野菜ソムリエ Hiro のベジフルポケット

【徹底まとめ】まるでキャビアと話題沸騰!幻の果物フィンガーライム(Finger Lime)

あなたは、まるでキャビアみたいなこの果物を知っていますか?

実は野菜ソムリエHiroもまだお目にかかったことがないレア果物なのですが、一度も出会ったことがないからこそ、今回はこのキャビアみたいな幻の果物「フィンガーライム(Finger Lime)」について徹底的に調べてまとめてみました。

 

はじめに:フィンガーライム(Finger Lime)ってどんな果物?

あなたはブッシュフード(ブッシュタッカーともいう)という言葉を聞いたことがありますか?

ブッシュフードは、オーストラリアの先住民族アボリジニに伝統的に利用されてきた同国原産の動植物のことを指します。

例えばカンガルーやエミューなどの動物をはじめ、ライベリーやレモンマートル、ホーリーバジルなどの植物がブッシュフードに含まれますが、その中の一つがフィンガーライムです。

そもそもオーストラリア生まれの柑橘は6種類あって、その中で最も知られている&最も栽培されているのがフィンガーライムといわれています。

そんなフィンガーライムの生まれは、オーストラリアのニューサウスウェールズ州北部やクイーンズランド州南東(ニューサウスウェールズの北に位置)。

元々フィンガーライムは古くからアボリジニによって食べられていた果物。その後に植民地の植物学者がフィンガーライムの栽培を促したといわれています。

そして、1990年代中ごろから商業的な栽培が始まったと言われていて、現在もオーストラリア・ニューサウスウェールズ州北部とクイーンズランド南部で主に栽培されています。
(つまり生まれ故郷である土地で現在も栽培されているということ!)

ちなみにAgriFutures Australiaの情報によると、2012年時点でのフィンガーライム農家は上記のエリアでわずか25戸ほど。そして、オーストラリア国内での2011年のフィンガーライム生産量は約12トンといわれています。
※国内での消費の場合、ブリスベンやシドニー、メルボルンの青果店で販売されている模様です。

また、オーストラリアで生産されるフィンガーライムの約50%はアジアとヨーロッパに輸出されています。(2010年1月時点の情報)

It's all #sweetandsour. #growyourown #fingerlime

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お伝えした通り、元々はアボリジニの間で利用されていたフィンガーライムですが、そのユニークな見た目や美しさに目をつけたオーストラリアのシェフが料理に使用し始めたことで、アボリジニの間だけでなく少しずつ世間に名が知られるようになります。

さらに、旅行雑誌で取り上げられたり、セレブシェフがフィンガーライムを使ったレシピを公開したりして、今では世界で高級果物として知られるようになりました。

その果肉のプチプチとした特異な見た目から「フルーツキャビア」「ブッシュキャビア」「キャビアライム」「森のキャビア」などとも呼ばれています。

特徴のある見た目と美しさから果物のキャビアとして近年人気が急速に高まっているもの、それがフィンガーライムなんですね。

 

1.ライムじゃないみたい!インスタ映えする色とりどりの品種

フィンガーライムの最も一般的なタイプは少し黄色がかったような緑の果皮のものです。
(一般的に知られているライムと一緒!)

ただ、様々な品種があり、品種によって果皮の色も果肉の色も違うのがフィンガーライムの面白いところ!

以下の写真を見てみてください。

なんともカラフルですよね~!インスタ映え200%といったところでしょうか?(言い過ぎ?)

実はフィンガーライムは果皮が緑だけでなく、黄色、紫、ピンクに鮮やかな紅色のものまでさまざまで、果肉の色も白、赤、黄色などなど!品種の違いによって、開花時期も異なります。

特に、野生種だと見た目も大きさも色合いもかなり変わってくるとのことです。

色々と調べてみると、「フィンガーライムの品種は200種類以上」と記してあるウェブサイトもあったのですが、品種の数がいくつあるのかは正確には確認できませんでした。野生種も多そうなので、確認が困難なのかもしれません!(なんか悔しい・・・!)

ただ、こちらの2010年に公開されたprimefactsのレポートによると、フィンガーライムは以下3つのグループにカテゴライズすることができるようです。

① Plant Breeders Rights に登録された品種
Plant Breeders Rights Act(意訳:植物繁殖権利法)の元に栽培されている品種です。
2010年1月時点では、1種類のフィンガーライムしか登録されていません。

その品種名は「Rainforest Pearl」で、紅色の果皮にピンク色の果肉を持っています。(ザクロみたいなカラーリング)

② Australian Cultivar Registration Authority に登録された品種
Australian Cultivar Registration Authority(意訳:オーストラリア品種登録機関)に登録された品種です。

2010年1月時点で、5種類のフィンガーライムが登録されていて、2種類は審査待ちとのことなので、2018年現在ではさらに登録されている種類が増えていることが予想されます。

1. Alstonville : 果皮が深みのある緑がかった黒で果肉は薄い緑色の品種(ハラペーニョをもっと黒くしたような見た目で、果肉の色はキウイベリーみたいな印象)

2. Blunobia Pink Crystal:緑がかった茶色の果皮に濃いピンク色の果肉を持っています。(これもAlstonvilleみたいな見た目で、果肉はザクロみたいな感じ)

3. Durhams Emerald :黒い見た目にエメラルドグリーンの果肉の品種。(Alstonville より緑の色が薄目の印象)

4. Judy’s Everbearing:緑かかった茶色~栗色の果皮で、緑から濃いめのピンクの果肉です。(そう、ひとつのフィンガーライムなのに、黄緑っぽい色の果肉とピンク色の果肉が混ざっている品種で、とっても面白いんです)

5. Pink Ice(写真下):赤っぽい栗色の果皮に透明からピンクの果肉が詰まっています。(薄目のピンクから濃いめのピンクが混ざったような美しい品種です)

 

③上記2つに登録されていない独自の品種
Plant Breeders RightsにもAustralian Cultivar Registration Authorityにも登録されていない品種です。

フィンガーライムを扱う業者の例としては、Limeburst Fingerlimesが以下のような名前で独自のフィンガーライムを販売しています。 
Limeburst® green / Limeburst® pink / Limeburst® yellow など

あなたはどの色のフィンガーライムを食べてみたいですか?
野菜ソムリエHiroは、断然ピンクアイスです( ◠‿◠ )その理由は簡単、可愛いから(笑)

 

2.どうやって利用するのがベスト?フィンガーライムの料理写真を集めてみた

フィンガーライムは主にシーフード料理に使われていますが、その果肉はジャムやソース、ゼリーづくりにも使用されています。また、フィンガーライムの皮は剥いた後に乾燥させ、スパイスにも使うことができます。

最近では、カクテルに入れたりして見た目を楽しんでいる写真も多く見かけます。

ここで、フィンガーライムが使われている料理の写真を集めてみました。

カップケーキの上にエメラルドグリーンとピンク色のフィンガーライム!
これだけでオシャレ度がかなり上がりますよね~。

口の中でプチプチの果肉を噛むまで味が混ざりあわないのも、フィンガーライムならではの魅力。

牡蠣に鮮やかなピンクのフィンガーライムをのせるだけで、「こんなに美しいのか!」と感動すらしてしまう写真です。

こちらはエメラルドグリーンのフィンガーライムを使った台湾風豚まん。フィンガーライムの色が映えて、さらに食欲をそそる見た目に・・・。

海老の上にのっているのは、薄ピンク色のフィンガーライムです。他の材料と同系色のものを合わせてもキレイですよねぇ。

最後は、スモークしたサバの上にピンクのフィンガーライム。きゅうりの緑もあわさって美しいですね~。
ぜひとも一度は買って食べてみたーーーい!

 

3.いまや高級食材のフィンガーライムはどのくらいのお値段なの?

この記事を読んでいる方は、すでにフィンガーライムを食べてみたい欲がすごいことになっているかと思うのですが、「じゃあいくらで買えるの?」という疑問も浮かんだはず。

例えば、先ほども出てきたprimefactsのレポートによると、以下のような値段が付いていました。

■ オーストラリアから輸出された生のフィンガーライム → だいたい 1kgで $ 40 – $ 60
■ オーストラリア国内で消費される場合 → 1kgで $ 25 – $ 40 程度
(2010年1月時点の情報)

 

ちなみに野菜ソムリエHiroが暮らすバンクーバーでフィンガーライムについて調べたところ、バンクーバーの台所的存在のグランビルアイランドで取り扱いが一時的にあったことを発見。

2017年に公開された上の動画では、フィンガーライムひとつが約1.80ドル~3.40ドル程度(1カナダドル80円とすると高くて1つ270円くらい)であることが分かりました。

そのサイズと値段のバランスをみると、やはり高級食材のイメージですが、ばら売りであれば家庭用としても買えないことはない価格ですよね。(あくまでカナダ・バンクーバーでの話です)


冷凍フィンガーライム(ピンク) 50g

ちなみに、日本のAmazonでも冷凍された輸入フィンガーライムを購入できることも分かりました。

まだまだレストラン商材として人気のフィンガーライムですが、家庭用のもので一度挑戦してみてもいいかもしれませんね。

 

4.フィンガーライムが高値の理由は?

フィンガーライムは土の状態によってもカタチなどが変わってきますが、その苗木は最大で約6mにまでなります。

そして指先のようなカタチの果実は、約6cm~最大12cmの長さになるといわれ、フィンガーライムの重量は最大で 60g 程度です。

Caviar of the australian bush#fingerlime

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上の写真が実際にフィンガーライムが木に成っている様子。

見ての通り鋭い棘が多いのが特徴で、収穫の際には棘を避けながら果皮を傷つけないために手作業で一つ一つ収穫することが必須となるので、時間(=コスト)がかかります。

さらに、フィンガーライムの木は成長が遅く種を植えてから12か月ほどしてから成長のサインを見ることができるといわれています。

接き木したフィンガーライムは小さな果実ができるまでに約3年はかかり、収穫量を増やそうとするなら約6年間は待たないといけません。

品種によって差があると思われますが、種まきから始めると、果実ができるまでになんと最大15年かかるとのこと。(長い・・・)

ということで、いかに栽培するのが大変な果物かが分かりますよね。
上記の理由から需要に対する供給が追い付いておらず、高級食材となっているようです。んー、納得。

ちなみに、うまく育った5~6年のフィンガーライムの木は、毎年最大で約20kgのフィンガーライムを採取できるとのこと。

ただ、主産地であるオーストラリアでは、そのうちの40%が輸出できる高クオリティで、残りの60%は加工用に回されるようです。

 

最後に:日本でも流行間近!?フィンガーライムの豆知識

日本ではまだまだ流通が少ないフィンガーライムですが、実は日本テレビの人気番組「沸騰ワード10」にも取り上げられたということで、これから近い将来フィンガーライムが流行るかもしれません。

最後に少しだけフィンガーライムの豆知識をどうぞ。

■ 栄養について
フィンガーライムの栄養価については、まだ十分に研究されていないようです。色合いによっても含まれる栄養素に違いがありそうです。
Fruitinfo.comでは、フィンガーライムの栄養成分が記載されていますが、特に目立った栄養はありませんでした。

■ 栽培場所について
霜を嫌うので、栽培場所としては温暖な場所が好まれます。他の柑橘類と比べると、肥料がかなり少なくて済む柑橘だといわれています。
収穫後は傷みを防ぐために、太陽光を避けて風通しの良い冷暗所で保存されます。

■ 保存方法について
新鮮なフィンガーライムは涼しい部屋(5~10℃)に保管した場合、約4~5週間はもつといわれますが、これは品種によって差があります。また、4℃以下の状況下に置くと冷害にあってしまうので、寒さに弱い果物であることが分かります。

果皮ごと冷凍することも可能で、 – 18℃下に置くと、約3~6か月は品質を保てるようです。ただ、生のものに比べ品質が多少落ちることが懸念されます。

■完熟しているかどうかの見分け方
完熟したものは収穫する際にフィンガーライムの木から離れやすくなっています。また、果実を半分に切って軽く指で押すと、簡単にプチプチの果肉が飛び出るものは完熟している証拠です。(↓動画)
未熟なまま収穫されたものは、苦みが強くなります。

Found a pink Finger lime ☝️

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ということで、いかがでしたか?

インスタ映えする幻の高級果物「フィンガーライム」。

お店で見かけたときは買ってみてはいかがでしょうか?
野菜ソムリエHiroもバンクーバーで探してみるので、実際に手に入れたらまた報告しますね!

(2018年8月追記)
実際にフィンガーライムをバンクーバーのグランビルアイランドで見つけちゃいました~!

食べてみた感想などもまとめているので、記事をチェックしてみてくださいね!


幻の果物!森のキャビア「フィンガーライム」を実際に食べてみたら何かとスゴかった件


冷凍フィンガーライム(ピンク) 50g


Fruit and Vegetable Growing in Australia: The Complete Guide to Growing a Huge Variety of Different Fruits and Vegetables under Australian Conditions