調理用りんご(クッキングアップル)12種類まとめ!ブラムリー・紅の夢・サワールージュetc.
2018/05/16
リンゴを使ったお菓子・デザートづくりが大好きという方も多いのではないでしょうか?
アップルパイにリンゴジャム、アップルクランブルに焼きリンゴ、どれも美味しいですよね( ◠‿◠ )
野菜ソムリエHiroもほぼ毎日リンゴを食べるぐらいリンゴ大好き男(おっさん)なのですが、リンゴのデザートをつくるときにあなたはどの品種を使っていますか?
そう!リンゴには生食向きのものと調理に向いている品種があります。
調理に向いているりんごを欧米やヨーロッパなんかではクッキングアップル(Cooking Apple)といい、スーパーや八百屋で普通に売られています。
そんなクッキングアップルの特徴は、酸味が強いところです。
野菜ソムリエが過去に暮らしていたニュージーランド、そして今暮らしているカナダでも年中クッキングアップルを見かけます。それだけ海外では通年調理用りんごの需要があるということ!
そこで今回は、野菜ソムリエHiroが厳選した日本や海外で手に入る調理用リンゴ(クッキングアップル)をまとめて12種類ご紹介します。
記事を読んだ後は、全部のリンゴに挑戦したくなるかも?
この記事の目次
はじめに:なんで日本ではクッキングアップルをあまり見かけないの?
調理用リンゴ12種類を紹介する前に、まず「なんで日本では調理用リンゴがあまり普及していないのか?」について少し触れたいと思います。
その原因には色んな要因があるかもしれませんが、特に大きいのが「日本人は甘いリンゴが大好きだから」ではないでしょうか?
もちろん個人差はありますが、多くの日本人は酸っぱいリンゴより甘いリンゴが好き(なはず)です。
例えばキウイフルーツも元々はグリーンだけだったのが、日本人がもっと甘いキウイを食べたいということでゴールデンキウイが生まれたくらいです。
さらにバナナでいえば、カナダでバナナはバナナ以外の何物でもないのですが、日本にはバナナはバナナでも「完熟王バナナ」「スイーティオバナナ」「バナージュバナナ」など、甘さに価値を置いたブランドバナナが人気です。
そして、同じようにリンゴも甘くて高品質のものが次々に誕生し、過去には大衆に好まれていた酸味が強いリンゴも次第に流通量が減少して、現在に至ります。
個人的には古いものが廃れていってしまうのは、けっこう寂しい・・・(´・ω・`)でもやっぱりフジや王林みたいな甘いリンゴを食べてしまう・・・。
しかしながら、そんな日本でも期間限定ながら調理用りんごを手に入れることが可能です!
実際に調理用リンゴを使ってパイやジャムを作ったことがある人ならご存知かと思うんですが、調理用りんごでデザートをつくると生食用りんごを使ったものとは比べ物にならないくらいリンゴの味がイキイキしているんですよね。
生で食べたときは「すっぱーーーっ!!!」と思っていたリンゴが、調理するだけでこんなにも「うわー!リンゴの風味最高ーーっ!!」と思えてしまうのは、クッキングアップルならではではないでしょうか?
主に日本で手に入る調理用リンゴ5種類
それでは、お待たせしました。
まずは主に日本で手に入る調理用リンゴ5種類を紹介します!あなたは全部知っていますか?
1.神様がくれた青森のりんご 紅の夢(くれないのゆめ)
写真提供: 弘前大学育成新品種「紅の夢」公式ホームページ
世界で有名な品種「ふじ」が生まれた場所といえば、青森県弘前(ひろさき)。
その青森にある弘前大学農学生命科学部附属藤崎農場で偶然に偶然が重なって誕生した奇跡のりんごが「紅の夢」です。品種登録は2010年。
当初は紅玉という品種とスターキングデリシャスが親と考えられていましたが、DNA調査などの結果、紅玉と品種名の不明確な赤肉品種の花粉によって偶然生まれたといわれている、まだまだ珍しいリンゴです。
写真提供: 弘前大学育成新品種「紅の夢」公式ホームページ
紅の夢の特徴はなんといっても果肉の色。自然の恵みとしかいいようがない頬を赤らみのような美しい色をしていますよね。
たいていのクッキングアップルは酸味が強すぎて生食はあまり好まれないのですが、紅の夢はその問題を見事に克服!
生でも楽しめる甘酸っぱい風味を味わうことができます。(赤色果肉の品種で生食にも十分に対応しているのは、かなりレア!)
写真提供: 弘前大学育成新品種「紅の夢」公式ホームページ
ジュースやジャム、ドレッシングやカクテルにも利用されている紅の夢。
着色料無しでピンク色のリンゴを味わうことができるのは、まさに夢みたいですよね。
これまでにも赤い果肉のりんごはあったものの、現在普及段階にあるのはこの紅の夢のみとのことで、新聞紙に取り上げられるなど注目が集まっています。近い将来、日本中に広まるかもしれませんね( ◠‿◠ )
2.果肉まで紅に染まったカナダ生まれのリンゴ「ジェネバ」
1930年に発表されたジェネバは、カナダ・オンタリオ州オタワので育成されたりんご。正式な名前は Geneva Crabといいますが、日本ではジェネバとだけ呼ばれている模様。
ジェネバの何が面白いかというと、深紅の果皮のりんごを切ってみると、さらに真っ赤(orピンク)な果肉が顔を出すことです。
先ほど紹介した紅の夢よりも色が濃い目であることが分かりますよね。
クッキングアップルらしく酸味がとても強い品種なので、リンゴ酒やリンゴジュースをつくるのに向いているといわれています。
果肉がもともと赤いので美しい飲み物をつくることができそうですが、色々と探してみると、青森県産のジェネバをジェラートにして販売している方もいらっしゃいました。
天然の赤がとっても美しいですね~ ( ・◡・ )
日本でもまだまだ流通量が少ない品種で、見つけたあなたはラッキーかもしれません。
カナダに4年暮らしている野菜ソムリエHiroは、今もカナダ生まれのジェネバを見かけたことがありません・・・。
3.日本で調理用リンゴの代名詞 紅玉(こうぎょく)
日本で調理用りんごといえば紅玉の名前が真っ先に挙がるのではないでしょうか?
実は昭和30年代の頃まで、紅玉は国光(こっこう)と並びりんごの代表品種だったといわれています。時代の流れで甘い品種がたくさん出てきて、今は調理向きりんごのポジションにいるんですね。そう考えるとなんだか不思議です。
昔ながらの酸味を味わい人には生食もオススメしたいですが、その酸味の強さから加工にも最適なリンゴです。
深紅の果皮を活かしたデザートづくりに使用するのもいいですね。
ちなみに英語名は Jonathan で日本語と全く違います。
4.宮城県が生んだオリジナル品種 サワールージュ
サワールージュは、宮城県農業・園芸総合研究所で育成、そして平成23年3月15日に品種登録された比較的新しい品種です。(昭和59年に「ふじ」の自然交雑実生から得られた系統で平成7~13年に選抜)
収穫時期は例年9月下旬から10月上旬頃となり、先ほど紹介した紅玉より約3週間ほど収穫が早いことで知られています。
写真提供:宮城県園芸振興室
サワールージュは、果実の大きさが200 ~ 280g という中玉品種で、果皮は写真の通り美しい鮮やかな赤。
ふじやつがるりんごに比べて非常に酸味が強い品種なので、アップルパイなどデザートを作る際に最適のリンゴです。
ちなみに、宮城県の公式ホームページには
と記してあったので、日本でも少しずつクッキングアップルの需要が高まっているみたいですね!
全国ではサワールージュの名前がまだあまり知られていないかもしれませんが、これから日本全国に出回る可能性も多いに考えらえれる有望品種です。広まって欲しい!
5.生食で人気だけど調理にも使える便利なりんご
ジョナゴールド
ジョナゴールドは「ふじ」や「王林」に並んで、日本で最も人気のリンゴの一つですよね。
強い酸味に加えて十分な甘味があるので生食にも人気ですが、ジャムなどのスイーツづくりにも向いています。
「もしかしたら親が強い酸味と関係しているかも?」と思い調べてみると、やはり紅玉が片親でした。ジョナゴールドは紅玉とゴールデンデリシャスが交配して生まれた品種なんですね。(なんと1943年生まれ)
表面がツヤツヤになりやすい品種で、たまに(というかよく)「農薬じゃない?」と誤解されている方がいますが、これはジョナゴールドから自然に出たワックス。
いわば完熟の合図なので、果物売り場ではツヤのあるジョナゴールドを選んでみてください。
海外で主に手に入る調理用リンゴ7種類
日本でトライしてみたいリンゴはありましたか?
続いては、海外で主に手に入る調理用リンゴ7種類を紹介します!
6.ミニリンゴといえば クラブアップル(Crab Apple)
夜店に行くと個人的に毎回食べたくなるのがリンゴ飴!
そのリンゴ飴に使用されているのが姫リンゴです。いわゆるミニリンゴ。
欧米では野生種に近い姫リンゴが作られていて、「クラブアップル」と呼ばれています。
クラブアップルを口に入れると、口がすぼまって苦虫をかみつぶしたような(Crabby/クラビー:不機嫌な)表情になることからそう呼ばれるようになったとか。
掲載している写真は、カナダのファーマーズマーケットで実際に売られていたクラブアップルです。(モリモリの状態で販売されていました)
実際に食べてみると、やはりあまりの渋みに軽く引いてしまったのですが、それもそのはず。クラブアップルは渋み成分のタンニンを多く含んでいるんですね。
ただ、生食は厳しくてもリンゴ酒(アップルサイダー)をつくるには最適の品種として知られています。
野菜ソムリエHiroはリンゴ酒ではなくジャムにしたのですが、酸味が効いたパンチのあるジャムになりました。
7.ヨーロッパのクッキングアップルの代表格 ブラムリー(Bramley Apple)
クッキングアップルの代名詞と言っても過言ではないかもしれないブラムリーは英国生まれの人気のりんご。
なんとイギリスのリンゴ生産量の約45%を占めているといわれているくらい現地ではおなじみのリンゴです。
元々は1809年にイングランドにあるノッティンガムシャー州で見つかったといわれていて、親品種は不明!
ブラムリーは加工に適した爽やかな酸味が特徴で、すぐに煮溶けます。
肉料理と相性も良いので、お肉にすりおろしたブラムリーの果肉を添えたり、デザートとしてアップルパイやアップルクランブルに使うのもぴったり。
日本でも長野県の信州・小布施町で栽培されています。日本全国に広まればいいな、と個人的に思う品種です。
ちなみに野菜ソムリエHiroが暮らしていたニュージーランドや、カナダではほとんど見かけない品種です。(写真のものはバンクーバーで開催されたアップルフェスティバルで購入したもので、普段は八百屋やスーパーでは一度も見かけたことがないです。)
では、ニュージーランドやカナダで一番人気のクッキングアップルは何かというと・・・?
8.欧米のクッキングアップルの代表格 グラニースミス(Granny Smith)
そう、ニュージーランドや北米では「グラニースミス」という緑色のリンゴが一般的に出回っています。
グラニースミスは、オーストラリア・ニューサウスウェルズ州パラマタ河のエースウッド・リデェで、スミス夫人によって偶然実生から育成された品種されたことから、この名前が付いています。
光沢のある果皮が美しく、歯ごたえがあって酸味がとても強いので、調理用リンゴとして親しまれています。年中流通しています。
ちなみに、野菜ソムリエHiroの知り合いの中国人はグラニースミスを生で食べるのが好きです。
爽やかな酸味が好きな人は、ふじなどの甘味の強い品種ではなく、グラニースミスを生食する人もちらほらいて、「やっぱり味って好みなんだなぁ。」と感じます。
※個人的に生でグラニースミスを食べたときは、酸っぱすぎてけっこう辛かったことを記憶しています。
9.ピンク色の果肉が美しい ピンクパール(Pink Pearl)
1944年にアメリカ、北カリフォルニアのブリーダー Albert Etter さんによって生まれたピンクパールという美しい名前を持つリンゴがこちらです。
名前の由来はバラのようなピンク色の果肉から。果皮の色が美しいですよねぇ。そして果肉の色はというと、
ご覧の通り、果肉がピンク色!
ピンクパールのことを知らずに初めて購入して包丁を入れたときはビックリしました。
そして、あまりの酸っぱさに悔しい思いをしたことを覚えています。
ちなみに、ピンクパールに似た品種で「ルビースイート」という赤肉種のリンゴが存在するのですが、まだ野菜ソムリエHiroは見つけたことがありません。
10.オハイオ種生まれのリンゴメルローズ(Melrose)
1944年にオハイオで誕生したリンゴ「メルローズ」は、ジョナサンとデリシャスの交配種。
紅玉を紹介したところでも書きましたが、ジョナサンは紅玉の別名。
そう考えると、この美しい果皮の色にも納得。そしてメルローズの味も少し想像できるのではないでしょうか?
メルローズの特徴は、加熱してもカタチと風味がそのまま残るということ。
この特徴を利用して、リンゴのスライスしたカタチを活かしたアップルパイづくりなどに良さそうです。
実際に生で食べてみると、サクッとした歯ごたえが非常に心地よくて、甘味も十分にある品種でした。生食もOKでクッキングにも◎の優良品種です。
11.過去には一番人気のリンゴ酒用品種 ワインサップ(Winesap)
東アメリカが原産といわれているワインサップは1800年代に人気を博した古い歴史を持つリンゴです。
特に1817年、ニュージャージー州では一番人気のアップルサイダー(リンゴ酒)用りんごだったといわれています。
1950年代までその人気が続きましたが、それ以後はワインサップより優れた風味、かつ長期間保存できるりんごが出てきて、残念ながら人気が低下し、今に至ります。
実際に食べてみると酸っぱくて顔がくしゃくしゃに。
いや、ほんとにすーーーーーーーっぱかったんです(゜Ж゜;)スッパ
果皮も果肉も硬く、これはこれで面白いりんごだと思いました。砂糖をたっぷり使って、ワインサップのリンゴ酒なんていいですよねぇ。
12.見た目も一風変わった調理用リンゴベル・ドゥ・ボスクープ(Belle de Boskoop)
オランダのホラント州(南西部)のBoskoop(ボスクープ)で1856年に生まれた品種がベル・ドゥ・ボスクープです。
基本的に大きめのサイズが出回っていて、黄金と赤が混じったような赤茶色の果皮が特徴。
香りのよい果肉はビタミンCが豊富でかなり酸っぱめ。野菜ソムリエHiroも噛んだ瞬間とても酸っぱくて、調理向きなんだと理解しました。
ちなみに、ベル・ドゥ・ボスクープはグラニースミスの約4倍のビタミンCを含んでいるといわれています。すごい・・・。
まとめ:調理用りんご(クッキングアップル)でもっとステキなデザートを!
ということで、いかがでしたか?
使ってみたい調理用リンゴはありましたか?
日本で最も簡単に手に入るのはジョナゴールドだと思うのですが、紅玉も出回りの季節になったらよくスーパーで見かける品種なので、探してみてください。
また、色んな品種を集めて、食べ比べしてみるのも面白いかもしれません。
リンゴのコンポートに、リンゴのクランブル、リンゴジャムにリンゴのパイ。
考えるだけでお腹が空いてきましたが、ぜひ今回紹介したクッキングアップルを使って、色んなデザートづくりに挑戦してみてはいかがでしょうか?