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【楊貴妃とライチの歴史も紹介】緑でも完熟!グリーンライチ「妃子笑」まとめ

      2021/05/23

皆さん、ライチ(英語表記だと lychee や litchi)は好きですか?

ライチは中国南部~ベトナム北部あたりが原産といわれて、中国では紀元前から栽培されていて、中国だけでライチの品種は200を超えるそうです。現在は中国をはじめ、台湾、インド、ハワイなどでも栽培されています。

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野菜ソムリエHiroは日本にいた頃からライチが大好きで、カナダでも主にアジア系のスーパーでよく売られているので、ついつい買ってしまいます。(色んな国から輸入しているので、夏の時期以外でもたまに見かけます)

カナダBC州バンクーバーでは色んな種類のライチを手に入れることができて、以前は「種無しライチ」や大型の「ライチキング」なども手に入れることができましたが、先日見つけたのがこちら↓

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野菜ソムリエHiroが個人的に一番思い入れがあるグリーンライチ「妃子笑(ひししょう)」キターーーーーー!!!!(ひししょう、ってちょっと読みづらい汗)

ということで今回は、楊貴妃とライチの関係と妃子笑を実際に食べた感想もいっしょにまとめてみました。

 

はじめに:世界三大美女の一人、楊貴妃とライチの関係

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皆さん、「世界三大美女」の一人かつ「古代中国四大美人」の一人としても数えられる楊貴妃(Yang Guifei )とライチの関係をご存知でしょうか?妃子笑ライチを語るにあたり、切っても切れないので、まずはじめにその歴史を紹介します。

※以下、野菜ソムリエHiroが台湾人の友人に協力を求めつつ、主に中国語のウェブサイトの情報を参考にまとめたものになります。間違いなどあればこちらのフォームからご連絡いただければ幸いですm(__)m

中国唐代の皇妃だった楊貴妃(719年~756年)。玄宗皇帝が寵愛しすぎて国が傾いたともいわれていますが、その愛されっぷりが分かるエピソードで特に有名なのが、玄宗皇帝は楊貴妃を喜ばせるために、好物であるライチを遠く離れた地から取り寄せていたというものです。

中国のWikipedia的存在の百度の情報によると、ライチは皇帝と楊貴妃の暮らす中国北西部陝西省の州都である長安(現在の西安)では当時栽培されておらず、数百マイル離れた場所にある中国南部の広東省高州市あたりから宮廷まで足の速い馬を使って運ばせたといわれています。(※100マイルで約160kmです)

以下の動画では、玄宗皇帝がつくったとされるライチ運送専用の「ライチロード」の新たな証拠が四川省の考古学調査により見つかったことが取り上げられています。

そして、馬でライチを運ぶ様子がドラマのように描かれているのですが、本当に命がけのタスキリレーのような印象を受けました。(動画をクリックすると、そのシーンに飛びます↓)

当時の都「長安」は現在の陝西省の省都西安市に該当するので、ライチロードの距離感は以下のようになるかと思います。上の動画のサムネイルの道筋は異なりますが、とりあえずめちゃくちゃ遠いのは伝わるかと思います。

昼夜問わず全速力でライチを運ぶハードな仕事で、なかにはライチを運ぶことが原因で亡くなった人もいるなんていう記述もネットで見つけましたよ。

では、なぜそこまでライチを早く運ぶ必要があったかというと、皆さんご存知のとおりライチは鮮度劣化が早い果物で、新鮮な状態をキープするのが難しかったからです。

「ライチは枝を離れると1日で色が変わり、2日で香りが変わり、3日で味が変わる」と言われていたため、収穫した果実だけではなく、ライチが木に生っている状態で運んだようです。

飛行機なんて無い時代ですから、楊貴妃のためにライチを運ぶ馬も人も相当な心労があったことは想像に難くないですよね。玄宗皇帝の楊貴妃への愛が良く分かるストーリーです。

 

そして名前の由来:楊貴妃が美味しさのあまり微笑むライチだから「妃子笑」

こちらのページ(中国語)によると、ライチ「妃子笑」の歴史は古く、もともと広東省高州市の小さな山村で栽培されていたもので、1300年以上の歴史があるそうです。

そして、この地こそ楊貴妃のために運ばれていたライチの生産地だったとのこと。

晩唐を代表する詩人といわれる杜牧(と ぼく)(803年~853年)は、楊貴妃のためにライチが宮廷に届く光景を想って以下の詩を残したそうです。
 

“一骑红尘妃子笑,无人知是荔枝来”
意訳:一騎の馬がやって来るのを楊貴妃が笑顔で迎えます。それがライチであることを誰も知りません

その後、上の詩に影響を受けた人々が、この地で栽培されているライチを「妃子笑」と呼ぶようになったそうです。楊貴妃が亡くなったのは756年なので、妃子笑と名付けられたのは、楊貴妃が亡くなった後の話ですね。

ただ、楊貴妃が妃子笑だけを食べていたのかどうかは確証が得られませんでした。こちらのDayDayNewsのページによると、どうやら楊貴妃は色んな場所で栽培された色んなライチを食べていたそうです。

 

妃子笑(プリンセスグリーンライチ)ってどんなライチ?実際に食べてみた感想

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ということで、楊貴妃がその美味しさに微笑んだという広東省原産の妃子笑(ひししょう)。日本ではプリンセスグリーンライチとも呼ばれている通り、果皮が緑色の状態でも完熟しているライチです。

現代では、主に広東省や福建省、四川省、台湾などで生産されています。妃子笑ライチ農家さんの動画を見つけたので、シェアします。

妃子笑の果実は、美しい乳白色の厚い果肉が楽しめます。また、種(核)も小さいので、可食部が多いのも魅力の一つです。

高い糖度と豊かな風味が特徴で、楊貴妃に愛されたといわれる理由も分かるライチです。

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ちなみに、妃子笑はグリーンライチですが、果皮が赤くなっているものもあります。百度の情報によると、果皮が赤くても緑でも品質には特に変わりがないそうです。

個人的には、赤みがすこしかかった緑色の鮮やかなものが一番美味しいと感じていますが、皆さんはいかがでしょうか?

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日本だと妃子笑ではありませんが、今は沖縄県や鹿児島など日本南部で少しライチが栽培されていますよね。

日本で生のライチは基本的に初夏頃に出回っていますが、野菜ソムリエHiroが岡山のスーパーの青果部門で働いていた頃は、毎年5月か6月くらいに中国産の妃子笑が必ず入荷していて、「ライチといったら妃子笑!」というイメージが頭に残っています。

むしろその頃は、果皮が赤いタイプのライチは見たことがありませんでした。

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そして今回バンクーバーで改めて妃子笑を食べてみたのですが、果皮を剥いていると果汁が飛び散ってしまうくらい果汁が多かったです。果皮は手で簡単に剥けます。

個人的には甘くてフレッシュで、ジューシーでもう最高でした。糖度計で計ってみると、糖度19度!十分な甘さです。

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また、種もやはり小さめだったので、可食部も多め!可食部が多いと、やっぱり満足度も違うかと思いました。

ちなみに小さめの種は、チキンタングなんて言われています。

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今回購入したものは、1パック500gで 19.99ドル(1790円くらい)と少しお高めでしたが、ものすごくフレッシュな状態だったので、個人的には大満足でした。

 

最後に:新鮮なライチの選び方

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いかがでしたか?

楊貴妃とライチの関係、とっても面白いですよね。でも、実際にライチを運ぶ仕事をしていた方は、本当に大変だったと思います。「ライチの鮮度が落ちる速度が遅ければ、こんなことにはならなかったのにな・・・」とも思ったりしました。楊貴妃の愛され度、恐るべしです。

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最後になりますが、やっぱりライチは新鮮な生のものを購入しないと、本来の味が楽しめないので、選び方などをお伝えします。

・鮮度が落ちたものは、褐色系の果皮になったり、見た感じ新鮮そうな感じがしません
・果皮が乾燥していないもので、色鮮やかなものを選んでください
・持ってずっしり重いもの。鮮度が落ちてくると乾燥して軽い感じがします
・常温は避けて冷蔵庫で保管してください。皮のまま冷凍もできます
・鮮度が落ちると味も香りも少なくなるので、購入したその日に食べるのが一番オススメ

今回ご紹介したライチの歴史部分は台湾人の友人に協力してもらったものの、中国語の記事も参考にしていてどこか間違いもあるかもしれません。間違いに気付いた方はお手数ですが、野菜ソムリエHiroまでご連絡くださいm(__)m

「まだ一度も妃子笑を試したことがない!」という方は、冷凍ものもありますが、初夏頃にしか食べられない生の味をぜひ体験してみてくださいね!


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