野菜ソムリエ Hiro のベジフルポケット

南京 / かぼちゃ(知識まとめ)

      2016/05/03

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(上の写真は小菊南京)

品名

かぼちゃ / 南京 / 南瓜 / なんきん
英名: Kabocha / pumpkin

名前は16世紀にポルトガル人が寄港地のカンボジアからもたらしたことに由来。

植物学上の分類

ウリ科カボチャ属

歴史

・ネイティブアメリカンは、ともうろこしや豆とともに保存の利くかぼちゃを主食とした。

・京都では17世紀ごろ、江戸では18世紀ごろから栽培されるようになる。

・これらの時代にハウス栽培などはなく、冬になると出回る野菜が減っていた。

・そんな中、夏に収穫したかぼちゃを冬まで保存しておき、これを1年でいちばん昼が短くなる冬至に食べて栄養補給をしていたそうで、このことから冬至にかぼちゃを食べる文化が生まれた。

当初は「かぼちゃ瓜」と呼ばれ、後に「かぼちゃ」となった。

別名の「南京(なんきん)」は、寄港地のひとつであった中国の南京に由来。

日本かぼちゃの原産地は北米南部・中米を原産とする説が有力。

・ペルーで紀元前4000-3000年、メキシコで紀元前1440年の出土品から見つかっている。

・コロンブスの新大陸認知後、世界に広まる。

・日本へは1541年ごろポルトガル船によって九州に伝えられた。

西洋かぼちゃは、南米、中米の高地が起源とされる。1863年にアメリカから日本にもたらさた。

・西洋種は日本デビューが遅かったにもかかわらず、日本カボチャより主流になった。市場の9割は西洋種。

・ペポかぼちゃは、北米・中米が起源とされ、日本への渡来年はよく分かっていない。

・明治初年に8品種が導入された記録はある。

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品種

日本かぼちゃ、西洋かぼちゃ、ペポかぼちゃに分けられる。

1.日本かぼちゃ
(水分が多く、ねっとりとした粘質。甘みは少ないが、特有の香りがある。煮物が最適。西洋かぼちゃに比べ、長期の貯蔵に向いていない。肉質がきめ細かく、煮崩れしないので高級料理に使われることが多い。)

 ー黒皮かぼちゃ
 -菊座かぼちゃ など

2.西洋かぼちゃ
(粉質で、加熱するとほくほくする。日本かぼちゃよりもでんぷんの量が多く、甘みが強い。日本かぼちゃより栄養価が高い。熱量も糖質もほぼ2倍である。カロテンもこちらが多い。)

 -黒皮栗かぼちゃ   -打木赤皮栗かぼちゃ
 -えびすかぼちゃ   -赤皮栗かぼちゃ 
 -芳香青皮栗かぼちゃ -ターバン・スカッシュ など

3.ペポかぼちゃ
(形、色が風変わりで、観賞用が多い。食用の代表は、そうめん南京、ズッキーニ。)

産地

市場の半分はニュージーランドなどからの輸入。
ニュージーランド、北海道、メキシコ、鹿児島が主。
北海道での出荷量が圧倒的に多く、ほかには茨城、鹿児島などが多い。

時期

国産露地ものの旬は夏。

・通年輸入されているが7-10月の夏から秋にかけては国産が多いため、輸入量は少なめになる。

11-4月の冬場はメキシコ、ニュージーランド、トンガなどからの輸入が定着している。

・収穫は夏だが、でんぷんが糖化して甘みが増すまでは貯蔵し追熟されるため冬至を過ぎたころが美味しいとも言われる。

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見分け方

・見た目よりずっしりと重いもの。

・小さくてもスイカのように叩いて、跳ねる音がすれば美味しい証拠となるらしい。

・果皮の色が薄いものは、果肉の色も薄い傾向がある。

・西洋かぼちゃは、茎の部分が乾燥しているものが完熟している。表面がつややかなもの。

・ヘタが柔らかいものは避ける。ヘタが10円玉大くらいの大きさで、ヘタの周りがくぼんでいるもの。

・ヘタがへしゃげているものが良い。

・日本かぼちゃは皮の表面に粉がふいていて、黒っぽく縦の溝が深くはっきりとしたもの。

・カット売りのものは、果肉の色が濃く肉厚で、種の部分がくずれていないもの、

種の大きいもの(ふくらんでいるもの)、かたいものは熟している。

・左右対称バランスがいいものを選ぶ。

タネの間に隙間のあるものは熟しすぎである。

栄養

・特徴は「エネルギーおよびビタミン類の供給源になる」栄養食品だということ。エネルギーが高いということは食品にとって大切な要素である。

かぼちゃのエネルギーは他の野菜と比較にならないほど高い。イモ類に匹敵する。(サツマイモほどではなく、サトイモやジャガイモ程度)

・エネルギー源は糖質。(かぼちゃの糖質は葉物野菜に比べて数倍ある。)

・特にエネルギーが高く甘い西洋かぼちゃは果物に近い量の糖質を含む。

・カロテン(体内で肝臓に蓄えられ、ビタミンAとして働く。皮膚、目の角膜、口、胃など、多くの臓器を覆っている部分を健康に保つ。ビタミンAは脂溶性のビタミンで、たくさんとりすぎると過剰症が起きるが、野菜からカロテンを摂取しているかぎりは必要な量だけビタミンAに変換されるため、過剰症の心配はいらない。

・ビタミンAとしてでなく、カロテン(抗酸化作用がある。)が豊富なことで有名である。(100g中4000μg)

・皮、わたにも含まれているので、皮、わたごと食べるのがよい。(特にわたの部分は果肉に比べ5倍ものカロテンが含まれている。熱にも強いので、炒めてもスープにしてもOK。)

・ビタミンCも豊富。(西洋種に100g中43mg)かぼちゃのビタミンCは保存中も減少することが少ないので、秋から冬の補給源に最適である。夏にとれたかぼちゃを冬に食べても栄養はたっぷりある。

・加熱してもビタミンCが失われにくい性質がある。

かぼちゃの種にはリノール酸がある。(血液をサラサラにしてくれる。動脈硬化の予防)カロテンも果肉の5倍含まれる。

・加工処理したものがパンプキンシードとして売られているが、生のかぼちゃから取った種を乾かしてから、煎るか、オーブントースターで加熱しても食べられる。

・植物油や動物の内臓以外にあまり含まれないビタミンE(血行促進に効果的)の含有量は野菜の中でもトップクラス。

・その他カリウム(100g450mg)が豊富。

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料理

・種とわたを除く。煮物にする際は、ところどころ皮をむくとよい。火が通りやすくなり、味が染み込みやすい。

・切るのが硬い場合は、電子レンジで数分加熱するとよい。

・サラダ、ソテー、煮物、揚げ物、パンプキンスープ、あんかけ、きんとん、グラタン、カボチャシチュー、バター焼き、お菓子にも。インドではカレーに、イタリアではリゾットに使う。

・カンボジアや韓国では、しることして楽しむ。ジャム、ピクルスにする国もある。

切り口に塩を少し振ると、ホクホク感がアップするらしい。

・皮ごと調理する場合、皮の変色した汚れた部分のみ切り落とすと、仕上がりがきれいになる。

・日本カボチャを煮物にするときは、出し味をきかせ、薄味に仕立てるともち味が生かせる。

・大きめの鍋に重ならないように並べる。ワタを残すと見栄えも悪いので、きちんととってから煮付けること。

・油との相性がよく、βカロテンの吸収率も上がるので、炒め物・揚げ物がおすすめ。

・含め煮にする場合はサラダ油かバターを少し入れると、つやが出て美味しい。

・つぶして使うのであれば、丸ごと茹でるとよい。でんぷんを糖分に変えるには、80-85℃のごく弱火で、ゆっくりと茹でる。
ワタは味噌汁やスープの具として使用するとよい。

・種は、漢方では寄生虫がわいたときの治療薬として使われたり、乾かしてお茶菓子に利用できる。

・軽く炒って殻を割った中身に塩を振ると美味しく食べられる。

保存

・1玉丸ごとは、風通しのよいところで1-2ヶ月保存可能。湿気を嫌う。

・カットされているものは、種とわたを取り、ラップして冷蔵庫へ。1週間を限度とみる。

冷凍する場合は火を通す。角切り、スライスにして電子レンジにかけ、ビニール袋に入れる。

・じゃがいものように熱いうちに潰して冷凍してもよい。

ポイント

生野菜100g食べるのは大変でもかぼちゃなら簡単。栄養補給にぴったり。
・その甘さが魅力なので、調理に塩分を多く使わないでいいのも嬉しい。

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その他情報

・冬至に食べると風邪を予防する霊力がある、中風にかからない、脳卒中を防いで長生きできるといわれる。
(冬まで貯蔵できる、βカロテンが風邪に効くという理由から)
・タネの周りのワタは、練ってやけどの患部に貼るとよいといわれる。
実に土がつくと、そこから腐ることがあるので、ワラを敷き育てる
・かぼちゃをくり抜いてつくるジャック・オー・ランタンは玄関にあれば「お菓子がもらえる家」のしるしになる。

本当のハロウィンのシンボルはかぶだったという。

特別参考資料

・冬場の輸入カボチャは、日本向けに種子が利用され栽培されている開発輸入商品が多いそう。

 

Hiroのメモ書き

お客様によく聞かれる南京の質問は、「これはほっこりしてるやつかなぁ?」といったこと。西洋種であれば、すべてではないかもしれないが、基本的にはそうだと思ってよいかと思いました。

また、日本種を扱う機会が少ないので、あまり今まで詳しく知ろうとしていなかったのですが、香りを楽しめる南京だということが分かりました。

栄養面ではさすがの一言。
皮に栄養が詰まっているのは、なんとなく想像できるが、ワタもそうだったのかと驚きました。
お客様でも知らない方が多いのではないかと思いました。
 

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