バンクーバーの農園Heppell’sが規格外野菜を無料提供。農地が売却される可能性?
環境問題について話すときに、よく話題に上がるトピックの一つといえば「規格外野菜」ではないでしょうか?いわゆる不揃いだったり傷ありだったりで、正規品として出荷できないもののことをいいます。
味は良くても見た目の問題で、規格外の野菜の多くは廃棄されている背景があるため、最近ではあえて規格外の野菜を集めて販売するようなサービスもありますが、まだまだ一般的とはいえないかもしれません。
そんな中、メトロバンクーバーにある農園 Heppell’sで、今年「Ugly Potato Day」と題して、規格外の野菜(ジャガイモ・カボチャ・人参)を不定期で無料提供しているということで、先日実際に行ってきました。
今回はその時の様子と、Heppell’sが現在抱えている問題をまとめて紹介します。
この記事の目次
Heppell’sのUgly Potato Dayで不揃い・傷ありの野菜(ジャガイモ、人参、カボチャ)が提供される
Heppell’sは1920年から続く家族経営の農園(既に100年以上です!)で、5世代に渡ってメトロバンクーバーのSurrey市で主にジャガイモとカボチャを栽培・パッケージングしています。
Heppell’sの製品は、ローカルでは「Heppell’s」というブランド名、そしてカナダ西部では「BC Fresh」という名前が付けられていて、カナダ西部に暮らす方の中には名前は知らなくてもHeppell’sの野菜を食べたことがある人も実は多いはずなんです。
バンクーバーにお住まいの方は、以下の写真の箱を八百屋やスーパーで見たことがあるのではないでしょうか?
そして2022年8月27日(土)、友人に連れられてメトロバンクーバー・Surreryにある農園 Heppell’s の「Ugly Potato Day」に行ってきました。
Heppell’sの駐車場そばに大きなコンテナがいくつか並べられて、そこで自由に規格外の野菜を持ち帰ることができるようになっていました。
規格外の野菜でも自分で選べるのがまた嬉しいですよね。
Heppell’sのSNSの投稿によると、無料で規格外野菜を提供する代わりに、「もし可能であればローカルのフードバンクに寄付をお願いします。合計で3,000ドルが集まればと思っています」とのことでした。
上の写真のような規格外のじゃがいも、人参、カボチャ(Kabocha squash / Butternut squash / Spaghetti squash の3種)が大量にあって、訪れた人は大きなバッグに好みのものを入れていました。
Spaghetti squash は日本でもおなじみのそうめん南京のことです!バンクーバーでは年中出回っていて、主要なかぼちゃの一つです。
バンクーバーで一般的に見るButternut squashも今考えれば、スーパーでは見事なカタチのものばかりが並んでいるのですが、こうして規格外のものを見ると、不揃い・傷ありに育ってしまうものもこんなにあるんだと改めて実感しました。
農家の方も正規品として出荷できるものをできるだけ栽培しているのはもちろんですが、こうした規格外が出ると廃棄してしまう場合も多いかと思うので、こうして
2.たくさんの人に規格外野菜の存在を知ってもらえる機会になる(食育)
3.フードバンクへの寄付が集まる(社会貢献)
という流れがとても良いのではないかと個人的に思いました。
中には、ハート型になったジャガイモもありましたよ。カタチがいつものものと違うだけで廃棄になるのは、農家の方にとっても辛いことだと思います。
こうした取り組みがあると、「正規品が売れなくなるのでは?」という声もありますが、フードロス削減につながるのは確かなので、農家の方にとっても、消費者にとってもメリットが大きいですよね。個人的には、規格外野菜の存在をより多くの人に知ってもらうためにも、こうしたイベントは大切なのではないかと考えています。
メトロバンクーバーの農園の「Ugly Potato Day」に行ってきました。不揃い・傷ありのじゃがいも、人参、かぼちゃを無料で提供するイベントで「可能であればフードバンクに寄付をお願いします」と記されていました。不揃いの野菜が廃棄にならない+寄付もできるということで、Win-Winに感じましたよ。 pic.twitter.com/lpcE1BgjPW
— 野菜ソムリエHiro🇨🇦🌈 (@hiro_vegetable) August 28, 2022
結局野菜ソムリエHiroも、バッグがいっぱいになるまでいただきました。特に人参は不揃いながらも、見た目で美味しさが伝わってくるようなものばかりでしたよ。
最近エアフライヤーも購入したので、フライドポテトも作ってみようと思います♪
最後に少額ながらフードバンクへの寄付もさせていただきました。
Heppell’sが今後もこの「Ugly Potato Day」を続けるのかは不明なのですが、実際今回訪れたときはUgly Potato Dayの4回目だったので、次もあるかもしれません。
Heppell’sのInstagramでいつ開催されるのか毎回告知されているようなので、カナダBC州にお住まいの方はぜひチェックしてみてください。ちなみにInstagramをやっているのは、こちらの農園のイケメンお兄さんです↓
最後に:Heppell’sの農地が工業開発のために売却される可能性。農地を守るために現在署名を募集中
最後になりますが、実はHepell’sの農地が無くなる可能性があります。
サレー市にあるHeppell’sは昔から、じゃがいも、にんじん、キャベツ、カボチャの栽培を手掛けていてBC州の5月~7月上旬にかけての畑野菜生産の中核を担っています。
Heppell’sによると、この時期にBC州の地元産の野菜をこれほど多く生産・供給する区画(192nd Street & 36th Avenue)は他にないそうです。
ただ、BC州ロワー・メインランドの主要な農地は、工業開発のために売却されている現状があり、Heppell’sの農園が含まれるエリアは、農業用地保護区 (ALR:Agricultural Land Reserve)として保護されておらず、連邦政府が所有しています。
そのため、連邦政府はこのエリアを「余剰」と判断し、最近になって300 エーカーの土地全体(220 エーカーの農地と 80 エーカーの森林と小川)はディベロッパーに売却される可能性があると発表。
さらに、農地を含むこのエリアはサレー市によって既に工業開発用に指定されているとのことです。
Heppell’sはInstagramの投稿において、以下のように語っています。
この 300 エーカー (220 エーカー) の土地では、年間 3,000 万から 5,000 万食分の新鮮な地元の農産物が提供されます。 私たちは、この土地を農業で維持することに情熱を注いでいます。私たちは、この土地を農業で維持することに情熱を注いでいます。
ということで、現在 change.orgにおいて、「Protect Early Farmland in BC」という名前で署名を集める活動が行われています。
目標は7万5,000にものぼる署名ですが、2022年8月28日時点で既に5万6,000以上の署名が集まっています。野菜ソムリエHiroも微力ながら署名させていただきました。
引用: change.org
Heppell’s の「Ugly Potato Day」が気になる方、そして農地を守るためのプロジェクトの動向が気になる方はぜひHeppell’sのInstagramをフォローしてみてください。
また、もし皆さんの中でこのプロジェクトに賛同する方がいれば、ぜひ署名をしてみてください。(名前やEmailアドレス、住んでいる場所などを入力するだけなので、簡単に署名できます)
もちろん農地を維持するよりも工業開発の方が大切だと思う方もいるかと思うので、全否定はできないのですが、野菜ソムリエHiroはHeppell’sのジャガイモを今後も食べたいので、何かしらのカタチで支援を行っていきたいと考えています。
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