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サンふじとふじリンゴの違いまとめ!有袋・無袋栽培のメリットデメリットは?

      2020/08/29

皆さん、リンゴといえば昭和33年に生まれた「ふじ」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?親品種はレッドデリシャスと国光で、育成地である青森県崎と日本を象徴する富士山がふじという名前の由来といわれています。

ふじは日本のリンゴ収穫量の半分以上を占め、世界でも「Fuji Apple」として知られる非常に人気の品種です。野菜ソムリエHiroが暮らすカナダでも中国やアメリカなどで栽培された Fuji Apple が年中出回っています。

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そんな中、日本で暮らしている方は、お店で「ふじ」を見る日もあれば「サンふじ」を見る機会もあるのではないでしょうか?

そして、「え?ふじとサンふじって何か違うの?いっしょのリンゴ?」と疑問に思ったことがあるかもしれません。

そこで今回は、ふじとサンふじの違いを解説したいと思います。せっかくなので、関連する情報もいっしょにお伝えします!

 

ふじとサンふじの違いは「有袋栽培」か「無袋栽培」

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ふじとサンふじの違いは超簡単。「ふじは有袋栽培」で「サンふじは無袋栽培」の違いです。文字通り、有袋栽培は「袋をかけてふじを栽培する」ことで、無袋栽培は「袋をかけずに栽培」するスタイルです。

なので、サンふじの「サン」は、無袋栽培のためたくさん浴びる太陽の「(The) Sun」から来ているんですね。同じ品種でも有袋ならふじ、無袋ならサンフジなんです。

ちなみに、サンフふじという名前は1983年にJA全農長野によって登録商標されています。

もちろん有袋栽培のふじも太陽を浴びないわけではありません。有袋栽培の場合、収穫期の前にりんごを袋で覆い光を遮断してクロロフィルの生成をさせないようにします。
その後、袋の中で黄白っぽい果皮に育ったりんごの収穫直前に太陽に浴びさせると、一気に赤色のアントシアニンが生成されるのでキレイな赤色の果皮になります。

元々は有袋することは害虫を防ぐ目的でしたが、「見た目重視」の世の中の傾向からリンゴ表面にサビをつくらないためだったり、着色の良いリンゴをつくるために有袋栽培が行われているんですね~。果物を贈答に使う日本らしいと個人的に思います。

 

有袋栽培と無袋栽培のメリットとデメリットまとめ

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次に、無袋栽培のサンふじと有袋栽培のふじのメリット・デメリットを表にしてまとめてみました。

有袋・ふじ 無袋・サンふじ
見た目 着色が良くツルツルした果皮になる。美しいため贈答に最適 ふじに比べて着色が劣りムラもできやすい。ザラザラした果皮になる
糖度 サンふじには劣るが甘い ふじより糖度が高い
貯蔵性 サンふじより長く保存できる ふじより長く保存できない
香り サンふじには劣る ふじより香り高い
栄養 サンふじには劣る 太陽をたくさん浴びるため栄養価が高くなるといわれている(※正確で詳細なデータは無し)
サンふじには劣る傾向にあるけど、逆に蜜の褐変が少ない ふじよりたくさん入る傾向にある。時期終盤になると蜜が褐変するので注意
栽培の労力 袋がけ・袋を外す作業があるため手間 袋の作業は無いが、きれいに着色させる技術が必要
最近の傾向 サンフジ派に押され栽培が減少傾向にあるらしい 味重視で見た目も良いサンふじをつくろうと農家の方たちが日々努力している

ということで、簡単に覚えようと思うなら

■ふじ(有袋栽培)
見た目と貯蔵性に長けているけど、味はサンふじに負ける

■サンふじ(無袋栽培)
糖度と栄養価が高くなっていてより美味しいのはこっち。でも見た目と貯蔵性はふじに負ける

という感じです。

「なんだ!美味しいものがいいなら、サンふじにすればいいのかー!」と思う方もいるかもしれませんが、基本的にサンフジは例年3月末~4月上旬頃に終わる(と思う)のですが、その後も貯蔵性の良いふじが代わりに出回っているんですね。

こうして、貯蔵されたふじや他の品種があるから、約1年ほぼ毎日りんごが食べられるようになっています。

また、「贈答用に味もそうだけど、やっぱり見た目のよいリンゴを使いたい」という方にはサンふじよりもふじりんごが適しています。ふじもサンふじもどちらも良いところがあるんですね~( ◠‿◠ )

あと「葉とらずふじりんご」という名前で売られているふじもありますが、こちらは栽培の際にりんごの葉を取らないままに収穫したもので、味が非常に良いりんごとして知られています。(葉を取らないと果皮に色が均一につかないことが多いが、葉の養分がよりリンゴに蓄えられるため)

 

ちなみに、サンふじ以外にもサン津軽やサンジョナゴールドなど、「サン〇〇」というリンゴがけっこう売っています

「サン」が名前の頭に付くと無袋栽培のリンゴということが分かったところで、ふと「そういえば、あのリンゴの名前にもサンが付いていたような?」と思う方もいるのではないでしょうか?

実際、サンふじ以外に野菜ソムリエHiroが思いつくものをSNSで探してみました。

★サン津軽(早生品種の主力)

★サンむつ(有袋栽培のむつは赤くなるのですが、無袋栽培になるとは黄~黄緑っぽくなる)

★サンとき(中生種。野菜ソムリエHiroの好物りんごの一つ)

★サンジョナゴールド(通常のジョナゴールドより甘味が期待できる)

★サン王林(通常の王林より強い甘味が期待できる)

などなど!ふじりんご以外にも意外と無袋で栽培されているりんごって多いんですね~。

日本にお住まいの方、売り場でサン〇〇りんごを見つけたらぜひ購入して味わいが通常のものと違うかどうか試してみてください。

 

最後に:海外でふじは超一般的だけど、サンふじを栽培しているのを知らない件。日本産ふじやサンふじはアジア圏へ高級品として主に輸出されている

野菜ソムリエHiro、今までニュージーランドとカナダに合計7年以上暮らしているのですが、日本以外の国でつくられた「サンふじ」を見たことがないんですよね。
(ふじは世界的な品種なので、どこでも作られているイメージが個人的にあります。中国や韓国などのアジア圏ではもしかしたらサンふじが栽培されているのかも?知っている方がいたらぜひ情報をお寄せください)

その理由として、海外のリンゴ農家は蜜を病気と捉え嫌っているという話を聞いてから、そうなんだと(勝手に)思っています。

2171466_s(↑日本では歓迎される蜜も海外では病気扱い?)

そこで、野菜ソムリエHiroがいつも利用している英語の野菜果物情報サイトSpecialtyProduce.com のサンふじのページを見ると、サンふじは主に日本で栽培されている(やはり!)とされ、東アジアを中心に出回っているという情報が書いてありました。

また、Freshplaza.com(英語)の記事には、日本産のふじがタイや香港、そして台湾に輸出されているそうです。

Twitterで探してみると、「マレーシア(通貨がRM)のスーパーで日本のふじりんごと世界一を発見~!でもめっちゃ高い!」的なツイートも発見しました。

さらにもっと情報がないかな~と思い探してみると、東京税関が平成29年に発表したりんごの輸出というPDF資料りんごの輸出量の7割以上が台湾向けと記されていました。(その他、ベトナム タイ シンガポールなどにも輸出していることが確認できました)

残念ながら資料からはふじとサンふじがどのくらい輸出されているのかまでは分かりませんでしたが、「輸出される品種については多種ですが、ふじの割合が多い」と書かれていたので、日本産のふじだけでなくサンふじも現地で出回っているのではないかと推測しています。

ちなみに野菜ソムリエHiroが暮らすカナダでも、2018年にカナダが病害虫の侵入を防ぐため導入している日本産リンゴ生果実の輸入規制を緩和したことでサンふじやはるか、シナノゴールドなどが一時期だけ輸入されたことを以前記事にしているので、ぜひチェックしてみてください。

今後もふじとサンふじがどんどん世界に進出することを願って止みません( ◠‿◠ )

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ということで、ふじとサンふじの違いについて少しでも参考になったのであれば幸いです!

ぜひ今後はスーパーなどであえて「サン」の付くりんごを探してみたりしてください。より買い物が楽しくなるかもしれません(´▽`)

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