先日カナダ・バンクーバーの八百屋で購入したりんご(Red Delicious)に蜜が入っていました。りんごに蜜が入っているだけで、なんだか幸せな気分になっちゃいますが、日本人を幸せにしてくれるりんごの蜜について徹底的に調べてみました。
この記事の目次
りんごの蜜の正体はソルビトール
結論からいうと、りんごの蜜の正体は「ソルビトール」という糖質アルコールの一種です。文字だけじゃ分かりづらいので、絵にしてまとめてみました。
1. りんごの葉が日光により光合成して、デンプンができる。
2. りんごの葉にできたデンプンが、ブドウ糖の還元によってできる「ソルビトール」という糖質アルコールの一種に変化
3. 葉から軸を通り、果実内に入ったソルビトールが果糖やショ糖に変化し、蓄積する
4. りんごが完熟すると、もうこれ以上甘くなれないため、ソルビトールが果糖やショ糖に変化できなくなる
5. 行き場を失ったソルビトールが果実内の水分を吸収し始める
6. 水分を吸収したソルビトールが「蜜」と呼ばれている
つまり、ソルビトールは天然の甘味料であり、りんごの蜜は果実の糖分が最高に達しているという証拠ということ。
特にソルビトールが変化する果糖は、砂糖の1.15~1.73倍の甘味があるといわれています。だから、蜜入りりんごは美味しいと言われているのですねぇ。
りんごの蜜「ソルビトール+水」って甘いの?
りんごの蜜がソルビトールということが明らかになりましたが、ではソルビトールが本当の蜜のように甘いかというと、実はそうじゃないんですね。
ソルビトールは砂糖の約50~60%の甘味度があるといわれていて、蜜の部分だけを食べても、さほど甘味を感じることはできません。
蜜のように甘そうに見えますが、実際の蜜の部分は大して甘くはないんです。
りんごの蜜が入りやすい品種は何?究極の蜜入りりんご「こみつ」
蜜の入りやすい品種は限られていて、野菜ソムリエHiro自身は、蜜が入らない品種が圧倒的に多いような気がしています。
ここでは、蜜が入りやすいといわれている主要品種をご紹介します。
ふじ(デリシャス×国光) / 北斗(ふじ×陸奥) / 高徳(読み名:こうとく / ブランド名:こみつ) / スターキング(デリシャスの枝代わり) / ひめかみ(ふじ×紅玉)
特に最近蜜が大量に入りやすい品種「こみつ」が話題にもなっています。
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上記の写真の販促物にも書いていますが、生産者が極めて少なく、「幻のりんご」なんて呼ばれているこみつ。
正式な品種名は高徳(こうとく)で、実は1985年に品種登録されています。
野菜ソムリエHiroもまだ手に入れたことがないので、是非一度食べてみたい逸品であります。
また、個人的にオススメなのが、「葉とらずのサンフジりんご」です。
りんごの周りの葉を取らずに、太陽の恵みを通常のサンフジよりも更にたーっぷり浴びたサンフジりんごのこと。
果実の色合いに若干のムラがあるものの甘味は抜群で、蜜が入っているものが多い気がしています。(あくまで「気がする」のレベルですが)
ちなみに、蜜の入りにくい品種としては「つがる」「王林」「ジョナゴールド」「ゴールデンデリシャス」などがあります。
蜜が入っているりんごの選び方
蜜が入っていないりんごより、そりゃあ蜜が入っているりんごを選びたいですよね。しかし、実はりんごのプロでも外見だけで蜜が入っているりんごを選ぶことは不可能なんです。
ただ、先ほど挙げたサンフジや北斗なんかの蜜が入りやすい品種で、品質の良いリンゴを選べば蜜が入っている可能性は十分に考えられます。
1. 全体的に赤く香りが良いもの
(緑りんごの場合は全体的に黄色がかっているもの)
2. 軸が太いもの
3. 肩が盛り上がっているもの
4. お尻のくぼみが深いもの
りんごの蜜が消える!?どの季節にりんごを買えば蜜が入っているの?
リンゴを半分に切って、種子に近い部分、すなわち芯の部分が腐れたようになっていた経験はありませんか?
実は収穫直後にたっぷり入っている蜜でも、1月の終わり頃を過ぎると少しずつ蜜が果糖に変化して消えていくといわれています。
そして、2月3月頃になると、蜜の部分が茶色くなってしまうことも多いのです。
つまり蜜入りりんごを楽しみたいと思ったら、だいたいサンフジが出てくる10月~1月中旬ぐらいまでということですね。(蜜が入ってたらなんだか幸せなので、ほんとは年中入ってて欲しいんですけどね)
といいつつ、ここカナダ・バンクーバーで2月初めに購入したレッドデリシャスりんごに蜜が入っていたのはラッキーでした。
蜜入りりんごの理想的保存方法
蜜入りりんごだからといって特別なことをするわけではないのですが、りんごの理想的な保存方法をお伝えします。
・低音で湿度を高めにする。
・家庭での保管には、ポリエスチレン袋に入れてしっかり結んでおくと長持ちしやすい
つがるや未希ライフなんかの早生種は保存可能期間が短いので、お早目に。
逆にサンフジなんかは晩生種なので、比較的長持ちしますが、それでもやっぱり購入後は早めに食べてくださいね。
蜜入りりんごはどうやって作るの?
甘くて美味しいりんごを育てようと思ったら、樹上で完熟させるのが理想的です。
そうすることで、蜜もより入りやすくなるはずです。
宮崎の太陽のタマゴといわれる甘い甘いマンゴーも樹上完熟ですよね。
限界まで樹上で栽培することで、果実の甘味が最大限まで高まるんです。
また、先ほども話に出てきた「葉とらずサンフジりんご」は、りんごの周りの葉を取らずに、太陽の恵みをたっぷり浴びているので、ソルビトールが生成されている可能性も通常より高いです。
ちなみに、「収穫時期に雨が多いと蜜の入りが多い」といわれていますが、これは確証がないので参考程度にしてくださいね。
海外でりんごの蜜は何て呼ばれてるの?
ネットでリンゴの蜜を英語で何というか調べてみると「Water-core」が一般的だと書いてありましたが、せっかくカナダに暮らしているので、周りの人間に「りんごの蜜って英語で何て言うの?」と聞いてみました。
すると
@hiro_vegetable I've never heard that before… Is that an actual word?
— Muneori (Mick) Otaka (@M_Otaka) 2017年2月2日
英語ペラペラなカナダ人の皆さんが口を揃えて、「Water-coreなんて聞いたことない」という答えが。
地域性や農業に携わっていない皆さんに聞いたからかもしれませんが、Water-coreというのはそこまで一般的ではなさそうです。
(ちなみに一人はカナダで野菜作りをしている現役ファーマーでしたが、知りませんでした。一体どこの誰がウォーターコアが一般的だなんて言ったんだ!笑)
そして、むしろ海外では蜜が入っていると「保存が効かない」と嫌われているようです。美味しいのに~!!
まとめ:蜜入りりんごが楽しめるは1月末頃までを目安に!
ということで、いかがでしたか?
蜜入りりんごは糖度が高い分、傷みが早いかもしれませんが、蜜が入っている新鮮なうちに食べてしまえば最高ですね!
日本人に幸せを届けてくれる、蜜入りりんご。皆さんもぜひ楽しんでくださいね。
野菜ソムリエHiroは、カナダで暮らす人たちに少しでも蜜入りりんごの良さを伝えていけたら最高です。