もやし(知識まとめ)
2016/05/07
品名
もやし
bean sprouts
芽が出る「萌ゆ」を他動詞化して「萌やす」、その連用形「萌やし」を名詞化したのが名前の由来。
英名はBean sprouts。「スプラウト」とは発芽野菜の総称。
植物学上の分類
マメ科ほか
歴史
原産は中国(大豆)、インド(緑豆)
中国やインドネシア、ブルマなどには古くから食べられていたマメの芽生え。
日本では平安時代には薬用として利用されていた。
農村部ではかなり古くから食べられているが、都市部で普及が始まるのは明治末期から大正時代にかけてのこと。
品種
もやしはスプラウトの一種。
グリーンマッペともいう。緑豆から発芽させたもやし。甘みがあり、一般的な品種のひとつ。
現在最も多く流通している。原料の緑豆はほとんど中国産。
②大豆もやし
大豆から発芽したもやし。大豆の持つたんぱく質が豊富。
ナムルに最適。豆の部分にうまみがある。
③アルファルファ
糸もやしとも呼ばれる。「紫ウマゴヤシ」という牧草の種子からつくられる。やや青臭い香りがあるが、やわらかく、生で食べられる。
④ブラックマッペ
大豆もやしより食物繊維やビタミン量などは少ないが、手軽で安いのが魅力である。加熱しすぎず、ヒゲ根をとれば味がずっと良くなる。豆の表皮が黒い「けつるあずき」を発芽させたもやし。変色が早い。
⑤根切もやし
精密機器で根がカットされている。
★太さの順番
緑豆 > ブラックマッペ > 大豆 > アルファルファ
産地
福島、群馬など
産地
工場でつくられるので周年低価格で販売される。旬といえるものはない。
栽培日数は3日程度である。
見分け方
色が白く透明感のあるもの、太いもの。
触ってみて硬く締まっているもの。
芽になる部分から根の先近くまで同じ太さで伸びているもの。長すぎるものは避ける。
(これはゆっくり育ったことを意味している)
先端が茶色になっていたり、しなびているものは古く、養分をかなり消耗している証拠。
豆もやしは、豆が開いていないもの。
栄養
各種ビタミンを始め、鉄、食物繊維、たんぱく質、ミネラル、脂質、炭水化物など多くの栄養素がバランスよく含まれている。
疲労回復に効果のあるアスパラギン酸などアミノ酸類も含む。
緑豆もやしにはアミラーゼなど消化酵素もあるので、食欲の落ちやすい夏に最適な食材といえる。胃腸を整えてくれる。
発芽することで、豆本体にはほとんどなかったビタミンCが一気に増加し、酵素のアミラーゼも生まれる。
料理
水気をよく切って、強火で短時間で加熱することでシャキッとした歯ごたえが残る。
炒める場合は直接炒めればOK。
茹でるときは湯を多めに沸かしておくのがポイント。茹でた後に水にさらさずに、ざるに空けて冷ますと水っぽくならない。
ヒゲ根のあるものは面倒だが手で取ると食感がよくなる。
(大豆もやしは特にヒゲ根が長くしっかりしているので、取り除いたほうがよい。)水の中でとると栄養素が溶け出すので注意が必要である。
ブラックマッペやグリーンマッペヒゲ根はそれほど気にならないので、気にならないのであれば取り除かなくてもよい。
ヒゲ根の部分にくせのある香りがある。
豆もやしの場合は、豆の皮を除くと風味がよい。
ベトナム料理や中華料理には欠かせない。お浸し、和え物、汁の実ほか、炒め物、ラーメン、焼きそばの具に。
保存
冷蔵庫で1-2日。一度袋を開けたら、口をきっちり閉じて冷蔵して、翌日までには使い切るのがよい。
真空パックのものは若干普通のものより日持ちする。
熱湯をかけたり、ゆでて冷ますなど下処理をして密閉容器に入れて冷蔵すれば、多少通常より日持ちする。
冷凍には向かない。
水につけて保存するとビタミンCが溶け出す。水気をよく切ること。
ポイント
・見た目と違って栄養価が高い野菜。それでいて低カロリー。
・ビタミンCが不足しがちな冬場の補給源にぴったり
・煮すぎたり茹ですぎると栄養価が損なわれるので、半生程度でシャキッとした味わいを
・時間が経つと栄養価・食感が落ちるので、当日食べるのがよい
その他情報
・本来もやしとは、豆類や穀物(米など)、そばなどの種子を水にひたして光を当てず暗い場所に置くことで発芽しある程度育ったもの全般をいう。
・ほかの植物のように光合成して栄養を得るわけではないから、自身が持っている栄養を使い果たしてしまえば死ぬ。
・もし土に入れ、光を当たれば葉が出て茎が緑色化するが、根が発達しないので水分が養分を吸収できず、いずれもやしのままで死ぬ。
・最近のもやしのヒゲ根が短いのは、主に品種改良の成果。
・昔は、もやしを漂白するためにリン酸が使われることがあったそうで、現在はまったくないとは言い切れないが、
ないに等しい状況になっている。
(ちなみにレンコンはときおりリン酸を使って漂白されているものが発見されるそう)
・もやしの袋の「無漂白」の表示については、一部の消費者のなかにはまだ「もやしは漂白されているもの」
というイメージが残っているため、生産者側が表示しているだけ。
表示のないものは漂白されている、ということではない。
・未開封でも1日でビタミンCの3割が減少するといわれる(可食部100g中8mg)
水に浸けて冷蔵庫に入れれば3-4日で8割失うそう。
・欧米ではがんの治療薬としても利用されている。
・ゆでたもやしのカロリーは、緑豆:12kcal、ブラックマッペ:13kcal、大豆 : 34kcal。
・「物価の優等生」と呼ばれる。キャベツが高騰するともやしの需要が活発になるといわれる。
・「生命の芽」と言われるほどの万能食品で、第2次大戦後は欧米でも人気が高まっている。
・種子を砂床にまいて育てる方法と、容器に入れた種子に水をかけて育てる2通りの方法があるが、
後者が主流である。
Hiroのメモ書き
調べるまでもやしがどんな種子を使っているかなんて考えたことがなくて、もやし専用の種があるんだと漠然と思っていました。ぜんぜん違ったんだなぁ。
漂白はリン酸で過去行われていたことが参考になりました。
もちろん今は行われていないのですが、まだ漂白されているものだと思っている方も多いんじゃないでしょうか。
ニュージーランドのスーパーでは、日本のようには売れず、ぼくが働いていたところでは、一日に10も売れればいいほうだったように思います。文化の違い?