野菜ソムリエ Hiro のベジフルポケット

わさびやふき以外に何がある?日本原産といわれる野菜8種類まとめ

   

野菜ソムリエHiroはカナダで暮らすようになって、日本で普通に手に入っていた日本生まれの野菜が恋しくなる機会が非常に多いです。

でも、日本原産といわれる野菜って実は数少ないんですよね。

10b37be6953570aad11c6118c5ca39db_s(写真の野菜は全部外国原産)

そこで今回は、意外と知られていない日本原産といわれる野菜をまとめて紹介しようと思います。

せっかくなので、「あれ?これ日本原産じゃなかったの?」と原産地を間違えやすいかもしれない野菜の原産地もいくつか併せてお伝えします。

 

最初に:日本原産の野菜は約20種類といわれているが、本当にそうなのかどうかは100%言えないのが現状

結論から言いますと、Wikipediaの「日本原産の食用栽培植物」によると、日本原産とされる野菜は20種類ほどしか確認されていません。

そもそも日本では主に約150種類の野菜が栽培、利用されているといわれていますが、そのうちのたった13%程度なんですね。(世界でみると、約800種類の野菜があるといわれています)

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しかもその20種類の中にもどの野菜が本当に日本原産になるのか100%明確な証拠が無いケースも多く、「この野菜は日本原産と言われているけど、他の国から来たものではないか?」と考えられているものもあったりします。

実は外国の野菜果物も原産地が不明なものも多いので、別に不思議なことではないのですが、どうにか信ぴょう性のある情報が得られないかと農林水産省などのページや手元にある野菜の本など色々探してみたのですが、残念ながら明確な答えを見つけることはできませんでした。

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そこで今回は、Wikipediaの「日本原産の食用栽培植物」で名前が挙がっている日本原産と考えられている野菜と、よく日本原産だといわれている情報をもとに、合計8種類をピックアップして紹介したいと思います。

もしこの記事を見てくださっている方で確かな情報をお持ちの方はぜひお問い合わせフォームから情報を送っていただければ幸いです。
 

日本原産の野菜と考えられている8種類の野菜

1. 三つ葉(みつば)

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三つ葉はせり科多年草で日本原産の野菜の一つといわれていますが、東アジアが原産ともいわれます。葉っぱが3つに分かれることから三つ葉と呼ばれています。

おひたしやお吸い物、親子丼にもよく利用されていますよね。茹でるときは湯にくぐらせる程度にしないと、香りが飛んでしまいます。

三つ葉を購入する際には、香りが良いもの、葉の緑が美しくみずみずしいものを選んでください。あまり日持ちしないので、購入後は早めに(できたら即日)使いましょう。三つ葉の上品な香りは日本らしさがあるように個人的に思います。

「切り三つ葉(茎の長さを切りそろえて商品化。茎が白い)」や「根三つ葉(根が付いた状態で出荷される。茎が短いのが特徴)」もありますが、「糸三つ葉(軟白せずに根元まで日光に当てている。一般的な三つ葉)」は特にカロテンが豊富といわれていますよ。

 

2. 芹(せり)

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セリ科セリ属の多年草であるセリは、日本で愛されている野菜で、よく水田などで見つかります。(野菜ソムリエHiroが暮らすカナダ・バンクーバーで普通に売られているのは見たことがありません)

原産地はWikipediaでは日本原産とされているのですが、アジアや熱帯アフリカ原産といわれたりもします。

「あまり野菜について知らない」という方でも「ごぎょう・はこべら・なずな・すずな・すずしろ・ほとけのざ」と同じく春の七草のひとつとしても知られているので、知らない間に春の七草粥で食べているかもしれません。せりの独特な香りは春らしさを感じることができます。

主な栽培地は茨城や宮城、千葉など。

せりを購入する際は、可能であれば香りを確かめてみてください。香りが強く、葉が黒くなっていないみずみずしいものを選びましょう。栄養価はカロテンが非常に豊富です。

調理法としては、鍋物が定番で炒め物やおひたし、生で薬味、茶わん蒸しや雑煮にも利用できます。香りの強さから料理のアクセントになりますよ。三つ葉と同じく茹ですぎると香りが飛ぶので、茹でる必要がある場合はさっと茹でるようにしましょう。

 

3. 明日葉(あしたば)

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あしたばは日本原産とされているセリ科シシウド属の野菜。日本では伊豆七島に自生していて、大島、八丈島では特産野菜になっています。(中国原産ともいわれます)

名前の由来は「今日採集しても、明日には新芽が出てくる」というところから。2月から5月にかけて旬といわれています。さわやかな香りが楽しめます。

新鮮なものの見分け方は、葉が張りのあるものを選びましょう。また、茎が茶色のものと青いものがありますが、味は特に変わりません。茎は太過ぎないものを選んでください。

あしたばはアクが強いので、塩茹でして使うことが多いですが、天ぷらならそのまま使えます。その他、おひたしやスープ、和え物や炊き込みご飯にも使えます。栄養はカロテンを非常に豊富に含んでいますよ。

 

4. 山葵(わさび)

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お寿司でお馴染みのアブラナ科ワサビ属のわさびは日本が原産地。海外でも寿司は人気の国が多いためか、カナダやアメリカでも生で手に入る機会もあります。日本の主産地は静岡や長野です。

葉さわびも売られていますが、辛味が強いのは根茎部分です。ピリッとした辛み成分はアリルイソチオシアネート。抗菌・抗カビ作用があるといわれています。

保存する際はコップに水とワサビを入れたり、濡れた新聞紙で包んで冷蔵庫でも。家庭で一気にわさびを使い切るのはなかなか難しいかもなので、冷凍することもできます。(辛味や香りが落ちますが・・・)

購入するときは、みずみずしい緑色のもので太くてゴツゴツしているものを選んでください。

おろす際は目の細かいもので手早くおろすときめ細かくなるので、辛み成分が増えるといわれています。茎部分を取り除いて、皮をこそげ落として円を描くようにおろしてみてください。チューブタイプのものしか食べたことが無い方は、その香りと辛味に驚くはず(汗)

わさびを摂ると食欲増進になるといわれているので、夏の暑さで食欲がない際にもおすすめです。
 

5. 蕗(ふき)

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愛知や群馬、静岡などが主な産地として知られているキク科フキ属のふき。平安時代から栽培されているといわれる日本原産の野菜です。

その独特の香りとほろ苦さで春らしさを感じることができる貴重な野菜で、旬は4月~5月頃。

日本では特に愛知県の品種「愛知早生」が一般的。残念ながら、カナダではほとんど手に入りませんが、時期になると日本系の食料品店や韓国系スーパーで並んでいたのを見たこともあります。

品質の良いものは、緑色の濃いもので茎を持った際にしならないもの。古くなってくると、ぐにゃっと曲がりやすくなったり、先端部分が茶色に腐ってきます。また、茎が太過ぎるものは筋が固いので、注意してください。

煮物や和え物、お漬物にも人気です。香りと味を楽しむために、味付けを控えめにするのもよしです。ちなみに野菜ソムリエHiroの母はふきの葉をよく佃煮にしてました。

 

6. 自然薯(じねんじょ/やまのいも)

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自然薯(別名やまのいも)はヤマノイモ科ヤマノイモ属の野菜。一般的に売られている長芋に比べて、細長くて粘り気や風味が強いことで有名です。

長芋は中国原産といわれますが、自然薯は日本原産なんです。学名はディオスコレア・ジャポニカ(Dioscorea japonica)。自然薯という名前は、「自然に生えている芋」からきています。

ちなみに、収穫には3~4年かかることや収穫が難しいことからも、天然ものが出回ることはあまりありません。お店で売られているものの多くは栽培種です。天然ものがお店にあったらラッキーですが、けっこうなお値段になっているかもしれません。

 

7. 茗荷(みょうが)

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古くから日本全国で自生しているみょうがはショウガ科ショウガ属の野菜です。夏には薬味として使われる定番野菜ですが、原産地が日本といわれています。(アジア大陸の原産とも考えられています)

主な産地は高知や秋田、奈良などで、露地ものが出回る旬は8~9月。最近は促成栽培でもっと早く出回ったりしています。一般的なみょうが以外に、若い茎を軟白栽培した「みょうがたけ」もありますよね。

よいみょうが(花みょうが)を選ぶ際は、小さめで紅色がきれいなものを選びましょう。実がしまった感じのものでぷりっとしたものがベストです。古いものは葉が茶色くとろけてくるので注意。

ちなみに、黒っぽい緑色みたいな花みょうががたまに売り場に並んでいますが、これは日に当たっているためで、味はピンクっぽいいつものみょうがと特に変わりないといわれています。

調理する際はまず水にさらしてアクを抜きましょう。薄くスライスして生食したり、甘酢漬けや天ぷら、刻んでお味噌汁にも使えます。我が家ではそうめんの薬味が定番でした。

 

8. 独活(うど)

春頃になるとスーパーの野菜売り場に並ぶうど(独活)も原産地が日本と言われています。江戸時代には軟白栽培が始まったといわれています。(軟白栽培については↑の動画が参考になると思います)

また、日本各地の山に自生もしていたり、露地の盛土栽培で育てられた緑色になった緑化うど(別名:山うど)もあって、こちらは丈が軟白栽培のものより短めです。

香りとしゃきしゃきとした歯ざわりがよいといわれていますが、野生のものは特に香りと食感も強めです。

見分け方は、穂先に張りがあるものや、茎が白く変色していないもの(軟白栽培のものの場合)、うぶ毛がしっかり生えているものなどが挙げられます。

うどは天ぷらにしたり、酢のものや胡麻和え、きんぴらなどに人気です。春を告げてくれる野菜の一つなので、ぜひ季節になったら食べたいアイテムです。

 

最後に:日本原産の野菜はほんのわずか。日本原産だと間違えやすいかもしれない野菜3つ

以上日本原産といわれる野菜8種類を紹介しましたが、Wikipedia には以下のように別の野菜も紹介されているので、確認してみてください。

現在、栽培される野菜のほとんどは外国から入ってきたものであり、日本原産とされる野菜は20種類ほどしか確認されていない。上記のほか、ゴボウアザミ、ハマボウフウ、タデ、ヒシ、ツルナ、ジュンサイ、アサツキ、サンショウ、ユリ、クロクワイ、カンゾウ、クコ、オニバス、また、マッシュルーム以外のキノコ類などがあり、今日、野菜としては利用されていないものもある。

日本原産の食用栽培植物(Wikipedia)

また、最後に「日本原産ではないか?」とよく間違われているんじゃないかと個人的に思う野菜も3つ紹介します。

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まずは日本でよく食べられているごぼう。(バンクーバーだと gobo root という名前で販売されていたりしますが、アジア人以外の方にはあまり知られていない印象があります)

ごぼうが日本原産と思っている方もいるかもしれませんが、実はユーラシア大陸原産といわれています。

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続いて、おでんやふろふきでも人気の大根。バンクーバーでも Daikon という名前で販売されているときもあります。

だいこん、実は原産地が正確に分かっていないのですが、地中海地方や中東などではないかといわれています。

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さらにれんこん。

筑前煮など和食によく使われているので、日本原産かと思う方もいるかもしれませんが、実は原産地は中国もしくはインドなどといわれています。

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ということで、日本が原産といわれている数少ない野菜を紹介しましたが、いかがでしたか?
野菜の原産地を調べてみるのも面白いので、ぜひ自分の好きなものを一度検索してみてください!( ◠‿◠ )

 - あしたば, せり, みょうが, 三つ葉, 山うど, 生わさび, 自然薯, 蕗(ふき)