(写真は桝井ドーフィン種)
品名
イチジク / 無花果 / Fig
歴史
アラビア半島南部が原産とされる。過去にはトルコ・小アジア地域の説があった。
1000年以上前から栽培されていたとされる。エジプトのお墓(推定紀元前2000年頃)にはイチジクを栽培・収穫する古代人の様子が描かれている。
歴史ある果物。現在、世界中に100種類以上あるとされる。
イチジクが日本に渡った経路の説は2種類。1つはポルトガル人によって長崎に伝わったのは17世紀半ば(江戸時代)。もうひとつは、西アジアから東進してきたものが中国を経て伝播したという説。
可食部は花托と小花、および種子(乾果の場合)。
いちじくの実も、傷の解毒薬として塗布された記述が旧約聖書に残されている。古くから痔の治療薬として、漢方で用いられる。
産地
現在では地中海沿岸やカリフォルニア半島。生産量でみるとトルコ、エジプトが多い。
(上記の国々では乾果が一般的である)
日本での主産地は愛知がもっとも多く、福岡、和歌山、兵庫、大阪、広島など。
時期
旬は8-11月。9月から10月が最盛期といってよい。
見分け方
香り高いもの。ふっくらと大きく、果皮にハリと弾力があるもの。傷のないもの。
中の赤みが強いものは、よく熟した証拠である。
お尻が開いているもの(目と呼ぶ)が完熟。お尻の亀裂が開きすぎたものは熟しすぎたもの。
栄養
ビタミン類はあまり含まれていない。
代わりにカルシウム(果物の中では多いほう)や鉄分などのミネラルが豊富。
ベンズアルデヒドという成分には、発ガン抑制に効果があるだけではなく、喉の痛みにも効果があるらしい。
ペクチンなどの食物繊維が豊富。整腸効果が期待できる。
果実の色はアントシアニン。
肉類の消化を助ける消化酵素のフィシン(樹体の切り口からにじみ出る白い液体中に多く含まれる)があるので、肉を食べた後のデザートによい。また、調理時に肉に果肉のスライスをのせたり葉で包んだりするとよい。
乾果は炭水化物76%、たんぱく質4%を含む優れた栄養食。
糖の大部分は果糖とブドウ糖。生果の糖度は約10%。有機酸を含まないので甘みを強く感じる。
料理
生食の日本は特異的。世界的にみると乾燥や加工品での消費が大部分。
砂糖を加えてジャムや果実酒に。ワイン煮にすれば、タルトのトッピングに使用できる。
油との相性がよいので、天ぷらにもできる。生ハム巻き。チーズにのせてもよい。
保存
日もちしない。ビニール袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で。
ポイント
・果物のなかで、もっとも傷みやすいもののひとつ。
・果実全体がしっとりとしているものは、腐敗しやすい。
・常温で1-2日もつ。
・雨天時に収穫したものは、鮮度の低下が速い。日光を嫌う。
・甘くてつぶつぶの食感
その他情報
・未熟なものを食べると胃荒れを引き起こす
・乾燥したものは生薬としても使われている。
・日本での主力品種は「桝井(ますい)ドーフィン」。その他、ホワイト・ゼノア、蓬莱柿(ほうらい
し)。
・フィシンの分解作用を利用して、いぼ治療薬、皮膚の角質を除去する化粧品としても
用いられる
・西洋イチジクは、大きく強度があり、日本イチジクほどは甘くない。とろけるような食感で上品。
日本イチジクは、小さく崩れやすいが、西洋品種より糖度はが高い。ドライフルーツにも使用される。
Hiroのメモ書き
もともとエイリアンみたいな見た目が苦手でした。それに、売ろうにも「すぐ腐ってしまう困った果物」という印象があったのですが、調べてみて、
すごい歴史のある果物だと分かりました。
とても印象的なのが、アダムとイヴの話でしょうか。ほんとうの禁断の果実はイチジクだったんですねぇ!
日本いちじくと西洋の品種の違いをいまいち分かっていなかったので、よい機会となりました。
西洋品種は大きく見た目もしっかりしているイメージがあるのですが、売るなら食べるなら、やっぱり美味しい日本いちじくを選びたいところです。