野菜ソムリエHiroはカナダBC州バンクーバーで暮らしているのですが、スーパーに行くとたまに「あれ?どれがどれだっけ?」となることがあります。
その理由は、一見プラム(すもも)にしか見えない商品に「プルオット(Pluot)」、「プラムコット(Plumcot)」や「アプリウム(Aprium)」と書かれているためです。
また、「これ、プラムじゃなくてプラムコットかプルオットじゃないかな・・・?」と思うようなときもあります。
日本でプルオット、プラムコット、アプリウムはまだ知名度が低いかもしれませんが、海外在住の方は「あ、見たことある!全部プラム(すもも)じゃないの?何が違うの?」と思っている方も多いと思います。
そこで今回は、めっちゃ紛らわしい果物「プルオット、プラムコット、アプリウム」の違いを解説したいと思います。
この記事の目次
はじめに:プラムコット(Plumcot)、プルオット(Pluot)、アプリウム(Aprium)の違いをまず簡単に解説します
早速、どんな果物なのかひとつずつ簡単に紹介します。それぞれ微妙な違いがあるので、しっかり押さえてくださいね。
Tasting my first plumcot. It’s part plum, part apricot. Sweet and delicious. 👍😊 pic.twitter.com/3SdrkC6cxF
— karl wells (@karl_wells) September 6, 2019
プラムコットは、プラムとアプリコット(アンズ)を50%対50%の比率で交配した果物のことです。
プルオットは、プラムとアプリコットの交配種で、プラムの比率がアプリコットより大きい果物のことです。果皮の感じもプラムに近くてツルツル系の傾向にあります。
アプリウムは、プラムとアプリコットの交配種で、アプリコットの比率がプラムより大きい果物のこと。果皮の感じがアプリコットに近くて、少し産毛がある傾向にあります。これは個人的な感想ですが、プルオットは夏から秋頃にも出回るイメージがあって、アプリウムは夏頃しか出回らない気がします。
はい、ということで、3つとも全部プラムとアプリコットの交配種だったんですね。そして、それぞれ交配の比率が異なるため名前が違うということが分かったかと思います。
■ プルオット ⇒ プラム多め × アプリコット少なめ
■ アプリウム ⇒ プラム少なめ × アプリコット多め
これさえ覚えておけば、お店で購入の際に「あれ?どれがどれだっけ?」と迷う必要がなくなりますよ( ◠‿◠ )
ちなみに、「プルオットはプラム75% × アプリコット25%」「アプリウムはプラム25% × アプリコット75%」とネットに書かれていることも多いのですが、その数値がどこまで正確なのかは正直謎なので、「プラム多め・アプリコット少なめ」みたいに覚えておくのが良いかと個人的に思います。
プラムコット、プルオット、アプリウムを生み出した ルーサー・バーバンク(Luther Burbank)氏、 フロイド・ザイガーFloyd Zaiger氏について
次にプラムコット、プルオット、アプリウムを生み出した Luther Burbank氏、 Floyd Zaiger氏について少し紹介します。
実は2人ともすごい人なので、お店で購入する際に「あー!元々はスゴイ人がつくった果物ー!」という風に思い出してもらえたら嬉しいです(?)
■ ルーサー・バーバンク氏(Luther Burbank) ⇒ プラムコットの生みの親
まずはアメリカの植物学者・園芸家・育種家であるルーサー・バーバンク氏。(1849年~1926年)
マサチューセッツ州生まれで、果物、花、穀物、野菜など生涯800を超える株や品種の開発をしていて、果物だと以下の数を生み出しています。
・プラムコット(11)
・プラム/プルーン(113)
・カクタス(35)
・ブラックベリー(16)
・ラズベリー(13)
・クインス(11)
・チェリー(10)
・ストロベリー(10)
・リンゴ(10)
・桃(8)
・栗(6)
・ネクタリン(5)
・ぶどう(4)
・洋梨(4)
・くるみ(3)
・いちじく(2)
・アーモンド(1)
19世紀後半に初めてプラムとアプリコットの交配に成功し、プラムコットと名付けたんですね。その後、プラムコットの品種を11種類も作り出したLuther氏。遺伝子操作をしているわけでなく、すべて人間の手による地道な交配の結果できたものだったそうです。
ちなみに、ルーサー氏が開発したRusset Burbank potato(ラセット・バーバンク・ポテト)は超有名で、北米で暮らしている人なら誰でも一度は食べたことがあるであろうジャガイモです。
北米のスーパーで一般的に販売されているジャガイモを作った人がプラムコットを作り出したと考えると、スゴイような気がしませんか?
■ フロイド・ザイガー氏(Floyd Zaiger) ⇒ プルオット、アプリウムの生みの親
フロイドザイガー氏は1926年生まれの生物学者(↑のサスペンダーの方がフロイド氏)で、カリフォルニア州Modesto在住。ストーンフルーツ(種のある果物)の育種で知られていて、100種類以上の新しい果物の品種を生み出したと言われています。
そんなフロイド氏が1980年代に作り出したのが、プルオットとアプリウムです。どちらも商標登録されていて、他にも以下のようなハイブリッドフルーツを商標登録しています。(※こちらも遺伝子組み換えではありません)
・ネクタプラム(ネクタリンとプラムの交配種)
・ピーコタム(桃とアプリコットとプラムの交配種)
・プルーリー(プラムとチェリーの交配種)
ちなみに野菜ソムリエHiroがずっと探している白いアプリコットも、実はフロイド氏によって誕生した果物みたいです。現在はアジアの梨と洋梨のハイブリッドなどに挑戦しているそうですよ。
最後にプラムコット、プルオット、アプリウムの品種を少し紹介します
ということで、スゴイ2人によって誕生したプラムコット、プルオット、アプリウム。違いが伝わったでしょうか?
正直なところ見た目ではどれがプラムでプラムコットでプルオットでアプリウムなのか判別がかなり難しいです。
そもそもプラムにはは何百もの品種があって、そのプラムがこれまた何百もの品種があるアプリコットと交配されるので、色んな品種が誕生するのは当たり前とも言えます。
そこで、最後にそれぞれどんな品種があるのかをご紹介します。日本国外在住の方は、以下の品種をどこかで見かけたことがあるかもしれません。
Flavorosa / Flavor Royal / Eagle Egg / Amigo / Tropical Plumana / Crimson Sweet / Dapple Jack / Sweet Treat / Flavor Queen / Flavor Grenade / Summer Punch / Tropical Sunrise / Flavor King / King Kong / Flavor Fall など
Dapple Dandy(Dinosaur eggというブランド名もある) / Early Dapple / Emerald Drop / Flavor Delight / Flavor Fall / Flavor Finale / Flavor Grenade / Flavor Heart / Flavor Jewel / Flavor King / Flavor Prince / Flavor Penguin / Flavor Queen / Flavor Rich / Flavor Royal / Flavor Supreme / Flavorich / Flavorosa / Geo Pride /
Raspberry Jewel / Red Ray / Splash / Honey Punch
Cot-N-Candy / Flavor Delight / Tasty Rich Aprium
Flavor Delightについてのビデオ(英語)
Cot-N-Candy についてのビデオ(英語)
ちなみにTwitterでプラムコットやアプリウムなどについて日本語でザッと検索してみたのですが、やっぱり日本ではあまり(ほとんど?)出回っていないような印象を受けました。
今後日本でも人気が出たらいいなぁと個人的に思っています( ◠‿◠ )皆さんも友人にプラムコット、プルオット、アプリウムの違いを聞かれたら、ぜひ教えてあげてくださいね~!
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