突然ですが皆さん、リンゴはリンゴでも「果肉が紅いリンゴ」はあまりスーパーで見かけないのではないでしょうか?
2022年10月下旬、バンクーバーの人気スーパー Save On Foods を訪れて、いつものように青果売場をウロウロしていたのですが、野菜ソムリエHiroの目に見慣れない色合いのリンゴが飛び込んできました。
「なんだこの見たことの無いリンゴは・・・」と思って値札を見ると、「Lucy Glo Apple(ルーシー・グロー)」と書かれていました。
今日カナダのスーパーで初めて見つけたリンゴ(Lucy Glo Apple)を切ってみたのですが、美しすぎました。桜が咲いているように見えませんか…?🌸 pic.twitter.com/yIG937jBbo
— 野菜ソムリエHiro🇨🇦🌈 (@hiro_vegetable) October 31, 2022
どんなリンゴかも分からないまま購入してみたのですが、切ってみると驚き(というか感動)の紅果肉でした。(1玉2ドルくらいでした)
そこで今回はこの気になりすぎる「Lucy Glo Apple」について調べた内容や、実際に食べた感想などをまとめてみました。
この記事の目次
ルーシー・グロー(Lucy Glo Apple)ってどんなリンゴなの?
生まれた歴史
ルーシー・グローというリンゴは、米国ワシントン州プロッサー(Prosser)のリンゴブリーダーのビル・ハウエル(Bill Howell)さん(写真上)が開発したリンゴです。ビルさんはワシントン州立大学で研究技術者として長く働いていた方で、20年以上にわたって紅果肉のリンゴの品種を他の品種と交配させて、食味の良い紅果肉のリンゴの研究を重ねていました。
そんな中、ワシントン州の果樹園で赤い果肉のリンゴ「エアリーレッドフレッシュ(Airlie Red Flesh)」と「ハニークリスプ(HoneyCrisp)」を自然交配。交配種は紅果肉のリンゴだったものの、当初は「風味に問題がある」ということで、さらなる改善のため10年以上研究が続けられたといいます。
そして、ついにビルさんが納得する風味と色合いのリンゴが2種類が完成。
一つは果皮が薄ピンク色で果肉が紅色の「Lucy Glo」、そしてもう一つは果皮が赤く、果肉が紅色の「Lucy Rose」と名付けられ、商標登録もされました。
specialtyproduce.comによると、ルーシー・グローは2018年にリリースされ、まずはサンプルが流通業者に送られたようです。翌年 2019年には Chelan Fresh を通じて商業市場に導入されました。
ちなみに「グロー(Glo)とは何ぞや?」と思って調べてみると、どうやら「ほおが紅潮した、輝く、燃えるような、赤々とした」という意味がある「glowing」から取られたようです。表面がバラ色のようにも見える紅果肉のリンゴの名前にぴったりですよね。また、ルーシーブランドのリンゴの花は赤色(rich red)とのことですよ。
第5世代の農家である Hawkins Gebbers さんが農園でルーシーブランドのリンゴについて語っている動画もありました↓
どこで栽培されているの?収穫時期は?
ルーシーブランドのリンゴは、米国ワシントン州中部のカスケード山脈(北アメリカ大陸の西海岸沿いを南北に走る山脈)のふもとで栽培されています。
北中央ワシントンにある家族経営の農家の集まりであり、ルーシーブランドのリンゴなどを扱うマーケティング会社のChelan Freshのウェブサイトによると、なだらかな山の斜面、肥沃な谷、澄んだ川、そして暖かい晴れた日と涼しい夜という理想的な果物栽培条件の土地のようです。(米国のリンゴの主産地といえばワシントン州です!)
以下の動画では、ルーシーブランドのリンゴを育てている農家の方が、リンゴの木にネットをかけている様子を確認することができます。ネットをかけるのは、太陽によるストレスを避けるため&鳥除けとのことです。
Lucy GloとLucy Roseは10月頃に収穫され、10月~2月頃まで店頭に並ぶ秋~冬季節限定のリンゴとなっています。
野菜ソムリエHiroが実際にカナダ・バンクーバーのお店でLucy GloとLucy Roseを見つけたのは10月下旬でした。それから12月頃まではリンゴ売場に並んでいたように記憶しています。
また、2022年12月中旬にアメリカのロサンゼルスに旅行に行った際も、Trader Joe’s というお店でたくさん Lucy Glo が販売されていました↓
ヨーロッパでも流通していたりするようですが、まだ珍しいリンゴに分類されそうです。今のところシーズンになると北米の厳選されたスーパーなどで取り扱われていて、日本で流通しているかは残念ながら不明です。(個人のTwitterで聞いてみたところ、日本でLucy Gloを見た方はいない感じでした)
ルーシー・グローを食べてみた感想
Chelan Freshのウェブサイトによると、Lucy Glo は「ほのかな甘みがありつつも、酸味もあるリンゴ」と記されていました。また、サラダに入れたり、そのまま食べたり、鮮やかなピンク色の飲み物としてジュースにするのも良いとのことでした。
果皮は滑らか(少しボコボコした質感のものもありました)で、黄色の果皮に淡い赤色がところどころに見えるような不思議な色合いでした。上の写真を見てもらえば分かるのですが、白い斑点のような模様も入っていて、美しかったです。
Lucy Gloの商品シールには「自然に果肉が紅色(Naturally Red Inside)」と記されていました。
早速縦半分に切ってみると、ご覧の通り見事な色合いの果肉が顔を出しましたよ。果肉は少し硬めでした。正直ここまで赤いとは思っていなかったので、驚きというか感動でした。
この紅果肉にはアントシアニン(抗酸化作用に関係するといわれる)が含まれているようで、なんだか得した気分になりました。
実際食べてみた感想は、かなりシャキシャキしていて果汁も十分にあると思いました!さらに十分に甘みがありつつも、酸味が際立つ味わいで、お菓子作りにもピッタリだと思いました。
LucyブランドリンゴのInstagramにも、たくさん紅果肉を活かしたスイーツやサラダの写真がありましたよ。
また、糖度を測ってみると15度!(りんごの平均糖度は13度前後と聞きます)個人的には、同じ紅果肉のHidden Rose Appleの味わいにとても似ているように思いました。(片親が Airlie Red Flesh ≒ Hidden Rose Appleなので、納得の味です)
でも、紅果肉のリンゴをバンクーバーの大衆的なスーパーで普通に買えたのは初めての経験で、なにげに感動してしまいました。
ちなみに、輪切りにすると中心部分が桜の花みたいな模様になって、冬なのに春を感じました。「Lucy Glo、なんて素敵なリンゴなんだ・・・」と思いましたよ。
甘味 ★★★★☆
酸味 ★★★☆☆
硬さ ★★★★☆
最後に:Lucyブランドのリンゴは今後も誕生予定
ということで、Lucy Gloについて今回はお伝えしました。カナダやアメリカにお住まいの方は、シーズン(10月~2月頃)にぜひ探してみてください。
SNSを見ていると、日本にも最近紅果肉のリンゴが少し増えてきたように感じるのですが、北米でももっと流通量が増えるといいなと思います!
ちなみに、Lucyブランドは今後も新しいものが誕生予定とのことなので、次は一体どんなルーシーリンゴが発売されるのか今から楽しみです!
【公式サイト】