野菜ソムリエ Hiro のベジフルポケット

クランベリー (知識まとめ)

品名

クランベリー / Cranberry
和名:オオミノツルコケモモ

植物学上の分類

ツツジ科 スノキ属

歴史

クランベリーの語源には2つの言い伝えがある。

①花が鶴の飛ぶ姿に似ていることから「Crane(鶴)ベリー」
②蕾の形が重機のクレーンに似ていることから「Crane(クレーン)ベリー」

・ネイティブインディアンや1600年以降入植したイギリス人によって酸性の沼地で何千年も栽培されて、食料や染料、医薬品として利用された。
・アメリカ人にとって歴史的な果物。
・1816年、マサチューセッツ州プリマス近郊ではじめて商業的に栽培された。
・アメリカ以外では、カナダのケベック州に1885年に伝わり、現在でもブリティッシュコロンビア州や南アメリカのチリでも栽培されている。
日本に輸入されたのは1977年から。
・猟師たちの間では長く冷たい冬のためにこの秋の果実をドライフルーツにして食べていたそう。
・壊血病を防ぐために価値を置かれ、利尿剤としても用いられたそう。

品種

130以上の栽培品種があるそうだが、主要なものは15品種ほどだそう。

その中でも代表品種は3つ。

●ハーウィー
●アーリーブラック・・・生食用栽培に向いている。深紅色で実は小ぶり。
●スティーブンス・・・加工用栽培に向いている。果実は赤くて大きい。

産地

・アメリカが主産地。
カナダのフルーツ生産量第5位

1位アップル
2位ブルーベリー
3位ストロベリー
4位グレープ
5位クランベリー

時期

夏の間、緑色だった果実は秋になって気温が低くなると深紅色に変わる。
収穫期は品種によって異なるが、早生種では9月中旬、晩生種では11月中旬ごろ

見分け方

赤く熟しており、ツヤがあるもの。茶色くなっていないもの、カビの生えていないものだと思われる。
果実のカタチがよいもの。

栄養

・ビタミンC(40mg/ 100g)、フラボノイド類が豊富。
(調理をするとかなりビタミンCを損なうので、他の甘い果物と一緒に生で食べるのが、栄養的には理想である。)

一番の特徴はプロアントシアニジンというポリフェノールの一種の含有量が果物で一番多いこと。

・学術的文献では、クランベリージュースには尿のpHを酸性にする働きがあり、尿路感染症の予防に役に立つ、という内容のものが多く見られる。
(クランベリーに含まれるキナ酸が体内で代謝されて馬尿酸に変わり、これが尿のpHを下げるとのこと)

・感染菌の増殖を防ぐ働き、感染菌が体内に残るのを防ぐ働きなどがある。

尿路感染症では水分をたくさんとることが治療の基本だが、どうせ水分をとるのであればクランベリージュースを飲むことがよい。アメリカではこのジュースが民間療法として一般的に利用されている。

赤ワインと同等以上のポリフェノールを含む。ポリフェノールの主成分はプロアントシアニジン。この主成分は感染菌が尿路に付着するのを防ぐ働きがあるとのこと。

・学会発表(A.E.Sobota J.Urology,1984)によると、感染菌が尿路に付着するのを70%防止するそう。

・また、この主成分は心臓・血管疾患予防効果もあると研究されている。

2003年3月にアメリカンケミカル・ソサイアティーから発表されたニュースでは、クランベリージュースを1日3杯飲むことで血中の善玉コレステロールが増加し心臓病のリスクが軽減した、とのこと。

・数々の研究でピロリ菌が胃の粘膜に付着するのを防ぎ、膀胱粘膜に細菌がつくのを防いで、胃潰瘍や膀胱炎を予防する結果がでているそう。

・クランベリーのもつ「バイオフィルム破壊」効果が、歯肉炎・歯周炎の最大の原因である歯垢の形成を防ぐそう。
(ただし甘み成分を除去したクランベリージュースを利用した場合)

・クランベリーに含まれるフラボノイドは、特に毛細血管を強くすることに効果的だといわれ、ビタミンCとともに視力の低下を防ぐ役割をしてくれる関係があるらしい。

・銅の吸収を助け、また、ビタミンCを使って、コラーゲンの生成を助けるそう。

・ネイティブアメリカンはクランベリーを傷口に湿布として使うなど、民間薬として用いられるほど健康効果が高いといわれた。

料理

・ジャムにするには簡単。長時間煮込む必要がない。果実と同等量の砂糖を加えて、少し煮込む。砂糖を控えるとソースにもなる。少し工夫してオレンジやみかんを加えても美味しい。
・生では酸っぱいので、たいていパイや他のデザート(マフィンやケーキなど)に加えられる。
・煮込んだりドライフルーツにしたりされるが、特にアメリカでは感謝祭やクリスマスに食べる七面鳥のソース(やや苦味がある甘さ)に使われたりする。アメリカ人にとっては馴染み深い果物。

保存

フレッシュクランベリーは普通の果実とは違い、冷蔵庫に入れておくだけで
凍らさなくても1年ほど保存可能といわれる。(ほんと?)

ポイント

・早く簡単に美味しいジャムができる。
赤ワインと同じくらいのポリフェノールを摂取できる。

その他情報

・日本ではブルーベリーがよく知られていますが、アメリカでのブルーベリー消費量はクランベリーの1/6である。

・傷から毒をとりだすための湿布として利用されたり、敗血症(傷口などから細菌が血管やリンパ管に入って起こる病気)に対するすぐれた治療薬でもあったそう

・染料にも使用されていたそう

アメリカでのフルーツジュース消費量
 1位オレンジ 2位アップル 3位クランベリー

クランベリージュースに果汁100%がないのは、果汁は酸味と苦味が強く、そのまま飲むには適さないため。ふつうは20~30%に薄めて甘く味付けされる。

・最低気温がマイナス45度までの地域で生育できる

・生育には酸性の泥炭地が最適

・クランベリーの樹木は樹齢100年に達するものも少なくないが、その高さは せいぜい20センチ程度。幹も直径2-3ミリ。そのためクランベリーの畑は日本の水田のように見える。

特別参考資料

・中嶋康彦さん著「クランベリー」

 

Hiroのメモ書き

岡山では生のクランベリーを見たことがないのですが、以前秋ごろに大阪のスーパーで購入したことがあります。
実がつやつやしていて、とってもきれいでした。

ジャムにしてみると、じっくり煮込まずとも、本当にすぐにできました。
香りもよく、プチプチした感じの食感もおもしろく、また手に入ればつくりたいものです。

上記に書いているのは特別参考資料として挙げさせていただいた2003年出版の中嶋さんの本の内容が多々あり、本の中では「クランベリーの研究は始まったばかり」とありました。

2014年現在、おそらくもっとクランベリーの効能が明かされているのでしょうね。ためしにネットで調べてみると、エイジングケアに用いられる、というのもありました。

こちらも参考にしたいものです。
クランベリーの多彩な効能
http://sp4u.jp/professor/n05.html
美肌マニア
http://bihada-mania.jp/blog/25791

●追記
現在2014年8月8日、カナダのバンクーバーで暮らしているのですが、
たくさんのメーカーからいろんな種類のクランベリージュースがスーパーのジュースコーナーに並んでいます。
こんなにもクランベリージュースが一般的に愛されているのかと驚きました。日本とは大違いですね。

栄養面から見てもかなり健康に良さそうなので、これから日常的にクランベリージュースを取り入れていけたらなぁ、と思いました。