野菜ソムリエ Hiro のベジフルポケット

きゅうりの歴史、見分け方、栄養、保存方法etc(知識まとめ)

      2016/07/21

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(※きゅうりを代表する白いぼきゅうりについてまとめています。上の写真も白いぼきゅうりです。)

品名

きゅうり
cucumber

植物学上の分類

ウリ科キュウリ属

歴史

亜熱帯地方の種。原産地はインド西北部(ヒマラヤ山脈南部)。
3000年以上前から栽培されていたといわれており、品種は400以上といわれる。
古い文献には「下品の瓜」「いなかに多く作る物なり」と書かれ不評だったらしい。
胡瓜の切り口が徳川家の紋に似ていることから、武士たちは恐れ多いと食べなかったとも言われている。
紀元10世紀ごろには西アジアに定着。ヨーロッパでは16世紀ごろ栽培が盛んになる。
日本への渡来は仏教文化とともに遣唐使によってもたらされたらしいが、当初は薬用としてだった。
重要な野菜として定着したのは、江戸時代末期。
第2次世界大戦後は温室栽培が盛んになり、特に生食用野菜としての重要性から、周年流通するようになっている。
黄色い瓜、すなわち「黄瓜」が語源という説が有力。
きゅうりは熟すと黄色くなり、古く日本では、黄色くなったものを食用としていたらしい。
初期のきゅうりは小さくて、とげとげで苦かったらしく、甘みのあるキュウリは少なくとも400年前に育てられるようになったそう。
皮がない白いいぼ系が現在の主流。流通の9割を占める。消費量は果菜類の中でトップクラス。
露地栽培、促成栽培、温室栽培が全国で行われ、通年出回っている。
緑黄色野菜と思われがちだが、単色野菜である。

品種&特徴

ブルーム(表皮につく細かい白い粉。果面を保護するろう物質。主成分はケイ素。)のあるタイプは見栄えが悪いと嫌われ、ブルームがない(ブルームレス)きゅうりが主流。
しかし皮がかたいブルームレスに比べ、ブルームのあるきゅうりは歯切れが良く、種子の粒が小さい特徴がある。生食のほか、漬物にも向いており、食味のよさが見直されている。

産地

周年施設栽培で出荷されるが、露地栽培での旬は夏。
埼玉、群馬、福島、千葉、茨城、宮崎で収穫が多い。
・年間を通すと南から北へと出荷最盛期が移動する。

 12-1月…宮崎(冬春きゅうり)
 12-2月…高知(冬春きゅうり)
 1-5月…千葉(冬春きゅうり)
 1-6月…茨城(冬春きゅうり)
 10-11月、3-6月…埼玉(夏秋+冬春きゅうり)
 10-11月、2-6月…群馬(夏秋+冬春きゅうり)
 7-9月…福島(夏秋きゅうり)
 7-9月…岩手(夏秋きゅうり)

 

時期

旬は夏から秋にかけて。6-8月。

見分け方

緑が冴え、鋭いとげがあるもの。
曲がりは味と栄養に関係ないが、太さが一定のものを選ぶ。
頭とお尻の太さが均等なやつ。先が細いのは青臭い。
持ってみてずしりと重いもののほうが水分が多い。
品質低下は、しなび、変色、果肉の軟化、部分肥大などがみられる。
きゅうりが曲がるのは、根が老化しているということ。

栄養

・成長途中の未熟果を利用するためか、多くの栄養は含まれていない。
 種にはより栄養が含まれている。
・95%以上が水分であるために「栄養素がほとんどない野菜」と評価されがちであるが、
 もともと野菜の多くは水分が90%程度あるので、特にきゅうりだけが「水ばっかり」ではない。
・いくらかのビタミンBとC(100g中14mg)とA、K、カリウム(100g中200mg) 、マグネシウム、マンガンと食物繊維を決して量は多くないが、バランスよく含む。
・低カロリーである。1本(100g)食べても11キロカロリーしかないので、ダイエット向き。

むくみ解消・利尿作用のある「イソクエルシトリン」が多く含まれているので、ほてったからだを冷まし、汗や尿中にナトリウム排泄を高め、高血圧、心臓病、肝臓病、肥満症などの予防につながる。
・「アスコルビナーゼ」というビタミンC破壊酵素(正確にいうと「破壊する」ではなく、「酸化させる」)が含まれているため、ビタミンCの多い素材と一緒に調理のは避けたほうが良いといわれるが、この酵素は加熱したり、酢により活性が抑えられる。
また、酸化されたビタミンCも、人の体内では酸化されないビタミンCとほぼ同等の働きをするというのが、学術的には正しい評価となっていて、心配は無用だといわれる。
・青臭さの成分「ピラジン」は血栓予防に効果的。血液をサラサラに導く。

料理

・酢の物、和え物、漬物、サラダ、ピクルス、中華風に炒め物、韓国風にキムチなど。
・日本では生食を好むが、海外では、もっと肥大させたきゅうりを加熱する料理が数多くある。
・(下ごしらえの仕方)

 下ごしらえとして板ずり(まな板の上に置き、転がす)すると、表皮のとげが取れ、色がさえる。
さらに、水で塩を洗い流した後、熱湯にさっとくぐらせ、冷水に取ると、緑色がさらに鮮やかに。
酢の物にする際は、立て塩(薄い塩水)につけて水分を適度に抜いておくと、味がなじみやすくなる。

・ぬか漬けにすると、ぬかのビタミンB1やKやカリウムなどが移行して、一夜のうちに急激に増える。(B1の
 量が5倍に増えるそう)しかし同時に高血圧の原因となるナトリウムも急増するので、一度に多量に摂取する
 のは避けること。
・頭の部分が苦いものがあるが、これは「ククルビタシン」という苦味物質が含まれているため。
茹でたり焼いても残ってしまうので、その部分は切り捨てる。
・ギリシャの冷たいスープ「ザジキ」に使用される
 (ディル、ヨーグルト、ガーリックとちょっとのオリーブオイルとブレンドする)
・ピクルスにするのに適した品種は、とげがあるもの。そしてまだ成長しきっていないものがベター。
・短時間加熱調理したものはさらに食感がよくなる。さらに皮に含まれているカロテンが油で吸収されやすく
 なる。
・きゅうりは水分補給に最適であり、さらにクエン酸を含む酢やレモンと一緒に食べることで、夏ばての改善に効果的である。

保存

ラップに包んで冷蔵庫に入れておけば4-5日はもつ。
5℃以下の低温に弱い野菜であるので、冷やしすぎは良くない。果面が凹んだり白い濁った汁が出てくる。2-3日間の低温では、低温障害が出にくいので、夏場の短期間の冷蔵庫保存はあまり気にしないでよい。

ポイント

・みずみずしさと爽やかな香りが暑い日にも涼しさをもたらしてくれます!
・何も調理しなくてもそのままで美味しく食べられるという食べ物としてとても重要な長所を持っている野菜です
・夏ばて予防に!手軽に水分補給!

その他情報

・きゅうりは体を冷やす作用と気持ちを落ち着かせる効果がある。その作用はやけどを落ち着かせるためや、皮膚の炎症に使用されていた
・スライスしたものをまぶたの上において、目を冷やし、リフレッシュさせることができる
・きゅうりの汁は化粧水になる。皮をむき、種を取ったきゅうりをすりつぶして布でこす。保存はきかない。
・体から寄生虫を取り除くために使用されていた
・おならやげっぷを引き起こすといわれたが、現在の多くの品種ではこの効果はないといえる
・きゅうりの葉は嘔吐を誘引するために使われていた
・発芽した種には有毒混合物が含まれる可能性があるらしい

(きゅうりをカッパと呼ぶ理由)
 江戸時代当時、露地で野菜を栽培しているとき日照りが続くと雨乞いをしており、カッパを水の神様として崇めていたため、豊作をを願って、カッパの棲む川にいろいろお供えをするようになり、キュウリをお供えした年は豊作だったことから、カッパの好物はきゅうりであるとされ、しだいにキュウリがカッパと呼ばれるようになった。

・体を冷やすので、胃腸が弱い人、冷え性の人は、食べすぎに注意である

 

Hiroのメモ書き

今まできゅうりって水分ばかりだと思っていたので「ほとんどの野菜は水分が90%以上である」っていう記述を本で見つけたときは、驚きました。どんな野菜も水分がいっぱいなんだ、と。

やっぱり最需要期の夏!きゅうりは水分補給に良いのは周知のことですが、ちょっと踏み込んでレモンや酢といっしょに摂る事で、より夏ばて防止につながることがもっと知られると良いですね。

また、曲がっているきゅうりも真っ直ぐしているきゅうりも、味、栄養面ではほぼ差がないことは
きっと多くの人が知らないと思います。この点も伝えていけたらいいなぁと思います。
 

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