枇杷 / ビワ(知識まとめ)
2016/04/26
品名
びわ / 枇杷
英名 loquat
植物学上の分類
バラ科
歴史
・中国南東部および日本原産。
・日本では1000年以上の栽培の歴史がある。
・英語の「loquat」は広東語「蘆橘」(ロウクワッ)に由来する。
・18世紀に中国からヨーロッパおよび地中海に渡り、アメリカへはイギリスから導入。
・日本最古の記述は762年の正倉院文書の記録。鎌倉時代から栽培が行われた記録がある。江戸でも栽培の記録が残っているが、当時の栽培種は野生種と同じように小粒で円形のものだったそう。
・アジア南東部で広く知られるようになってきている果物である。
品種
・日本の現在の栽培品種のほとんどは江戸時代以降に中国より伝播した品種に由来。
・主力品種は茂木、田中。(もちろん他にもたくさんある)
・果肉は品種により白肉系と橙肉系とに分かれる。
江戸時代末期に中国から長崎に入ってきた唐ビワの実生から育成された品種。日本初の経済品種。果重40g程度。比較的やわらかく、むきやすい。酸味が少なく、甘みが強いのが特徴。
②田中←大きい
明治12年に田中芳男氏が長崎から種子を持ち帰り、東京で育成した品種。果重60g程度。果肉はやや硬い。糖、酸ともに高いが、早採りは酸味が多く食味が悪い。千葉産が主力。
両品種が普及しはじめたのは明治以降。戦後からこの2つの品種が全体の約90%を占める。東日本では寒害に強い「田中」、西日本では「茂木」が主に栽培されている。
特徴
果実は偽果で可食部は花托が肥厚したもの。
産地
長崎(全体の約1/3を占める)、千葉、鹿児島、愛媛など。
海外では中国、スペイン、パキスタンで人気。
時期
旬は6月といわれる。
茂木は5月下旬から6月上旬
田中は6月上旬から下旬に出回る。
見分け方
果実にツヤがあり、果色がよく毛茸がとれていないものがよい。
栄養
・カロテンが810μg/100gと果物の中では非常に多い。
・甘み成分は果糖とブドウ糖。酸はリンゴ酸が大半で、クエン酸もわずかに含まれる。
・果肉の橙色はカロテノイド。カロテノイド含有量は果樹類の中で最も高いグループに入る。食物繊維も比較的多い。
・皮は果実の5倍のビタミンAを含んでいる。
・ビタミンAは多いものの、ビタミンCは少ない。
機能性
・産地では果実を丸ごと瓶詰めして得た浸出液を火傷、皮膚病などの治療薬として用いる。
・種子および葉にはアミグダリンというものが含まれており、種子からは杏仁水(ビワ仁水)として、また、葉は乾燥後煎じたものが鎮咳、去痰作用があるとして古くから飲用。
・果実は鎮静剤そして嘔吐を止める作用があるとされる。葉は下痢と憂鬱症状、アルコール中毒の緩和に使用されるそう。
・葉の湿布は腫れ物に効くらしい。
料理
・生果で消費されることが多いが、缶詰、ジャム等にも。
・ゼリー、アイスクリーム、ようかんなどの菓子、酒やジュースなどにも。
・バナナ、パイナップル、ココナッツなどとミックスして食べると美味しいとされる。
・ペクチンを比較的豊富に含む。
保存
完熟に近い状態で出荷され、高温多湿で輸送されるので購入後はすぐに冷所に保存。
ポイント
・びわの葉を陳列に用いると季節感がよりいっそう出る。
・黒っぽいバックの前に並べ、照明を当てると一層映える
Hiroのメモ書き
バンクーバーでは残念ながらあまり見かけないビワ。(中国系のところに行くとたまーにありますが)
他のどんな果物にも似ていない淡い橙色というか”枇杷色”が本当に美しいです。
茂木と田中の違いだけは覚えておきたいものですよね。