皆さん、一般的に栄養価が非常に高い食品を指す「スーパーフード」と聞くと、どんなものを思い浮かべるでしょうか？
野菜ソムリエHiroが暮らすカナダやアメリカなど北米ではスーパーフードという言葉はけっこう耳にする機会があって、例えば「ゴジベリー(クコの実)」「チアシード」「キヌア」「アサイー」などの名前をよく聞きます。
そしてもう一つ、北米で栄養価満点のスーパーフードとして知られているのが、「ウィートグラス(Wheatgrass)」です。
今回は、日本ではまだまだ知られていないこのウィートグラスについて知っておきたいことを4つに分けてまとめてみました。
この記事の目次
1. ウィートグラスとは小麦若葉のこと。で、小麦若葉って何？
まず、ウィートグラスとは日本語で小麦若葉を指します。つまり、小麦粉の原料である小麦の種子から発芽した若芽！
日本の青汁は、ビールや麦茶の原料になっている大麦の若葉が一般的に多く利用されていますが、「北米版青汁」といえばこのウィートグラス(小麦若葉)を搾汁して飲むのが一般的。
基本は搾りたてのジュースをショットグラスで飲みます。1oz(オンス) or 2oz で販売されることが多いです。(1オンスは約28g)その他、いつでも気軽に飲めるように、粉末状態で販売されていたりします。
せっかくなので、簡単に小麦と大麦の違いを簡単にまとめました。ちなみに、栄養成分は似ていると言われますが、粒の大きさも似ていたりするので、名前に大小付いているだけでサイズは見分ける参考にはなりません。
■ 小麦（コムギ）
・イネ科コムギ属に属する
・世界三大穀物の一つ
・収穫した種子を粉にしたのものが小麦粉
・小麦のたんぱく質は「グルテン」（粘り気がある）
・パン、うどんやパスタなどの麺、お菓子などに使われる
・生産量が多いのは、中国、インド、アメリカ
・北米で一般的な小麦の若葉（ウィートグラス）はなぜか日本で流行っていない
■ 大麦（オオムギ）
・イネ科オオムギ属に属する
・世界で4番目に多く栽培されている穀物
・大麦のたんぱく質は「ホルデイン」（吸水性がある）
・醤油・味噌などの発酵食品の原料として利用される
・ビールの醸造
・若葉を粉砕して粉末にしたものは青汁に利用される
・生産量が多いのは、ロシア、カナダ、ドイツ
・日本で一般的な大麦の若葉を利用した青汁はなぜか北米で流行っていない（ように見える）
2.甘い？苦い？ウィートグラス(小麦若葉)ってどんな味がするの？
ウィートグラス(小麦若葉)のジュースを飲んだことが無い人は、「どうせ日本の青汁みたいに苦いんでしょ？」と思う方が多いと思うのですが、違うんです。ウィートグラス(小麦若葉)はものすっごく甘いんです！
スイカの甘いやつが糖度13度だとすると、それと同じくらいの甘味を感じることができます。（※あくまで個人的感想です）
野菜ソムリエHiroは既にカナダで何度もウィートグラス(小麦若葉)のショットを飲んでいるのですが、毎回毎回その甘さにびっくりしています。
ただ、「うおーーー！口の中大草原－－－ｯ！！！」っていう香りも一緒に口の中に充満するので、草っぽい香りが苦手な人は飲むのにけっこう苦労するかもしれません。
青汁を普段から飲んでいる人なら余裕かもしれませんが、搾りたてのジュースはウィートグラス(小麦若葉)100％で水も何も混ざっていないので、草の香りがものすっごいです。飲んだ後もしばらく口の中に香りが残ります。
昔シカゴのファーマーズマーケットで、お兄さんがウィートグラスのジュースを作ってくれたときの映像です😅 pic.twitter.com/R8brCZMyXv
— カナダの野菜ソムリエHiro (@hiro_vegetable) May 2, 2020
ちなみにウィートグラスジュースを作るのは簡単で、上の動画のお兄さんみたいに搾り機（ハンドジューサー？）で草を搾ってジュースを出すだけです。
ウィートグラス(小麦若葉)には食物繊維が多いので、搾って分離された草のカスは捨てて、ジュースだけを飲みます。
3. スーパーフードと呼ばれるが栄養価と人間の体への効果を証明した100%信頼できるデータは多分無いので、売り文句を鵜呑みにしないこと
ウィートグラス(小麦若葉)はデトックス効果が非常に高いといわれるクロロフィル（葉緑素）をはじめとして、ビタミンAやCなどのビタミン類、必須アミノ酸、必須脂肪酸など様々な栄養素を含んでいるといわれています。
バンクーバーで人気のジュース屋さん Booster Juice のポスター（↑）を見ると、ミネラルに至っては90種類以上を含むと書かれていました。
そんなこんなで、ウィートグラス(小麦若葉)を搾ったわずか1オンスのジュースでも豊富な栄養を摂取できるということで、「スーパーフード」「最強のデトックス飲料」「自然界における最良の薬」「1ショットでサラダボウル15杯分の栄養がある野菜」「副作用のない最良の薬」などと呼ばれています。
さらに体への効果として、「ダイエットにぴったり」「美肌効果に関係がある」「コレステロール値を下げる可能性」「便秘解消にも関係がある」「貧血予防にも」などと謳われています。
そこで野菜ソムリエHiro、いつも栄養価を調べるときに信頼して利用している日本、カナダ、アメリカそれぞれ政府の食品データベースをそれぞれ確認してみたのですが、ウィートグラスの栄養価を示す政府のデータは存在しませんでした。(※あくまで日本、カナダ、アメリカではの話ですが、ウィートグラスは北米でけっこう人気なので、カナダとアメリカの政府のサイトに無いとなると、他の国のデータベースでも同じではないかと判断)
スクリーンショット from Wikipedia(Wheatgrass)
また、WikipediaのWheatgrassページを見ると、上の栄養価の比較表があり、ウィートグラスジュースの素晴らしい栄養価が表示されています。
ただ、ブロッコリーとほうれん草のデータはアメリカ政府のものなので信用できるのですが、ウィートグラスジュースの栄養価のデータだけソース元が曖昧になっていました。つまり、全く信用できるデータではないということ。
結局3時間くらいかけて色んなウェブサイトで栄養価についての信頼できる情報を探したのですが、結局納得できるものを見つけることができませんでした。
最後に辿り着いたのが、こちらの栄養士の方のYouTube動画だったのですが、動画の中で以下のように語られていました。
★ウィートグラス(小麦若葉)の研究は多く行われているが、栄養とその効果を人間の体で科学的に証明するようなデータはまだない
★ジュースやパウダーにすると栄養価も変わってくるため、もっと研究が必要
★生のウィートグラスをトライするときはオーガニックで育てられたものをトライするとよい
他にも研究によってはウィートグラスの効果が高く出たものもあれば、期待したような結果が出なかった実験もあったようで、まだまだ研究が必要な食物であるようです。
ということで、「ウィートグラスはすごい！」「栄養価がすさまじい！」「摂取しないと損！」みたいな売り文句を見かける機会があるかもしれないのですが、現時点では全て鵜呑みにしないようにした方が良さそうです。
個人的には、「あー！青汁と同じ感じだし、きっと栄養価高いんだろうな！別に体に悪く無さそうだから、なるべく摂取しとこうかな」程度に思っておいた方が良い気がします。
基本ジュースやパウダー状のものをいただきますが、以下のように料理にも使えるみたいです。ヨモギ団子みたいですね～。
Fancy something sweet with your dinner? Why not try homemade qingtuan? It’s the best choice for #spring!
Made with glutinous rice, which is dyed green using fresh wheatgrass juice, and stuffed with sweet red bean paste, qingtuan tastes as good as it looks! pic.twitter.com/eBCEDT00q0— China Daily (@ChinaDaily) March 13, 2020
4.おうちでのウィートグラス(小麦若葉)の栽培方法は？
ウィートグラスの種(1袋)小麦若葉 牧草 栽培 家庭菜園 種子(Amazon)
日本でも小麦の種は Amazon などで簡単に手に入るので、その気になればウィートグラス(小麦若葉)を育てて自らジューサーなどで搾りたてのものを飲むことも可能です。
種、土、容器、水があれば10日ぐらいで簡単に収穫できます。
以下、YouTubeでウィートグラス(小麦若葉)の栽培関連で一番ビューが多そうだった 「ウィートグラスの栽培方法(How to grow wheatgrass)」動画を紹介します。（英語の動画ですが、映像を見るだけでもなんとなく分かります）
②瓶を用意して、水を入れる。その後、小麦の種を瓶に入れる。一晩置く
③一晩置いたものから水を切る。その後、24時間以内に2回すすいで乾かす作業を繰り返す。
④1日後、トレイに1～1.5cm位の高さの土を敷く。その上に、種をまんべんなく散らす。
⑤新聞紙をトレイの上に被せて、水をかけて湿らせる。翌日、翌々日は新聞紙が乾燥しないように水を定期的にかけて湿らせる。まだ家の中で管理
⑥その2，3日後にはけっこう伸びてるので、その後は新聞紙をかけなくてOK。太陽の光に当てて栽培。水やりは1日に1，2回行う。
⑦さらに2，3日後にはかなり伸びているので、あとは、カットしてジュースにするだけ！カット後にして残ったものは、もう一回伸びるので、再利用可能。
最後に：「栽培するのも面倒！」という方は、ウィートグラス(小麦若葉)をパウダー化した商品がオススメ
ということで、スーパーフードといわれるウィートグラス(小麦若葉)ですが、まだまだ研究が必要なもので、信頼できる栄養価の情報も今のところ手に入らないような状態であることが分かったかと思います。
個人的に、ウィートグラス(小麦若葉)はきっと栄養価はすごく高いもので毎日ジュースを飲めば健康には良さそうと思っているので、機会があれば自分で育ててジュースを搾って飲んでみたいな～と思っています。（1日1オンスくらいが適量といわれています）
もし「ウィートグラス(小麦若葉)育てるのも面倒だわ」という方がいたら、普通の青汁みたいにパウダータイプのウィートグラス(小麦若葉)も手に入るので、ぜひ一度その味を体験してみてください。
その甘味にびっくりするかもしれません！( ◠‿◠ )
トヨタマ(TOYOTAMA) 国産小麦若葉100%青汁 90g (約30回分) 無添加 ピュアパウダー
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