凍梨?凍柿子?中国東北部で梨や柿を凍らせて食べる風習があるって知ってた?
2019年12月、野菜ソムリエHiroの同僚が中国に帰省するということで、「中国の市場の写真撮って来てー!」とお願いしたわけです。
彼は中国の東北地方にある吉林省長春市が故郷で、現地(季節は冬)の桂林路市場の写真を送ってくれました。
中国に帰省していた同僚に送ってもらった桂林路市場の写真です。野菜がずらり! pic.twitter.com/6S76AQfeb3
— カナダの野菜ソムリエHiro (@hiro_vegetable) January 1, 2020
その際、一部の写真をFacebookやTwitterにも載せてたのですが、「野菜売り場に蚕(かいこ)がある・・・」ということで、自分を含め皆さん唖然。(同僚いわく素揚げにしたら美味しいとのこと)
(※蚕が動くので閲覧注意)中国に帰省していた同僚に送ってもらった桂林路市場の動画です。野菜売り場で普通に蚕も売られているそうです。 pic.twitter.com/50FRpwLlzQ
— カナダの野菜ソムリエHiro (@hiro_vegetable) January 1, 2020
しかし、野菜ソムリエHiro的にそれ以上に気になったのは、現地で凍った果物(!)が販売されていたことだったんです。
ということで今回は、中国東北部の果物を凍らせて食べる風習について調べてみました。
中国東北出身の同僚から届いた写真にあった「凍梨」「凍柿子」とは
早速ですが、こちらが実際の写真になります。
最初読めなかったのですが、「凍柿子(凍らせた柿。中国では柿子と書いて柿)」と書いてあります。中国では体重を斤(1斤500g)単位であらわすので、3斤で1.5kgになります。(ちなみに、2020年1月1日現時点で1元=15.57円でした)
同僚によると、「サイズが大き目の品種の柿で、子どもの頃はこの柿が片手で持てないくらい大きかった」とのこと。
さらに、凍梨(凍らせた梨)の写真もいただきました。3斤10元ということは、単純計算で1.5kg⇒155.7円です(安くないですか?)
同僚に聞いてみると、中国は基本果物が安いそうで、東北部よりは南部の方が安いそうです。
野菜ソムリエHiroは今まで黒い梨を見たことが無かったので、最初は「黒いプラムなんだろうなー」と思っていたんですが、同僚に聞いてみると
黒い梨は、中国東北部のご当地の食べ方で、秋に収穫したものをそのままマイナス20度に晒して、黒くなるまで凍らせて食べます!色んな種類の柿を凍らせていて、シャーベットみたいな食感になるし、すごく糖度が上がります!
自分たちの地元(吉林省長春市)では昔冷蔵庫が無かったので、果物が長く保存できるようにする必要がありました。そして、秋が終われば気温マイナスの冬が始まるので、余った梨や柿などを凍らせて食べる風習があります。
とのことこで、納得!だいたいこの手の凍らせた果物は市場の中ではなく、野外で売っているそうですよ。
さらに、「もっと他にも色んな冷凍果物が市場で売っているんじゃないか?」と思ってYouTubeで調べてみると、以下の中国新闻网(中国ニュースネットワーク)の動画に市場の様子が取り上げられていました。
中国語は全然分からないのですが、
と、カッチカチに凍った果物がたくさん売られていましたよ~!
同僚によると、過去には柿と梨を凍らせるのが主流だったそうで、他の果物を凍らせて販売するのは比較的新しいのではないかということでした。
たしかに普通に考えても、夏に収穫される桃を冬まで保管できないはずなので、ビニールハウスのおかげなんでしょうね~( ◠‿◠ )
言語が分からなくても現地の市場の様子が分かるので、ぜひ一度映像をチェックしてみてください!
カチカチに凍った梨や柿を中国東北部の人たちはどうやって食べているの?
中国東北部の人たちが凍った梨や柿を食べることは分かったのですが、ここで「カチカチに凍った梨や柿を中国東北部の人たちはどうやって食べているの?」という疑問が湧いてきたので、さらにYouTubeで調べてみました。
(0:27~雪がふりかかった凍った柿や梨が並んでいる野外のお店を確認できます)まずはこちら。1:10くらいの映像で、凍った柿を手でコンコンしている場面があるのですが、本当に硬そうです・・・(汗)
そして、食べ方はいたって簡単でした。大きなボウルを用意して、そこに水を張って柿や梨を浸すだけ。
時間が経つと果皮の表面に氷ができるので、その氷がはがれるようになればOK。外側が柔らかくなっているので、あとはそのまま皮ごとかじればOKみたいです。
映像を見る限り、凍柿子は解凍されてづくし柿みたいにも見えたので中国人の同僚に聞いてみると、どれだけ凍らせても中はぐじゅぐじゅだそうです。
また、別の動画では、男性がかまくらのようなところに柿を置いておき凍らせていたようです。0:19くらいに2つの柿をぶつけ合ってコンコン鳴っていることから、完璧に固まっているのが分かります。(普通は家の外に置いて布をかぶせたりする程度なので、かまくら内で凍らせるのは特別みたいです)
その後、最初に紹介したやり方と同じように、水に浸けて柔らかくなるのを待って解凍した後はそのままかぶりついていました。
同僚によると、凍らせた梨は酸味が無くなって、甘味がぎゅっと高まっているというから面白いです。
最後に紹介する上のビデオでは、水で解凍する他に黒い果皮になった凍梨を電子レンジで10分30秒チンしていました。ただ、凍梨の独特の食感が無くなってしまうため、あまり良くない方法みたいです。
また、糖度計で糖度を計っていたのですが、14.3度という数字が・・・!甘いことが伺えます。
さらに解凍した黒い梨をそのまま手で絞って、大量の果汁を使った飲み物もつくっていましたよ( ◠‿◠ )
最後に:色んな果物を凍らせて食べたくなった件
(凍らせた桃)
ということで、寒い地域ならではの果物を保管する風習、面白いですよね~ ( ・◡・ )そして、「凍らせた柿や梨を一度食べてみたいーーー!」と思った方も多いはず!
残念ながら野菜ソムリエHiroが暮らすカナダ・バンクーバーは東京と同じくらいの寒さなので、柿や梨を外に置いて凍柿子や凍梨をつくることはできないのですが、どんな味・食感になるのか今度冷凍庫に入れて実験してみたいと思っています!
同僚によると、イチゴやチェリーなんかも凍らせて販売されていたとのことなので、色々と試し甲斐がありそうです( ◠‿◠ )
D04 地球の歩き方 大連 瀋陽 ハルビン 2019~2020 中国東北地方の自然と文化