培しているわけではなく、自然に生えてるだけです笑
除草のために農薬を使っている畑では、見ることのできない光景なのではないでしょうか?#東北牧場 #東北牧場の野草 #無農薬 #無化学肥料 pic.twitter.com/ZwhB5dlYJo— 東北牧場 (@Tohoku_bokujo) July 31, 2019
世界では熱帯~温帯エリアに自生、日本全国でも見かける雑草で、道端や畑など日当たりの良いところにそこらかしこに生えているので、見たことがある&抜いたことがある人も多いはず。
農家の方には害草として扱われるため嫌われものですが、地域によっては食用として栽培もされています。その地域とは一体??
スベリヒユの食べ方について(日本と世界)
山形の食材ひょうの紹介です!他県では雑草であるひょう(スベリヒユ)を山形では食べます。食べたら、以外と美味しい!皆さんもぜひ! pic.twitter.com/a8dzRwE2x2
— 佐々木実 (@TsU5azJWlj7Crpv) July 5, 2019
そうなんです。野菜ソムリエHiroは知らなかったのですが、山形県では「ひょう」と呼ばれていて、古くからスベリヒユが食用とされているとの情報をSNSで多くの方からいただきました。
上のツイートの方は、スベリヒユ(ひょう)を茹でて辛子醤油で和えるのが代表料理とおっしゃっています(つ゚o゚⊂)オォ〜!!
また、干すことで保存食にもしているとのこと!すごい~!
野菜ソムリエHiroも日本には20年以上住んでいましたが、雑草に興味がなくてスルーしてました(汗)今となってはなんか悔しい・・・(笑)山形県にスベリヒユについて取材に行ってみたくなりました。
また、英語のWikipediaも調べてみたのですが、スベリヒユはヨーロッパや中東、アジア、そしてメキシコでも食べられていることが分かりました。
調理方法は上記のPOPにも書いていた通り、新鮮なスベリヒユをサラダに使ったり、炒め物にしたり、ほうれん草みたいに利用できます。ぬめりがある特徴を活かしてスープやシチューにも合います。
Summer salads on repeat (and tomato spam coming your way)!. Assorted heirloom tomatoes 🍅, nectarine, buffalo mozzarella, micro greens🌱, purslane, toasted sourdough croutons, parsley, basil and chives are simple dressed with good olive oil and a syrupy balsamic. I finished it… pic.twitter.com/UpzPsNBGmS
— Jill Fergus (@feedtheswimmers) July 26, 2019
さらにオーストラリアの原住民アボリジニーは、種菓子をつくるためにスベリヒユの種を使うことも記載されていました。ギリシャではスベリヒユの葉と茎をフェタチーズ、トマト、玉ねぎ、にんにく、オレガノとオリーブオイルで和えるサラダにして食べたりするそうです。
その他トルコでもサラダやベーキングに利用するだけでなく、スベリヒユとヨーグルトにミックスして 「Tzatziki」というディップのような料理もつくるようです。
This is the fourth day I am eating purslane & yoghurt for lunch. Yum!😋 pic.twitter.com/3ztG9qP9zF
— Waššukanni (@dutpekmezi3) July 25, 2019
世界って広いですね( ^ω^)・・・
オメガ3脂肪酸の宝庫?!スーパーフードと呼ばれる栄養価について
そして、気になる栄養価ですが、最近ではスベリヒユがスーパーフードと呼ばれているようです。(最近なんでもかんでもスーパーフードになってきている気がしないこともありませんが)
その理由は、まずカロリーが低い点が挙げられるかと思います。(可食部100g中で20カロリー)、そして生のスベリヒユの場合、以下の栄養素を豊富に含んでいます。(以下それぞれ可食部100g中のデータです)
■ ビタミンC 21mg
■ ビタミンE 12.2mg
■ カルシウム 65mg
■ 鉄 1.99mg
■ マグネシウム 68mg
■ リン 44mg
■ カリウム 494mg
雑草喰い第二弾というわけで
スベリヒユ
一部ではオメガ3脂肪酸だのカルシウムだの入ってるスーパーフードと話題になっているらしいし、地域によっては昔から食べられてるそう。
ゆでて芥子醤油で食べたけど食味はモロヘイヤとかに近くて個人的には普通に旨い。叩いて納豆と混ぜるとGood。 pic.twitter.com/XDEexfQjaP— めぐと (@ashihikky) July 28, 2019
そして記事の最初の方でも書いたのですが、スベリヒユはオメガ3脂肪酸(植物由来の α-リノレン酸で体内で生成できない必須脂肪酸)の含有量が他の野菜に比べて飛びぬけて高いといわれています。
可食部100g中の新鮮なスベリヒユの葉には α-リノレン酸 が約350mg も含まれています。(参照: Nutrition And You.com)
ちなみに、「オメガ3脂肪酸って一日にどのくらい摂取すればいいの?」と思ったので調べてみたのですが、2003年にWTO(世界保健機関)は、オメガ3脂肪酸の摂取を総エネルギーに対して1-2%が目標と設定していましたよ。
(総エネルギーがそもそも分からないwっていう方、私といっしょです)
スベリヒユを実際に食べてみた(味噌汁の具、サラダ、おひたし)
ということで、とりあえず栄養豊富でなんならそこらへんで収穫することができる雑草であることは伝わったかと思います(笑)
野菜ソムリエHiroは料理が苦手(致命的w)なので、今回は簡単な味噌汁、サラダ、おひたしにスベリヒユを使ってみました~!一つずつ感想をお伝えするので、スベリヒユの味を想像してみてください( ◠‿◠ )
1.味噌汁の具
まずは普段のお味噌汁にスベリヒユの葉っぱをパラパラ入れてみました。
最初は「スベリヒユの味が味噌汁の味に負けるかな~」と思っていたのですが、食べた時にちゃんとスベリヒユ独特の酸味が際立ってました。
スベリヒユが若干のとろみを味噌汁にプラスしてくれるので、いつもつくる味噌汁と違った感じになって、けっこう気に入りました♪
今日のつくば暑かった~(・∀・)
収穫した野菜達。スベリヒユは味噌汁に入れると美味い! pic.twitter.com/vHokyCRzM5— yochio (@zakamatsuv) July 2, 2016
2.サラダ
野菜ソムリエHiroはサラダが好きで、よく色んな野菜やドライフルーツ、チーズ、豆などをごちゃまぜにしたサラダをつくるんですけど、今回はそんなサラダにスベリヒユの葉っぱを加えてみました。
感想はというと、個人的には微妙でした(汗)グラパラリーフと味が少し似ているような・・・?
スベリヒユの若干酸味としょっぱさが、今回のサラダの味を邪魔しているように思えちゃいました(´;ω;`)ウッ
でも、元々酸味を活かしたサラダであれば合いそうだと思います。
あとスベリヒユは噛んだらぬめりが出てくるので、オクラのサラダとかぬめぬめ系のものといっしょに使うのも成功しそうな気がしました。
スベリヒユの五色サラダ!
緑=スベリヒユ、赤=ミニトマト、ラディッシュ、黄=とうもろこし、白=カッテージチーズ、かぶ、黒=黒ごま。
欧米では「パースレイン」と呼ばれるオメガ3脂肪酸はじめビタミンやミネラルを含んだというスーパーフード。
黒ごま、塩と甘夏のしぼり汁を混ぜたのをかけて。 pic.twitter.com/3rNPa2FV4W— cottonsnow (@cottonsnow151) June 8, 2018
3.おひたし
最後はおひたしです。
まず泥をよく落として洗い、その後沸騰したお湯にさっと通して、水気を切りました。絞っているとぬめりがすごく出てきて、びっくりしました(笑)
白だしと鰹節でつくってみたのですが、個人的には3つのメニューの中でこれが一番しっくりいただけました。
しょっぱいのが苦手という人にはあんまりオススメできませんが、ネバネバ感としょっぱさが夏にぴったりだと思いました。
スベリヒユはおひたしにするとツルムラサキみたいでおいしい。プランターに生えて来ても見た目が美しく雑草という感じがしない。 pic.twitter.com/VD45nDDx2z
— prism (@pentaprism1688) August 30, 2018
部活で除草したスベリヒユ
おひたしにしたんだけど普通に美味しい😋
葉はネバネバして茎はシャキシャキしててモロヘイヤ的な感じ!
農大産の無農薬自然栽培スベリヒユはいかがでしょうか?? pic.twitter.com/42li2InlS3— 津田美優 (@Miyu710T) August 20, 2018
最後に:知ってる人は食べているスベリヒユ!雑草侮ることなかれ。道ばたや畑で採れば無料なのも嬉しい
ということで、キングオブ雑草(と勝手に呼んでいる笑)のスベリヒユを紹介しました。
スベリヒユは栄養価がすごく高いので、個人的に今後積極的に料理に使いたいと思っています。(手に入ればの話ですが・・・)
また、山形では「ひょう」と呼ばれ元々食用とされているのも面白いですよね。他の地域では雑草扱いなのに!(笑)
今野菜ソムリエHiroが暮らしているバンクーバーでは、あんまりスベリヒユを道ばたなんかで見つけることができないように思うのですが、日本からこの記事を見てくださっている方はぜひ探してみてください。無料で栄養満点の雑草を使わない手はないですよね( ◠‿◠ )