野菜ソムリエ Hiro のベジフルポケット

ブルーベリー(基礎知識のまとめ) : Blueberry

      2016/05/09

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品名

ブルーベリー
blueberry

植物学上の分類

ツツジ科スノキ属。ベリーは英語圏で使用されるが、一般的に食用される小さな果実のことを指す。

歴史

熟した果実が色素アントシアニンに青紫に色づくことからブルーベリーと呼ばれる。

北アメリカ原産。1620年にヨーロッパからアメリカ大陸へ入植が始まる前は、ネイティブ・アメリカンたちが野生のブルーベリーを摘んで生果や乾果として食用にしていたと考えられるが、世界的に広まったのは20世紀で比較的新しい果物といえる。

ヨーロッパからの初期の入植者らが飢えと寒さに苦しんでいるとき、先住民が干したブルーベリー入りのスープなどの食料を分け与え助けたことから、ブルーベリーはアメリカ人にとって特別な意味をもつ果物。
ヨーロッパでは親しみを込めて「スモールフルーツ」と呼ばれている。

フルーツの少ない英国では、夏の味覚として大切にされている。
日本には1951年にハイブッシュが導入され、ラビットアイが1962年に導入された。
1990年代に入ると、ブルーベリーの機能性が注目され始めた。

元々、業務対応で輸入物が先行してきた商材。

品種

流通している品種の大部分はアメリカ農務省の試験場が野生種を選抜して交雑育種したもので、それらは樹性によってハイブッシュ、ラビットアイ、野生種のローブッシュに大別される。

ハイブッシュとローブッシュは樹の高さに基づいた名称であるが、ラビットアイは、果色が成熟前にウサギの眼のように赤くなることに由来。

日本で主流となっているのは

ハイブッシュ
(寒冷地向き。実が大きく、果肉が軟らかい。6月中旬ー7月中旬の梅雨の時期が収穫期)
ラビットアイ
(暖地向き。小振りで、7月中旬ー8月下旬に収穫期を迎える。ハイブッシュより甘みの多い品種が多く、貯蔵にも向いている)

の2種。

産地

国産はまだ少ないが、群馬、長野、岩手が主産地。青森、埼玉、千葉、熊本や、都市近郊の栽培も多い。
アメリカ産やカナダ産は5-10月(主に夏期)、ニュージーランド産が11-4月(主に冬期)に輸入されている。
最近では、中国産も6-8月に輸入される。

世界的な栽培の90%はアメリカとカナダといわれる。

時期

輸入物は周年。国産の旬は6-8月

見分け方

表面に白い粉(ブルーム=水分の蒸発を防いだり、水をはじいたりしてくれる。鮮度を良い証拠にもなる。)が均一について張りのあるものがよい。
濃い青紫が均一に鮮やかなもの。
しわが寄っていないもの。
パック詰めで売られていることが多いので、必ず底が潰れていないか確認する

栄養

特筆すべきは濃い青色のアントシアニン色素が多く含まれていること。
アントシアニンには「ロドプシン(人間の網膜上で光を感ずる主役を演じている成分)」という視覚に関係する
物質の再合成を助ける効果があり、視力の低下を防ぎ、目の機能を高めるといわれている(視野を広くしたり、夜間視力の向上)。

目安は1日20-30粒(約40g)(一日約100g以上で目の疲れがとれるといわれ、乾燥品だと25gでよい)といわれる。

また、アントシアニンはカテキンに匹敵する抗酸化作用の強いポリフェノールの一種なので、細胞のガン化を防いだり、生活習慣病の予防が期待できる。(酸化防止の効用はすべての野菜と果物の中で1番といっても良いらしい)

さらに、ブルーベリーの木で育つ時間が長いほどより多く含まれるので、自分でブルーベリーを育てているならば、
最高のアントシアニンを獲得できる。

食物繊維の含有量は、乾燥果実を除く生果の中ではトップクラス。アボカド、グアバ等に続く。
便秘の解消に役立つ。(100g中3.3g)

悪玉コレステロールを減らすことができる。(悪玉コレステロールは心臓病、発作や動脈硬化を引き起こす。)
抗がん作用のあるエラグ酸や、葉酸も含む。
ミネラルではマンガンが多い。(成長期の骨の発育を促す)
ビタミンではビタミンEを多く含む(100g中1.7mg)。

18種のアミノ酸を含み、必須アミノ酸をすべて含んでいる。これ以外の微量栄養素はあまり多くない。
生の実はヨーグルトなどの乳製品と一緒に摂ると、ビタミンEなどの栄養素の吸収力が高まる。
一日にブルーベリーをコップ一杯分摂ると、運動筋肉が5、6%改善されたという研究結果がある。
また、女性の憂鬱な気分を改善させた結果もある。
尿器官の健康を促進させ、感染症のリスクを減らす効果が期待できる。

料理

ビタミンCの摂取効率を考えると、生で食べるのがよい。
アイスクリーム、ヨーグルトに添えて生果でも食べると、独特の香りも楽しめる。
ジャム、ソース、ワイン、ビール、ジュース、シロップ漬け、果実酒、マフィン、チャツネなどに加工することも多い。
フルーツサラダにも入れる。
甘い料理と同じようにセイボリーにも用いられる(オードブルやデザートに出る辛い料理)
またアメリカで「ブルーベリーパイ」といえば、老若男女に人気のおふくろの味といった存在。

保存

密閉容器に入れて冷蔵庫へ。傷みやすいためできるだけ早く食べる(2-3日が目安)。
長期保存する場合は、よく洗った後で、平らに並べて冷凍するか、またはジャムに。

ポイント

・タネを気にせず手軽に食べられるのがイイ!
・目を酷使する現代人にとって必要不可欠の果物です。
・甘酸っぱさがほんのり残る味わい

その他情報

・春に白(または薄紅)色の花を咲かせ、夏に青い実をつけ、秋には紅葉を楽しめるので、果樹としても庭木としても人気がある。
・第2次世界大戦中に「ブルーベリーを大量に食べた英国軍のパイロットの夜間狙撃率が上昇した」という有名な話がある
が、新機能のレーダー開発を敵に知らせないためのデマだったという説が有力である。
果実には50粒ほどの種子が含まれているが、長さは約2mmと小さく、品種によっては食べる際に気付かない程。
・山形県鶴岡市羽黒町では特産品のブルーベリーを染料としても利用しているそう。

特別参考資料

・日本文芸社「驚くべき目の特効成分!ブルーベリー視力回復法 / 中川和弘著」
 ※以下個人的に印象に残ったものを抜粋

ーアントシアニンは、糖尿病などの生活習慣病から起こる血管性網膜症など改善するのに有効だと認められている
-白内障にもブルーベリーのアントシアニンは効果がある。
-アントシアニンの働きを整理してみると
  

●血管保護機能 ●ビタミンP様機能 ●抗潰瘍機能 ●循環促進機能 ●抗炎症作用 ●抗酸化作用 ●ロドプシンの分解・再合成促進機能

-医療品として使用されているのは、北欧産野生種のブルーベリー

-野生種のブルーベリー(ワイルドブルーベリー)は、100g中に、約100mgから230mgのアントシアニンを含む。これは栽培種の約10倍になる。

-ヨーロッパではブルーベリーは薬として認知されている。
-スウェーデンでは幼少期の下痢止めなどの整腸剤としても使われています。

-目および健康維持のためなら、ワイルドブルーベリーを1日200mgこれを朝昼夜と分けて飲むことが大切。白内障などの眼疾患のためなら1日400mgを朝昼夜と分けて飲むとよい。なぜ分けて飲むかというとアントシアニンパワーが発揮されるピークは4-5時間で、分けて飲むことで1日中アントシアニンパワーを最大限に持続させることができるからである。

 

Hiroのメモ書き

ブルーベリーが視力を回復させるとはよく世間で耳にするけど、アントシアニンという色素はむしろそれ以外にも体の機能を高めてくれるもの。そういった面も世間的にもっと理解されればいいなぁ、と思いました。

その他の栄養面でも食物繊維がすごく多かったり、必須アミノ酸をすべて含んでいたりと、とても優れた果物であることがわかりました。
個人的にももっとブルーベリーは摂取するべき果物だと思ったので、これからは日常的に食生活に取り入れてみたいです。

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