野菜ソムリエ Hiro のベジフルポケット

収穫量の95%は加工用?カナダのクランベリー農家に教わったこと7つ

      2024/05/20

カナダBC州バンクーバーでは秋になると、郊外で真っ赤な海のような風景を見ることができます。

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その正体は何かというと、クランベリー(Cranberry)です。

そう、クランベリー畑に水を入れることで、真っ赤に熟したクランベリーの果実が水面に浮かんでいるんですね。これをウェットハーベストといいます。

野菜ソムリエHiroは以前にもカナダBC州ラングレーにある The Bog というクランベリーファームにお邪魔して収獲の様子を見たことがあるのですが、それはもう日本では見られないような感動の光景でした。

 
「そんな秋の風景を今年もどこかで見たいな~」と思っていたのですが、The Bogとは別のファームがクランベリーファームツアーを行っていることを知り、先日行ってきました!

今回は、メトロバンクーバーの Pitt Meadows にある Hopcott Farms のクランベリーファームツアーの内容を紹介したいと思います。

ツアーの中で教わったクランベリーのことを7つに分けてまとめているので、確認してみてください。

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バンクーバー郊外のホプコット・ファームズ(Hopcott Farms)のクランベリーファームツアーに参加してきた話

2022年10月末、天気は大雨(泣)。Hopcott Farmsのクランベリーファームツアーに行ってきました。

バンクーバーのダウンタウンからだと、車で約40分ほどの場所にあります。

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家を出たときは雨が止んでいて「これはもしやラッキーなのか?!」と思いましたが、ファームに到着した頃には大雨で、悲しさマックスの中でのクランベリーツアー参加となりました。(キャンセルにならなくて良かったです!)

Hopcott Farmsのクランベリーツアーには、水を張ったクランベリー畑の中にも入ることができると聞いていたのですが、大雨だったので、それが可能かも謎のまま現地を訪れました。

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ツアーが午後12時からだったので、10分前頃に到着し、ファームのマーケットのそばにあったこちらの白いテントで時間まで待機することになりました。

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少し待っていると、小さな子ども4人を連れた別の参加者の方もやってきました。

クランベリーツアーは10月中旬~末にかけて何度も行われていたのですが、野菜ソムリエHiroが参加したときは結局自分を含めて2組だけでした。

 

ツアーその1:クランベリー畑へ移動

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そしてクランベリーツアーがスタート。

「そういえば、クランベリーの畑はどこにあるんだろう?」と思っていたのですが、テントを出ると干し草を椅子にしたトラック(※正式な呼び名が分からない)が待っていました。

この乗り物でファームのマーケットの近くにあるクランベリー畑まで運んでもらう流れでした。(一緒に参加した子どもが嬉しそうで、自分も嬉しくなりました)

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約3分ほどで近くにあったクランベリー畑に到着しました。くすんだ赤(茶色?)のように見える畑は全部クランベリーの畑です。

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トラックが止まったのは、パイプハウスと呼ばれる小屋の前でした。小屋のすぐそばにクランベリーの実が浮かんでいる畑があるのが分かるかと思います。

大雨で天気も悪い中でも、鮮やかに輝いているように見えました。

ツアーその2:クランベリー農家さんに直接教えてもらったクランベリーのこと7つ

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パイプハウスの中に入った後は、Hopcott Farmsのオーナーでありクランベリー農家のTravis Hopcottさんから、クランベリーの収穫方法などについてお話がありました。

個人的に特に印象に残ったことが7つあったので、以下にまとめてみました。

1. クランベリーという名前の由来は鶴

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クランベリーの名前の由来、皆さん知っていますか?

鶴(Crane)に似ている小さい果実(berry)ということで、クランベリー(cranberry)であるとトラヴィスさんから紹介がありました。

Wikipediaにも「花が開く前の茎、萼、花弁が鶴の首、頭、くちばしに似ていることから名付けたとされる」と記されていました。ただ、名前の由来には諸説ある模様で、正確なところは分かりません。

また、リンゴンベリー (lingonberry) とも呼ばれるようです。

2. クランベリー、西海岸はローブッシュ、東海岸はハイブッシュ

トラヴィスさんによると、クランベリーとブルーベリーは、カナダ西海岸(※バンクーバー側)と東海岸でハイブッシュ(樹高が高い)とローブッシュ(樹高が低い)に分かれているそうです。

クランベリー

西海岸 東海岸
ローブッシュ ハイブッシュ

たしかに言われてみると、バンクーバー郊外で今まで見たクランベリー畑はどれも樹高が低いものばかりで、クランベリーってそもそもそういうものだと思い込んでいたのですが、東に行けば樹高の高いクランベリーの木もあることを知って、目から鱗でした。(どのくらい東なのかは不明ですが・・・)

ブルーベリー

西海岸 東海岸
ハイブッシュ ローブッシュ

また、ブルーベリーにはハイブッシュとローブッシュがあることは元々知っていたのですが、クランベリーとは逆で西海岸はハイブッシュ、東海岸はローブッシュという考えが面白く感じました。

バンクーバー郊外で見かけるブルーベリーは樹高が高いものしか見たことがないので、まさにその通り。そして以前ブルーベリーについて調べた際に、ローブッシュのブルーベリーのほとんどはケベック州、オンタリオ州、ノヴァスコシア州などの東部で栽培されていると分かったので、納得でした!

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(関連記事)誰にも教えたくない極上の野生種ワイルドブルーベリー(Wild Blueberry)知っておきたいこと7つ

 

3. 畑に水を張った後に果実を浮かす機械のことを「クランベリービーター(Cranberry beater)」「エッグビーター(Eggbeater)」と呼ぶ

最初にお伝えした通り、クランベリーは畑に水を入れて果実を浮かせて収獲されます。トラヴィスさんによると、まずは50%ほどの水を畑に入れて、「クランベリービーター」という機械で畑の中をかき回して、果実を浮かすそうです。

果実が浮かんだら今度は100%の水を張って、その後収獲するとのことでした。今まで「あの機械は何ていう名前なんだろう」と思っていたので、個人的にとてもスッキリしました。

 
ちなみに Hopcott Farms も加入している Ocean Spray(クランベリー生産者のアメリカの農業協同組合でカナダの農家も含まれます) のウェブサイトを見ると「エッグビーター」とも呼ばれているようでした。

上のオーシャンスプレーの動画にもエッグビーターが登場しているので、チェックしてみてください。

 

4. クランベリーの初収獲までに約4年が必要

IMG_3876(パイプハウスでの解説後は外に出てトラヴィスさんが畑の中に入って、ツアー参加者の質問に答えていました)

皆さん、クランベリーは収穫までにどのくらいの年月が必要か知っていますか?

トラヴィスさんによると、クランベリーは初めての収穫までに約4年かかるとのことでした。

収獲を迎えるまでに多大なコストがかかるため、クランベリー農家の多くは他の作物を栽培したりして収益を得る人も多いとのことでした。(Hopcott Farmsもマーケットの経営の他、ほかの農作物を育てています)

ちなみにトラヴィスさんによると、クランベリーを商業的に栽培することで難しい点が2点あるとのことで、1つは「育てること」、そして2つ目が「どうやって売るか」と言っていました。

ただ、オーシャンスプレーに加入したことで、オーシャンスプレーが収獲したクランベリーを100%買い取ってくれるので、2つ目の心配が無くなったそうです。(もちろんクオリティによりますが・・・)

ちなみに、ダークカラー(けっこう熟した状態)のクランベリーではなく、ピンクカラーというか少し赤っぽく色づいたクランベリーを収穫することが推奨されているとのことでした。

 

5. クランベリーの収穫は9月~11月頃

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クランベリーの収穫は9月~11月頃と期間がそこそこ広いとのことでした。

ただ、8月頃にホワイトクランベリーを収穫したりもするそうです。

カナダにお住まいの方であればご存知かと思うのですが、現地のスーパーではたまにオーシャンスプレーのラベルが付いたホワイトクランベリーのジュースを見かけます。白いクランベリーは品種ではなく未熟なクランベリーなので、熟す前に収穫して加工に回しているようです。

ちなみにHopcott Farmsでは、ウォーターハーベストによる1つの畑の収獲作業は6人がかりで、約4日間かけて収穫するそうです。

上の写真のようにフローティングブーム(floating booms)で浮かんだクランベリーを一か所に集めて、ホースのようなもので吸い込んで収獲&トラックに積み込まれ、出荷されるのですが、風が強いと浮いているクランベリーの果実を風がある程度動かしてくれるため、収穫が楽になるそうですよ。

またトラヴィスさんによると、水を使って収獲するものの、クランベリーは基本的に水が嫌いなので、こうやって水を張るのは収穫の前だけと言っていました。

 

6. 収穫される95%のクランベリーは加工用(ウェットハーベスト)。 5% が生で販売する用(ドライハーベスト)

IMG_3884(畑の中にあるクランベリーがホースをつたって後ろに見える機械にが運ばれます。小さすぎるクランベリーや葉っぱなどを除外しながら収獲されます。取り除かれたものはコンポストにするとのことでした)

先ほど、クランベリーは水が嫌いという話が出ましたが、驚くなかれ。

実はスーパーなどで販売されている生のクランベリーはドライハーベスト(畑に水を入れずに手作業などで収獲)のもので、ウェットハーベストで収穫されたものは基本的に加工に回されるそうです。

その割合が、生で販売する用5% / 加工用95% とのことでした。この話は以前 The Bog のファームツアーに参加した際も聞いたのですが、加工用の割合に改めて驚きました。
(ちなみにこの割合はオーシャンスプレーに入っている農家さんの場合なので注意)

IMG_3869(浮かんだクランベリーを「食べてみて」と差し出すトラヴィスさん)

 

7. クランベリー畑の寿命は約40~60年

トラヴィスさんの話によると、クランベリー畑は約40~60年ほど持つらしく、その後は植え替えするのが一般的とのことでした。

少し調べてみたのですが、カナダ東部オンタリオ州にある Muskoka Lakes Farm & Wineryには「クランベリーは通常、種ではなく挿し木から植えられます。うちのクランベリー畑は60年以上果実が実っています。別の品種が必要な場合にもに植え替えを行います。」とも記されていて、60年以上持つところもあるようです。

ツアーその3:水を張ったクランベリー畑の中に入るアクティビティも本当はあるけど、今回は無し

IMG_3908(写真にあるような作業着を着て、水を張ったクランベリー畑に入ります)

クランベリーに関する解説が終わった後、本当は水を張ったクランベリー畑の中に入って記念撮影ができたりするアクティビティの時間があるのですが、今回は大雨だったこともあったためか、無しでした~(泣)

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念のためですが、事前にHopcott Farmsへ「ツアーに参加したらクランベリーの畑の中に入れるの?」と聞いたら、「はい、ツアー内容に含まれています。ただ、ツアー当日に100%できるとは保証できません。」と言われていたので、今回すんなりと諦めることができました。

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その後、また干し草を椅子にしたトラックでマーケットまで戻りました。ツアー開始時よりも雨がざぁざぁと降っていましたが、楽しかったので、オールオーケー!

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マーケットに戻って、最後に用意されていたジュースを1杯いただきました。

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また、1組ずつ生のクランベリーがプレゼントされましたよ。約680gで5ドル分のクランベリーをいただきました!

そして実はツアーに早期申込した先着30名だけがもらえるマルベックのワインもいただくことができました。これだけで支払ったツアー代に匹敵している気がするのですが、自分が先着30名に入っているのか謎だったので、嬉しい誤算でした。

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また、マーケット内にあるビストロで使える 10% OFF のクーポンまでもらってしまいました。Hopcott Farms さん、太っ腹~!

ちょうどお昼時だったので、ビストロでカナダ名物のプーティンと日替わりスープをいただいて、今回のツアーを終えました。

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最後に:メトロバンクーバー Pitt Meadows にあるホップコット・ファームズ(Hopcott Farms )について

最後になりますが、 Hopcott Farms について少し解説します。

Hopcott Farmsは1932年に創業された家族経営のファームです。2006年からはバンクーバーの郊外にある Pitt Meadows に大きなお店を構えていて、そこで新鮮で上質なお肉やお惣菜、ファームで採れた野菜果物、そしてBC州フレーザーバレーやローワーバンクーバー島、サウスオカナガンなど他の農場で栽培された地元の季節の果物や野菜も入荷し販売しています。

また、Hopcott Farmsで栽培収獲されたトウモロコシやイチゴ、ラズベリー、そしてクランベリー等を販売したりもしています。

ローカルのオシャレなキッチン用品なども品揃えしていて、買い物が楽しい場所ですよ。2015年には店舗が拡張され、全体で 17,000平方フィートという大きさになっています。

以下、写真をチェックしてみてください。

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また、店内の一角には野菜ソムリエHiroがプーティンとスープをいただいたビストロ&コーヒーバーがあり、ハンバーガーやサンドイッチ、スープ、ホームメイドのスコーンなどがいただけるので、バンクーバーからの小旅行の際にも、買い物と食事が両方できて便利です。

コーヒーはオーガニック&フェアトレードのものが使用されています。美味しそうなシナモンバンも販売されていましたよ。

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ということで、今回は Hopcott Farms のクランベリーファームツアーについて紹介しましたが、いかがでしたか?

今回のツアーの中でオーナーのTravisさんによるクランベリーについての解説は約20分ほどだったのですが、たくさんのことを教えていただいて、とても勉強になりました。やっぱり農家の方の知識量には全く敵いません!

2022年のクランベリーの収穫は11月上旬に終了したそうなので、次回もし機会があれば晴れの日にもう一度ツアーに参加してみたいと思っています。

バンクーバー周辺にお住まいの方はもちろん、日本の皆さんでクランベリー畑を見たい方も、ぜひ秋頃に Hopcott Farms のウェブサイトを確認してみてくださいね。

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